本日紹介いたしますのはこちら、「伴天連XX」第3巻です。
エンターブレインさんのファミ通クリアコミックスより刊行されました。
作者は猪原賽、横島一の両先生。
本作の紹介は「猪原賽・横島一」のテーマにてまとておりますので、よろしければそちらもご参照くださいませ。
さて、府中宿へ「肉人」の調査に来た獅子緒たち。
やはり肉人は旧支配者で、「ニョグタ」なる異形の生物でした。
旧支配者の息のかかったものとも知らず、突然沸いた浴びればたちどころにどんな傷も治るという温泉の恩恵にあずかる住民。
それはすべてお庭番の老人と手を組んで人々をいけにえにささげ、最上位の旧支配者「ウボ=サスラ」を復活させようとする、平賀源内が糸を引いていたのです!
平賀源内の正体は、千の貌を持つゆえ「無貌」といわれ、様々な時代に姿を現しては混沌を招くという最上位の旧支配者の一、「ナイアーラトテップ」でした。
その底知れない力にザビエルは恐怖しますが、捜し求めている姫の行方を知っていると聞かされては黙っていられない獅子緒。
ザビエルによって封印を施されていた左腕のナイトゴーントを解き放ち、源内に切りかかります。
人間を捕食するだけのニョグタや、現在は知性を失って眠っているウボ=サスラならまだしも、現役バリバリの最上位旧支配者のナイアーラトテップと真っ向から戦うなど、まさに無謀!
ザビエルはとっさに大技を繰り出し、源内の動きを止めることに成功。
この隙に一旦この場を逃れようとするのですが、北斎がその為の乗り物をショゴスの筆で描き作ろうとした瞬間、墨壷を射抜かれてしまいました。
射抜いたのは一時協力関係にあったお庭番の由美。
由美は上司であるお庭番の老人の命によって、この場で獅子緒たちを含めたこの場にいる全員をニョグタのいけにえにするために足止めをしたのです。
しかし、老人に盲目的に従うだけと思われていた由美に異変が起こります。
ニョグタによって親を失い、由美を頼っていたこの町の少年だけは助けてやってくれないか、と自己主張したのです!
ですが老人は一切取り合わず、逆にその少年にくないを突き立てます。
その衝撃でバランスを崩し、力なく屋根の上から地面へと転落してしまう少年。
倒れ伏す少年を抱きかかえ、涙を流す由美。
他人に対して涙を流す、今まで見せたことの無い情をうかべたのです。
老人は「私」情を捨てられない弱い娘などもう要らない、と刃を振り下ろします。
が、その刃が由美に届く前に
獅子緒が源内に振るうついでの刃で老人を両断したのでした!!
その勢いのまま源内に攻撃を仕掛けんとする獅子緒。
ザビエルはそれを押しとどめて逃げさせようとするのですが、その時ふと源内の懐に「クトゥルーへの道が拓かれる」という書物、「ネクロノミコン」が入っていることに気がつきます。
恐る恐るそれに手を伸ばすと、動けないはずの源内がむんずとその腕を掴みあげるではないですか!
クトゥルーが眠る地に何か用でもあるのか?と当たり前のように言葉を発する源内。
ザビエルの奥義も源内にとっては蚊が刺した程度の効力しかなかったのです!
源内が動き出し、いよいよやばくなってきた状況。
その上、先ほど切り捨てたはずのお庭番の老人が、その傷を不気味に再生させながら起き上がってきたではありませんか!
ニョグタの肉を将軍に献上する、そのかわり獅子緒たちを倒す。
源内とそんな契約をかわしていたらしい老人は、執念を見せ付けるのです。
ところがその契約相手の源内が
老人に攻撃を仕掛けてくるではありませんか!
源内は気が変わったと言い放ち、あっさり老人との契約を反故に!
ちょっとした遊びをしようと言い放ち、近くの山に眠っていた
ウボ=サスラを起こしたのです!!
