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今回紹介いたしますのはこちら。

「鉄鍋のジャン!五行クンの楽しい香港生活」第2巻 西条真二先生 

富士見書房さんのドラゴンコミックスエイジより刊行です。


さて、「ジャン!」シリーズでもひときわ強い存在感を持つ敵役、伍行壊の過去を描くスピンオフ作品の本作。
食をもって殺しまで行う裏食医、五行道士が主役だけあり、ジャン史上最もバイオレンスな作品になっております。
そんな本作に、早くもあの人物の面影を感じさせる男が現れて……?




伍行壊が九龍城に現れたのは、彼が3歳か4歳くらいの頃だったといいます。
母親と二人きりで済み始めたのですが、その母親はほとんど男とどこかに出かけて家を留守にしていて、4日や5日家を空けるのもザラでした。
そんな環境では、いくら幼いとはいえ、五行自身が食事を用意するしかありません。
作るのは卵を炒め、塩コショウで味付けしたようなシンプル極まりない料理ではありますが、幼いながら中華の基本、連鍋(鍋を熱して油でコーティングすること)をきちんとしていたのは、のちに料理で名を馳せる片鱗だったのでしょう。
母親の手作りの料理など食べたことがなく、食材がなくなれば冷蔵庫に余っていたものや、買い置きのパン、果てはしょうゆをかけたご飯だけで上を満たすことも少なくありませんでした。
勿論片付けもするのは自分だけ……
そんなある日の事でした。
母親が男と家に帰ってくると、なんと五行に料理を作ってくれたのです。
そのメニューは、チャーハンでした。
五行ですら知っていた、連鍋も碗献も知らない、中華料理というよりも単なる「食べ物」であるチャーハン。
ですがどうしたことか、五行にはそんなチャーハンが今まで食べた何よりおいしく感じられたのです!
五行にとって初めての母親の手料理。
何よりもおいしいごちそうだ、喜んで食べるよ!
五行の舌は、そんな幸福感で満たされていたのです。
五行ががつがつとチャーハンを食べているのを見届けると、母親と男は何やら目配せ。
そして、ちょっと出かけるからそれを食べていなさい、と言い残し、どこかへ行ってしまいました。
母親と一緒に食べるわけではないのか、と気が付くと、同じ料理を食べているにもかかわらず、一気に味が落ちてしまったように感じる五行……
それでも母親が作ってくれた手料理なのだから、残さず食べよう、と五行は口にレンゲを運ぶ手を止めないのでした。
……その時五行は、残酷な真実を知らなかったのです。
家を出て行った後、母親は男とこんな会話を交わしていました。
ったく、嫌になるわあのガキ。
5日も放っておいたのに全然弱りもしないんだもの、しぶとすぎるわ。
母親が突然帰り、五行に作った料理。
それは五行に愛情を与えるためのものではなく……
死を与えるための物だったのです。
チャーハンに入っていた具は、スパムと……トリカブト。
葉っぱ約1グラムで致死量になる、猛毒の毒草です!
10分から20分後に嘔吐、悪心、呼吸困難、臓器不全といった症状が現れ、死に至ります。
治療法、解毒剤は……ありません。
五行は猛烈な体の痛みと、血で真っ赤に染まった王都に苦しみ、体をかきむしりながら運命を呪いました。
初めてママが作ってくれた料理は毒だった。
ママにとってボクは、いらない子、邪魔な子だった!
二度と人間なんて信じるものか!!
激しい怒りと憎悪の中で、血だまりに沈む五行。
警察が駆けつけた時に見たものは、血反吐の中で呼吸もできずのたうち回る五行の姿……
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それはまさしく地獄の光景だったといいます。
ところが五行は死にませんでした。
五行の持ち前の運の強さ、生命力もあったのでしょう。
ですが最も幸運だったのは、五行が苦しんでいたちょうどその時、たまたま大家が五行の家に家賃を回収しに来ていたのです。
それがなければ、五行は間違いなく死んでいたでしょう……

