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今回紹介いたしますのはこちら。

「僕が死ぬだけの百物語」第3巻 的野アンジ先生 

小学館さんのサンデーうぇぶり少年サンデーコミックスより刊行です。


さて、ユウマくんが「なにか」に百物語を語る本作。
ユウマくんが語る百物語は、普通の怪談のようなものから一風変わったものまで様々です。
今日もユウマくんは「なにか」に百物語をするようですが……?



ユウマくんは押し入れに入り、その中の毛布の中に隠した「なにか」に怪談を語り始めました。
それは、こんな話です。

モモコは学校から家に帰ろうと道を歩いていました。
彼女の家は山の方にあるのですが、その道のりはうっそうと喰らう、人通りもほとんどありません。
その日は雨も降りしきり、一層陰鬱な雰囲気を漂わせていました。
そしてそんな嫌な帰り道の最中に……
雨の中だというのに、道端に傘もささず座り込んでいる女がいるではありませんか!!
モモコは無視して通り過ぎようとするのですが、不意にその女が待って、と声をかけてきました。
女は
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増女の能面をかぶっています。
その異様さに驚き、悲鳴を上げてしまうモモコなのですが、その声を聴いた女は、もしかしてモモコなのか、と改めて声をかけてきます。
なんと能面の女、モモコのお母さんだというではありませんか。
会えてよかった、帰りましょう、という能面の女。
面のせいでくぐもってはいるものの、確かに母親の声……のような気もします。
ですがなぜ母はこんなところにいて、面をかぶっているのでしょうか?
説明を求めると、夕方買い物に出かけたると子供に呼び止められ、この絵mんをつけるように言われた、とのこと。
むげに断るもの良くないかと思って面をつけたものの、強力な接着剤でもついていたのか、どうれだけ引っ張っても面がはがれなくなってしまったというのです。
しかも面は視界が悪く、何よりつける際に眼鏡を取ってしまったせいでほとんど何も見えなくなってしまったのだとか。
うろうろしている間に靴が脱げてどこかへ行ってしまい、崖の近くで転んでかばんや財布、傘もどこかへ落してしまったうえ、少し買い物してすぐ戻ってくるつもりだったため、携帯電話も持っておらず……
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さんざんな目に合ったものの、命があるだけよかった、家まで手を引いて連れて行って欲しい。
そういって、手を差し伸べてくる能面の女。
モモコは彼女に手を貸し、家路に戻るのです。

……道中、母の心配をするモモコの話を聞いていた能面の女は突然笑い出します。
あなた本当にしっかりしてる、お父さんに似たのかしら。
そんなことを言い出す女ですが、モモコからすれば父は、一切家事をやらず、酒ばかり飲んで仕事もろくにできないろくでなし……そんな存在です。
能面の女は、あなたが知らないこともたくさんある、あんまりひどいこと言わないで、というのですが……
ピント外れのように思える言葉を聞き、もしかするとこの女は母ではないのかもしれない、という気持ちが強くなってしまうモモコ、お父さんの名前は何か答えて、と能面の女に問いかけました。
疑っているのか、こっちは心身ともにへとへとなんだからいい加減にして、とモモコに食って掛かるのです。
女の手を見たモモコは……
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お母さんの手はこんなにしわだらけで、血管が浮いていただろうか。
頭にはこんなにも白髪があっただろうか。
本当にこんな声だったろうか、いつもよりしゃがれている気がする。
そんな考えが次々にわいてきてしまいます。
そういえばこの道には、「不審者に注意」という看板もありました。
……モモコは、お面を取って、と女に告げます。
取れないんだ、という女ですが、確かめてみない事には家に連れていけない、とモモコ。
そして、仮面に手をかけ、はがそうと力を込めました!
一向に面は取れず……女は、痛いってば!とモモコを突き飛ばしたのです。
するとその勢いでよろめいた女、足元にあった石でバランスを崩してしまい、転倒。
運悪くその先は崖で……
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女は落下していってしまうのでした。
……恐怖するモモコ。
違う、違う、絶対に違う。
そうだ、お母さん、お母さんに電話しよう、どうして思いつかなかったんだ。
でる、本当のお母さんは家にいて、きっとこの電話に出る。
震える手で電話をかけるモモコ。
やがて電話は着信します。
電話口から聞こえてきた、その声は……!!



というわけで、心霊でも人間の怖さでもなく、単純なホラーとも違う独特すぎる「いやな気持ち」にさせてくれるエピソードを収録した今巻。
紹介したこのお話、ともすればホラーですらないかもしれないお話ですが、幽霊や怪物、殺人鬼と言ったものとは全く別ではあるものの、確実に「恐ろしい」作品だといえるでしょう!!
最後に待っているオチも実にいやな気持にさせてくれるものになっておりますので、ぜひ皆様の目でご確認ください!
この他にも、幼いころから奇妙なものが見えていた少年が、おばあちゃんにその対処方法を教えてもらっていたものの、そのおばあちゃんが不審死して……という「知らぬふり」、幽体離脱の仕方を教えてくれるという「ホラ吹きばあさん」、幽霊となってしまった少年が、それでも父や母と一緒に過ごしたいと願うものの、意思の疎通ができずにやがて……という「成仏」などなど、本作らしい嫌な気持ちにさせてくれるお話がたっぷり!
「テケテケ」といったシンプルな恐怖を楽しめるお話も用意されておりますので、そちら方面をお求めの方もご安心ください!

そして本作の最大の目玉ともいえる、ユウマくんと「なにか」のお話も着々と進んでいきます!
不穏な空気が漂うユウマくんの家ですが、今巻では驚きの急展開が!!
一体何が起きるのか、何がどうなろうとしているのか。
こちらもますます見逃せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!