ニョグタの水を浴びた人々は次々とその体内から出てきたニョグタに捕らえられ、ウボ=サスラの生贄にされてしまいます。
この地の人間の魂をすべてささげれば動き出し、やがて江戸百万の人間を蹂躙、知恵を取り戻すだろう。
老人が邪神と契約して数々の人々をだまし、痛めつけてまで手に入れようとしていたニョグタの肉。
その結果は町中の人々がニョグタにとらわれ、巨大すぎる化け物が屹立する地獄絵図でした。
ザビエルの信じる神が、ナイトゴーントを操る獅子緒が、旧支配者に何をすることができるのか。
源内は、それを見てみたいというだけでいともたやすく老人を裏切ったのです!
もしウボ=サスラの復活をとめることができたなら、獅子緒の求める姫の居場所を教えてやってもいいと言い出す源内。
ほんの座興だと言い放つ源内。
それを言い終わるのを待たず、獅子緒は
源内の首を跳ね飛ばしました!!
そしてそのままウボ=サスラの元へ飛んでいくニョグタに飛び乗り、復活の阻止に向かうのです!!
もちろんその程度で死ぬ源内ではありませんが、残ったザビエルたちを無視して、ウボ=サスラ……神を相手にした奮闘振りを見物すると空へと飛び去ります。
しかしこのままでは、空たかくで獅子緒ひとりがニョグタ&ウボ=サスラ、そして下手をすれば源内も相手にしなければなりません。
頼みの北斎も墨無しでは空飛ぶ乗り物もかけず、悠長に墨をすっている時間もありません。
八方塞かと思われたその時、由美はそれへ行く方法があると言い出します。
その方法とは、いくらなんでも思い切りすぎた手段!
しかしそれにかけるしかない一同は、その手段にすべてをかけます。
予定されていた祭りで使われる予定だった、花火に乗って、爆発する前に空飛ぶウボ=サスラに飛び乗る、という大胆すぎる作戦に!!
しかしさすがの獅子緒たちも、復活したばかりで絶不調状態とはいえ、最高位の旧支配者相手では分の悪さが否めません。
絶対的不利な状況に、ひとり地上に残って墨をすっていた由美が、少しでも助けになればと神社に安置されていた「草薙剣」の封印をとき、墨とともに獅子緒たちへと送り届けます。
ところがその草薙剣は
獅子緒の胸を貫いてしまうではありませんか!!
大ピンチを更に加速させる超大ピンチ!
獅子緒はどうなるのか?
ザビエルの攻撃は旧支配者たちに通用するのか?
墨不足に悩まされる北斎はどう出るのか?
航空で繰り広げられる戦いは激化!
想いもよらぬ展開を迎えることとなるのです!!
そしてこのあと、物語は最終章へ。
夢国(ドリームランド)なる場所へと向かった一同を迎えるのは、なんと
学園モノ!?
わけのわからないまま、事態は更に急展開!
怒涛の勢いで物語はひとまずの決着を迎えるのです!!
というわけで、今巻で完結となる本作。
なんでも当初から全3巻の予定だったとのことで、一応予定通りの決着と言うことになるようです。
エンドシーンは「おれたちの戦いはこれからだ!」的ではありますが、ひとまずの決着はつきます。
強大すぎるうえ、ビッグネームが多数控えている旧支配者があいてなわけですから、決着をつけようとしたら相当なお話の尺が必要になってしまうのは必然ですから、この結末もやむなしでしょう!
まだ何も気もあっていないようですが、今後も読み切りなどで未公開のエピソードを発表していきたいとのことですので、期待し過ぎない程度に期待して待ちたいところですね!
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大ボリュームの250P超で送る最終巻。
獅子緒の信念が呼び込む、熱い展開の連続は手に汗握ること必至!
クトゥルー好きも単なるバトル物好きも楽しめること間違い無しですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!