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今回紹介いたしますのはこちら。

「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」第7巻 原作・中村力斗先生 作画・野澤ゆき子先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、順調に(?)数を増やしていく恋太郎ファミリー。
なにせ100人出てくるはずなわけですから、ちんたらやってはいられません!
今巻でもやっぱり新ヒロインが登場します!!



恋太郎は、久しぶりの親戚のヒロ叔父さんの家にやってきていました。
割と近所にヒロ叔父さんの家はありまして、お子さんが生まれて忙しくなるまでは恋太郎もよく遊びに行っていたものです。
かなりのブランクが空いて今日ここにやってきたのは、突然ヒロ叔父さんから、自分の留守中に娘の面倒を見てくれないかと頼まれたため。
ヒロ叔父さんは昔から恋太郎を良い子だとものすごく褒めちぎってくれていたのですが、会ったこともない娘さんの面倒をいきなり一対一で見させるのは流石に過大評価が過ぎるだろう、と恋太郎は考えておりました。
ヒロ叔父さんの娘、つまり従姉妹の知与ちゃんは今年中学生になったばかりだとか。
初めての対面に少しばかり緊張する恋太郎、流石に運命のお相手で、会った瞬間「ビビーン」なんてことはないだろう、とヒロ叔父さん宅を尋ねるのです。
が。
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やっぱりビビーンとなってしまいました!!
いいのか、いいのか集英社!?
思わず出版元に問いかけてしまう、まさかの身内&中学1年生のヒロイン登場に戸惑う恋太郎ですが……ハッと正気に戻った知与ちゃんからまずははじめましてのご挨拶。
恋太郎も挨拶しまして、お家に入りましょうとなったのですが、そこで躓いて知与ちゃんの方に倒れこんでしまいました!
このままではいかんととっさに飛びのいた恋太郎ですが、あまりに飛びのきすぎて家から飛び出し、向井のお家に塀に激突してしまいました!!
慌てて様子を見に来る知与ちゃんですが……何やら様子が変。
険しい表情で歯を食いしばり、う゛う゛ー!と唸り始めたのです!!
なんでも知与ちゃん、乱れたものを見ると正したくなってしまっていてもたってもいられなくなるのだとか。
今の衝撃でシャツの裾が乱れてしまったのを見て、もう直したくてどうしようもなくなってしまったのです!!
すそを直し、シャツのしわまで直してようやく落ち着くと、失礼なことをしてごめんなさいと謝り、恋太郎を家の中に招いてくれたのでした。

知与ちゃんは学級委員長をしているので、クラスの模範にならないといけない、と頑張っているようです。
が、この正し癖はその立場由来のものではなさそう。
うっかりして飲み物を自分の服にこぼしてしまった恋太郎を、強引にお風呂に連れて行き、汚れたシャツを洗濯し始めるのです!
面倒を見に来たはずが面倒を見られてしまっている……
恋太郎は、君は中学一年生なのに頼っちゃってごめんね、と扉越しに謝るのですが、知与ちゃんはこう答えます。
御存じのとおりうちは2人なので、一人娘の私がしっかりしなきゃいけないので。
シングルファザーのヒロ叔父さんと二人で暮らしてきたうちに、彼女の正し癖が形成された……ということのようです。
そんな彼女に思うところある恋太郎ですが、それを言葉にする前に……大声をあげてしまいました!
給湯器の調子が悪くなってしまったのか、いきなりシャワーが水になってしまったのです!!
様子を見に行ってくると外に出ようとする知与ちゃんなのですが、今度はなぜか脱衣所から外に出る扉が開きません!
ドアノブと格闘して外に出られないままでいるよりは、とりあえず恋太郎に体を拭いてもらって、服を着て少しでも暖を取ってもらう方がいいでしょう。
早速実行に移しますが、冷水を思いっきりかぶってしまった恋太郎の体はなかなか温まってこないのです。
このままじゃ風邪をひかせてしまう、この家の私がちゃんとしっかり面ないししなきゃいけなかったのに!
しっかりしなきゃ、しっかりしなきゃ……!
追い詰められた知与ちゃんは、思い切って恋太郎に抱き着きました!
体温で恋太郎を温めようと言うのでしょう。
そんな知与ちゃんを見て、恋太郎はそっと頭を撫でながら、こう言いました。
ごめんね、こんな面倒ばかり。
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それにしても、そんな無理にしっかりしなくていいんだよ。
君はまだ中学一年生の女の子なんだから。
ごめんね、こんな勝手な事。
学級委員長だから、この家の一人娘だから、って、自分の背丈以上に頑張ろうとしているみたいで。
君の体は、こんなに小さいのに。

