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今回紹介いたしますのはこちら。

「フォビア」第1巻 原作・原克玄先生 作画・ゴトウユキコ先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


原先生は08年に「みんな生きてる」でデビューした漫画家さんです。
ビッグコミック系列を主戦場に、「るみちゃんの自称」「ハラストレーション」等のシュールギャグのショートコミックを主に描かれていらっしゃいます。

ゴトウ先生は09年にちばてつや賞で大賞を受賞し、デビューした漫画家さんです。
様々な雑誌で活躍をされていまして、代表作はドラマ化もされたエッセイ漫画「夫のちんぽがはいらない」。
人の感情の動きをリアルに描いた作風で多くのファンを獲得されておられます。

そんな個性派の二先生がタッグを組んだ本作、本格派のオムニバスホラーコミックとなっております!
果たしてどんな科学変化を巻き起こすのか?
気になるその内容はと言いますと……?



突然、開けたままになっていたバッグのファスナーは閉じられました。
バッグの持ち主の女性はただただ驚くしかありません。
そのファスナーを閉じたのは、隣の席に座っていた女性です。
その女性は、無意識のうちにやってしまったことのようで、バッグの持ち主に平謝り。
すみません、いや、あの、その……あいていたので……と。

彼女は橋田ちえみ。
市役所で働く普通の女性……と言いたいところなのですが、彼女には恐ろしくて恐ろしくて仕方のないものがあるのです。
それは……「すきま」。
彼女は隙間と言う隙間が恐ろしいのです。
それはもう病気と言ってしまったもいいほど深刻な段階にまで行ってしまっています。
例えば、
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仕事上欠かせないパソコンのキーボードを見ると、キーとキーの隙間から気がぞわぞわと生え出してくるような妄想をしてしまう、など……
普段は出来る限り画面だけを注視することで何とかやり過ごしているのです。

そんな彼女の隙間への恐怖は、幼少期に出逢ってしまった恐ろしい出来事がきっかけとなって生まれたものでした。
昔から今ほどではないながら、隙間への恐怖があったちえみ、お母さんに隙間に誰かいるよと言いながらズボンを引っ張っていたのですが、料理をしている最中だったこともあり、お母さんもまたそれかと取り合ってくれません。
止む無くひとりで外に遊びに行った彼女、アリの行列を追いかけて、道路わきにはまっている側溝のふたを覗き込みました。
するとそのふたの隙間から
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二つの目が、覗き返していたのです……!

後々話を聞きますと、それは何者かに殺された死体が、側溝の中に捨てられていたものなのだとか。
ですがそんなことを知るはずもない幼い日のちえみには、消えることのない深い心の傷を植え付けるものとなってしまったのです。
未だ癒えることのない、心の傷と戦いながら生きてきたちえみ。
本と本の隙間から、電話と棚の隙間から、エアコンの吹き出し口から、何かが覗いているのではないか……
そこまでこわいなら、目をつむってしまえばいい、そう考える方もいるかもしれませんが、そうことは簡単ではないのです。
瞼の内側。
それは、眼球と瞼の「隙間」の内側の世界……!
彼女はどこに行っても、どうしても、隙間からは逃れられないのです……

そんなちえみですが、生活の中で救いもあるのです。
それは彼女の恋人、こういちの存在。
こういちが電車内でズボンのチャックを開けっ放しにしていたところ、気になったちえみがそれを閉じて……というちょっと特殊な出会いから二人は付き合うことになりました。
こういちはちえみの奇行を咎める事もなく、冗談で和ませたり、少しでも気になることが無いようサポートしたりしてくれているのです。
どんなに隙間が恐ろしくても、彼がいれば耐えられる。
こういちのおかげで、ちえみは最悪の状況だけは逃れることができていたのです。

……が。
幸せは長くは続かないものです。
いつからかこういちはちえみに対してそっけなくなり、隙間に対して怯えるちえみに苛立ちを隠さなくなってきました。
ストレスがたまり、眠れなくなってきたちえみは……とうとう横で寝ているこういちの「開いている口」に恐怖を感じ、布団を詰め込んで塞ごうとしてしまう、というとんでもないことをしでかしてしまうのです!!
その事件が決定打となり、二人の間の「隙間」は一層深まってしまいました。
居てもたってもいられなくなったちえみは、自分と一緒にいないときにこういちが何をしているのかがきになり、尾行を始めてしまいます。
そしてそこで、ちえみは見てしまったのです。
覗くことができないはずの、扉の隙間から。
こういちが……
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見も知らぬ女性と、愛し合っている所を!!

こういちが、隙間の中のさらに奥、女の隙間にのみこまれていく。
この時、ちえみは完全に壊れてしまったのかもしれません。
ちえみは
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ただ、航一を助けなくてはならないと言う思いの一心から、さらにとんでもない行動を取るのです。
こういちと女の情事が終わった後、こういちが帰っていった直後を狙い、女の部屋に乱入!
スタンガンで女を気絶させ、そして……その女の……
「隙間」を、塞ぎ始めたのです。



というわけで、すきまに恐怖するちえみの物語が描かれる本作。
ちえみが女の「隙間」を塞いだ後も、まだまだ物語は続きます。
ちえみとこういちの関係はどうなるのか。
そして物語の最後にちえみが気付いた事とは……?
戦慄の結末が待ち叶えているのです!!

この他の物語も見どころ満天!
ふとしたことから自分の匂いが気になって仕方なくなってしまった少女の物語、「匂い」。
高所恐怖症の女と行きずりの関係を結んだ男に襲い掛かった恐怖、「高所」。
都会に馴染めなかった女性が妄想に憑りつかれ、そこに引きずり込まれていく「集合体」。
目が覚めると狭く暗い部屋の中に押し込められていた、「閉所」。
いずれも人が恐怖を感じる、「恐怖症」の元となるものをテーマにした恐怖の物語が描かれていくのです!

原先生の人並み外れた発想から生まれる生理的な恐怖からくる物語は流石の一言。
ギャグとホラーは紙一重と言う言葉も聞きますし、ギャグ畑の方はホラー作品にも向いているのかも……?
さらにその物語を、ゴトウ先生の生々しい絵柄が一層おぞましさと恐ろしさを増幅させているわけです!
圧倒的な生々しさで迫る恐怖が楽しめる本作、これから先も必見ですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!