九死に一生を得た五行に、警察はその後の状況を説明してくれました。
母親は男と逃げ、今はカナダにいるらしい。
調査の結果は後で報告する、できる限り早く母親を見つける。
そう言ってくれた警察に、五行はこう返すのです。
母のことは毛包ておいてください、それよりも僕は施設への入所を希望します、手続きをお願いします。
……その時からです。
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五行の顔に取り繕った、凍り付いたような笑顔が貼り付いたのは……

そんな五行の過去を、九龍城で聞きこんで調査していたのは、五番町葉六でした。
あの五番町キリコの父である葉六、何故五行の事を聞いていたのでしょうか……?
とその時、その葉六に何を嗅ぎまわっているのかと話しかけてくる人物が。
五行の住む家の大家にして、何より金を好む「九龍城の女」永燁です。
が、葉六はそんな永燁の後ろに立っている人物の方が気になりました。
それはのちに「ジャン!」で審査員たちのリーダー格を務める全日本中華料理連盟の会長、崔信典と……すらっとした美男子だった、若かりし日の大谷日堂です!!
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さらに気が付けば、葉六を包囲するように、五行本人と、五行に勝負で敗れ子分的ポジションになった呂が立っているではありませんか。
どうやら葉六、日本で「秋山爆」と「コウ」を殺害した容疑をかけられているようで、中国に高跳びした様子。
葉六を知る人物は誰も葉六が殺したとは思ってはいないとのこと。
秋山爆がいない今、日本中華料理界のトップである葉六が日本にいないのは困る、と崔会長たちはわざわざここまで葉六を探しに来たところ、怪しい動きをしている葉六の調査をしていた永燁と出会った……ということの様です。
ですが葉六は、「秋山爆がいないから自分がトップである」と言われていることが我慢ならない、と言うのも日本をたった原因の一つの様で……
なかなか話が進まなさそうだ、となったところで、永燁は突然葉六と五行と呂で料理勝負をしないかと言い出すのです。
葉六からすればなんでそうなるのかと言ったところですが、その勝負を判定するのが崔と大谷ともう一人、あの人物だということを聞くと勝負を受けずにはいられなくなるのです。
その人物とは、中華の巨人
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百蘭王!!!
百蘭王に認められれば、秋山爆も関係なく葉六は日本で一番の中華料理人だと認められることになるはず。
五行にも興味がないわけではない葉六、面白そうだと勝負を受けることに。
五行や呂も異論はなさそうです。
そしてその料理勝負のテーマは……「不老不死料理」!!
なんだか途方もないように思えるテーマですが、葉六は、呂は、そして五行はどんな料理を作るのでしょうか!?




というわけで、五行の過去が明かされ、まさかの五番町葉六との戦いになだれ込む今巻。
葉六というジャンシリーズのビッグネームの一人が登場し、五行の過去に更なる厚みが出てまいりました!!
不老不死料理というテーマでそんな葉六と戦うことになるわけですが、ジャンル的には五行の得意なジャンルと言っていいはず。
だからと言って葉六が「医食」に詳しくないはずもないわけで、五行からしても油断できない勝負になるのです!!
勿論、大谷や崔、先代白蘭王が登場したのも興味深いところ!
大谷と五行は「ジャン!」本編ですでに知り合いだったことはわかっていましたが、ここでついに出会いが明かされることになりました!
さらにここで大谷と葉六のとんでもない因縁を生む、とんでもない出来事も描かれますので、そちらも注目ですよ!

さらに葉六との戦いの後、永燁と五行の過去をさらに掘り下げるエピソードも収録!
不老不死料理の対決でもそうでしたが、こちらのエピソードも本作らしいダーティな要素がたっぷり堪能できるお話です!!
勿論特徴的なセリフ回しや奇想天外な料理など、西条先生らしさもたっぷり楽しめますよ!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!