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今回紹介いたしますのはこちら。

「裏バイト:逃亡禁止」第5巻 田口翔太郎先生 

小学館さんの裏少年サンデーコミックスより刊行です。


さて、それぞれの目的のために高額報酬が約束された裏バイトにいそしむ和美とユメ。
二人は毎回のように死と隣り合わせになりながらも、ユメの危険を匂いで感じ取る能力と、和美の判断力で難を逃れて金を得続けるのでした。



ある日のことです。
和美はユメの家を訪ねていました。
次のバイト先がユメの自宅から近いため、今回のバイトをしている期間の間止めてもらうことにしたのです。
ユメは、弟の望と、妹のミライと三人暮らし。
ミライは早くもトランプをしようと和美を引っ張り込みます。
望は、いつぐらいまで見ず知らずの男女が一つ屋根の下で暮らすの?と謎の言い回しで和美の滞在期間をユメに尋ねるのですが、歓迎していないというわけではないようです。
そんなユメの方も、この家にずっと暮らしているわけではありません。
今回は裏バイトの勤務地が近いためこの家で寝泊まりを続けますが、そうでない場合は長いこと家を空けていることも少なくないわけで……
こうして和美も加え、賑やかに自分の家で過ごせるのは、ユメには勿論、望やミライにとって大変うれしいことなのです。

裏バイトの勤務地が近いというのはありがたいことではありますが、逆にいつものような危険と隣り合わせのバイトをする場所が近所にある、というのは恐ろしさも感じてしまいます。
しかもそのバイト先は、ユメを含めた多くの人が利用する「駅」。
幸い学校には歩いていける距離の為日常遣いはしませんが……今後は違う駅を使った方がいいかもしれない、などと言いながら二人は現地に向かうのです。

そしていよいよ今回の裏バイトが始まります。
勤務時間になると、他のアルバイトや駅員と違う行動をとるユメと和美。
4番ホームに階段でむかい、エスカレーターを使って一度戻る。
そして南の女子トイレに言って何もせず10秒ほどたったらでて、階段で7番ホームへ。
そして東側の自動販売機の……
と言うように、二人は事前に駅員から非常にややこしいルーティーンを教え込まれています。
このルーティーンは他言無用なのは勿論のこと、メモすることすら許されていません。
和美はこういうのが苦手ですが、幸いユメはきっちりと記憶できていまして、その厳重に守られた秘密のルーティーンをこなすことができました。
すると、二人は辿り着くのです。
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本来存在することのない、13番ホームに……!

そこには人っ子一人いません。
線路もありますが、その外側……隣のホームや外の風景が見えるべき周りは、白い霧のようなものが立ち込めていて一切何も見えず。
そして普通のホームのように案内板もあるのですが、何が書いてあるのか一向に読むことのできない、不可解な文字の様な物がのたくっています。
和美が何となくその案内文を眺めていますと、その下から
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得体のしれない何かが和美をのぞき込んでいました。
思わずのけぞる和美ですが、ユメがそっと背中にふれ、そこまでクサくないから大丈夫、と落ち着くように言ってくれました。
と、その時、二人に声がかけられます。
あの、え、駅員さんですよね、ここの。
茫然とした表情でそう尋ねてくるのは……
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ごく普通の女性でした。
これが二人に課された仕事。
二人がここにやってきたのとは別のルートで、極稀に普通のお客さんが13番ホームに迷い込んでしまう。
そんなお客さんを、元のホームに返すのが二人の仕事なのです!
変えるのにも複雑なルーティーンがありますが、ユメがしっかり覚えていたおかげで無事帰りつきました。
普通のお客さんはお礼を言って駅の喧騒の中へと帰っていくのですが、二人は最期に降りてきた階段の途中でそれを見送りました。
この階段を最後まで下りなければ、ルーティーンを踏まずに13番ホームに戻れるのです。

……得体のしれない恐ろしさのある仕事ですが、今までの裏バイトからするとなんだか気分のいいバイトです。
アウトローな感じはありませんし、しっかり人の役に立っているという実感もある。
悪くないけど、「裏バイト」であるからには油断してはいけない。
二人がそんなことを話していますと、そこにやってきました。
「メインの仕事」である、迷い込んだお客さんの案内。
「メインの仕事ではない」、
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普通ではないお客さんが。



というわけで、今回もさっそくきな臭いにおいが漂ってきた本作。
この普通ではないお客さんの相手こそが、このバイトで最も気を付けなければならないことなのです。
この普通ではないお客さんへの対応を誤ると、とんでもないことが待っている……
そして二人は、そのとんでもないことに巻き込まれてしまうのです!!
物語はこの後まさかの展開へ。
今までにないタイプのクサさが待ち構えているこの「駅員バイト」、予想外の展開が巻き起こり、二人を更なる恐怖へ巻き込むのです……!!

そんな見逃せないエピソードの他にも注目のエピソードがそろっています。
最期のページまで「大いなるもの」の恐ろしさが堪能できる「海の家スタッフ」、笑顔で葬式を行う奇妙な村の「葬儀屋スタッフ」、違和感が常にまとわりつく奇怪なアルバイト「遊園地スタッフ」……
その中でユメの過去が明かされたり、以前も姿を現した「黒い七福神」の仲間と思われるものが現れたりと、今後につながっていきそうな要素も満載です!!
本作のもう一つの持ち味であるシュールなシーンもばっちり用意され、今回も恐ろしくて時折笑える作品に仕上がっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!