今まで皆に、しっかりものね、しっかりしててえらいね、と言われ続けてきた知与ちゃん。
最初はただ小さな乱れが気になって正していただけの知与ちゃんですが、みんなからしっかりしててえらいと褒められ続けているうちに、だんだんと言われれば言われるほどしっかりしなくてはいけないと思うようになってしまっていたのです。
幼い知与ちゃんにとってそれは、もはや呪いのようになってしまっていたのではないでしょうか。
誰にもわかってもらえなかった、本当に欲しかった言葉。
それを恋太郎は、ほんの数十分一緒にいただけでくれた……
知与ちゃんはもうその気持ちに気付いてしまいました。
ですが、いとこ同士でそんなことは許されるのか、乱れていることではないのか……?
そんな思いがどうしても知与ちゃんに一歩踏み出すことを躊躇させていたのですが……
そこで急に、知与ちゃんの眼鏡が外れ、下に落ちてしまいました。
すると突然、知与ちゃんが大泣きし始めるではありませんか!!
いきなり泣き始めた知与ちゃんにどうしていいかわからない恋太郎ですが、今度は知与ちゃん、
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恋太郎さん、好きぃぃぃー!と告白までしちゃうのです!
不意打ち告白にまた驚く恋太郎、とにかく落ち着かせようとするのですが、そこで何者かの声が聞こえてきます。
知与はね、眼鏡が外れるとなんも見えなくなって不安で泣き虫になっちゃうのさ。
どうだったね、次々に降りかかるラッキーイチャイチャは。
そう言いながら現れたその人物は、留守にしているはずのヒロ叔父さんではありませんか!!
なんと今までの、恋太郎が躓いたこと、コップを倒してしまったこと、お湯が水になった事、知与ちゃんのメガネが外れた事、もろもろの全てはヒロ叔父さんが裏でいろいろ交錯して行ったことだったのです!
ヒロ叔父さんは知与ちゃんを溺愛し、恋太郎のいい子ぶりに全幅の信頼を寄せ過ぎたあまり、世界一大切な知与ちゃんを渡せる男は世界一いい子の恋太郎以外に居ない!と思い、知与ちゃんが告白できるようにおぜん立てし、二人をくっつけようと工作したのです!
ヒロ叔父さんは本来、妹のような存在だと思わせないため、もう少し二人を接触させないままにしようとしていたそうなのですが、最近恋太郎の周りに滅茶苦茶女の子がいっぱいいて焦り……それでも、女の子がたくさん周りにいると言うことは、まだ特定の一人=彼女はいないと言う事だろうと予測して作戦を決行したそうです。
……まぁ、全員彼女なんですが……
恋太郎の衝撃的なカミングアウトに策士(?)のヒロ叔父さんも流石に戸惑うものの、じゃあ逆に一人くらい親戚がいたっていいってことだよね!と強引に話を進め……
知与と付き合うって言ってくれ!と知与ちゃんと一緒に大泣きしやがるのでした!!

眼鏡を装着して落ち着いた知与ちゃんに恋太郎は、そう言う事なら告白に応えられない、と頭を下げました。
知与ちゃんの気持ちに関わらず、誘導されて告白させたなら受け入れられないと言うのです!
恋は本人の気持ちのままにあるものだからこそ、本物で美しく尊く、大切なものだと思うんです。
そう真摯な瞳で答える恋太郎に、知与ちゃんは……
私も恋太郎さんのことが好きです、お父さんの作戦でドキドキしたからじゃなく、恋太郎さんが恋太郎さんだからです。
従姉妹のあなたに何をバカなことをって、非常識な子だってきっと思われてしまいますけど、でも、それでも、私は恋太郎さんのことが好きです……!
どうか、付き合って下さい……
そう、改めて告白したのです!!
従姉妹だとか中学一年生だとか、集英社に確認するだとか、余計なしがらみに捕えられていたのは自分じゃないか。
そう気が付いた恋太郎は、その告白を真正面から受け止めるのでした!!
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……後ろでヒロ叔父さんが、いえー!やったー!逆転ホームラン!お赤飯いえーッ!と飛び跳ねて喜んでいなければ、より感動できたはずなのですが……



というわけで、新ヒロインが登場する今巻。
ツッコミの割合が少ない恋太郎ファミリーだけに、ツッコミに回ることの出来る知与ちゃんの存在は、新たな魅力を持っているヒロインと言う部分だけではない作用を本作に齎せてくれることでしょう……!
ですが「う゛う゛ー!」となってしまうと一気にめっちゃくちゃになってしまいますので……まあ他のヒロインの皆様方に負けない強烈な個性で本作をまたにぎやかにしてくれそうです!!
そして知与ちゃんの加入後、いつものように知与ちゃんの掘り下げ回を行い、そして今までにヒロイン達が活躍するお話なんかをはさみまして、早くも13人目(!)の彼女が登場!!
アクの強いキャラの多い本作ですが、13人目の彼女もなかなか物凄いイロモノ……もとい、個性的なキャラなのです!

完全にギャグ漫画ではあるものの時としてラブコメ的な部分も決めてくれる中村先生の原作力と、増えていく彼女達を皆しっかり描き続けてくれている野澤先生の作画力、どちらも健在!
ハイテンションのまま恋太郎ファミリーたちの愛と結束とラインナップが続々と強化されていく今巻も、いつも通りおまけも満載で楽しめること間違いなしですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!