re0
今回紹介いたしますのはこちら。

「食糧人類Re:-Starving Re:velation-」第1巻 原作・蔵石ユウ先生 漫画・イナベカズ先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。


さて、伊江たちの活躍によって、怪物たちの魔の手から人類を救うことができた前作「食糧人類」。
その続編となる本作ですが、平和になったはずの世界に何が起きると言うのでしょうか……?



一人の生徒が、先生に悩みを打ち明けていました。
僕、死ぬのが怖いんです。
……先生に相談するかどうかはともかくとして、その悩みは誰もが一度は考えたことがあるようなありふれたものと言えるでしょう。
ですが先生はその悩みを聞いた直後、
re1
信じられないものを見たとでも言いたげな表情を浮かべるではありませんか!
ですがそこは流石聖職と言うべきでしょうか、すぐに取り繕って平静を装い……
10代の多感な時期に情緒が揺らぐことはよくあって、いろいろなことに恐怖心を抱くのもおかしくない、不安が強かったらカウンセラーを紹介する、とアドバイスを送るのです。
生徒はそのまま教室に戻るのですが……それを見届けると、先生は何処かに電話をかけ始めました。
少し気になる子がいる、名前は天沢大輝、17歳……と、先生はその生徒の情報を伝えるのです。

大輝は先生の反応を思い出し、頭を抱えていました。
やはりすごく変なことを言ってしまったんだ、こんなことを言ったのがみんなに広まったら、帆秋君みたいになってしまう。
クラスの仲間外れの厄介者、という認識の帆秋と言う生徒を思い浮かべながら、大輝は教室にもどるのです。
教室に戻ると、何やら校内放送が始まりました。
校長からの大事な話だと言うその校内放送の内容は、こんなものです。
今日は我が公において大変名誉なお知らせがあります。
我が校二年C組の蓮沼柚さんが、
re2
出荷されることとなりました!
蓮沼柚と言う女子は、大輝と同じクラスと言うだけでなく、子供のころから一緒の幼馴染です。
その少女が「出荷」されると聞くと、一同は沸き立ち、祝福し始め……
鳴りやまぬ拍手の中で、柚も嬉しそうに笑うのでした。
そんな祝福ムードの中、一人衝撃を受けているのが、他ならぬ大輝です。
柚が、出荷?
じゃあ柚、マジで死んじゃうの?
そんな絶望を面に出すこともできず、大輝は柚が教室を出て、校長室に向かう様子を見送るしかないのでした。

先生はこう言います。
プランクトンは小魚に捕食され、その小魚は大型の魚やタコに、それはさらに大型のマグロやサメなどに食われ、やがて死ぬとその死体がプランクトンに食われる。
これを食物連鎖と言うが、われわれ人間も一緒だ。
草を食べさせて育てた牛などの家畜を食べ、さらにその我々を「天人様」に食べてもらう。
そうして人間は天人様の完璧な統治を授かるんだ。
この統治によって人類は人類同士の争いのない「真の平和時代」ことができている。
「天人様」に食べられることは大変な栄誉だ……
そんな先生の言葉が話されたホームルームが終わると、クラスの一人が「サプライズプレゼントをしたい」と言いだしました。
それは
re3
指です。
切断した自分の小指です。
これを柚が食べて、その柚が天人様に食べられれば、自分も天人様に食べてもらえたことになる、と言いだすその生徒!!
それを聞いたクラスの皆、拍手でその決断を称賛し、それならクラスの皆で体の一部を提供しよう、と声をそろえるではありませんか!!
生徒たちの言葉を聞いた先生も大賛成。
放課後になると早速その「サプライズプレゼント」は実行に移されます。
次々に指を切り落としていく生徒たち。
ピアノを特技としているものは、指を切り落とされると弾けなくなってしまうから、と耳を切り落として提供し……
そんななか、やはり大輝はそれに倣うことができません。
どうしたんだ、天沢だけ出さないのは妙だろう、みんなで痛みを共有しよう、あとでいい思い出になる。
re4
ほら、指を切り落として。
そう言って、にっこりと笑って、切断された指の入ったバケツを差し出してくるクラスメイト達……!
大輝はたまらず、そのバケツの中に嘔吐してしまい……!!

大輝はみんなの提供したものをきれいに洗うことになりました。
なんで僕はこうなんだ、みんなの思いを無にするようなことを。
そんなことを考えながら、同時に指を切り落とすなんて怖いし気持ち悪い、なにより柚が死んでしまうなんて信じられない、という気持ちも湧き上がってきて……
大輝は一人洗い場でうなだれるのです。

そんな様子をうかがっているものがいました。
柚が出荷される報せを聞いた時、一人大きな反応を示さなかった男、万智音と、クラスの嫌われ者の帆秋でした。
大輝の様子を見ながら、王とするほどの強い拒否反応が出たんだ、覚醒し始めている、とつぶやく万智音。
どうやら彼は指の提供の時もうまい事誤魔化せたのでしょう、指は健在のようです。
そして帆秋に、こう言うのです。
一度接触しておくか。
アイツが排除される前に、な。




というわけで、幕を開けた「食糧人類」第2章。
「覚醒し始めている」という大輝ですが、彼は確かに何かに目覚めてしまったようです。
その日以降、今まで当たり前だったはずの日常が、異様であることに「気が付き」始めてしまうこととなり……
あまりに異常な日常を過ごしていたことに気が付いた大輝に襲い掛かって来る、異常な常識。
彼に手を差し伸べることになる、万智音と帆秋。
謎に包まれている「天人様」。
出荷されてしまうことになった柚……
様々な出来事が一気に襲い掛かってくることになる大輝は、覚醒した目で見るものは……!
こう言った作品では、なかなか真の黒幕が明かされないことも多かったりするのですが、天界の速さに定評のある(?)蔵石先生原作作品だけに、そのあたりは問題なし!
この第1巻のうちに「天人様」の正体も明らかになり、前作「食糧人類」の後なぜこんな世界になってしまったのかということまで早くも明かされていきます!!
そんな中で前作と大きく違うのが、「外に出たら何とかなるかもしれない」というようなとりあえずのゴールが見えない点、そして柚と言う前作では不在だった「ヒロイン」の存在でしょう!
天人様の統治を崩すことができるのか、この普通ではない世界を元に戻すことができるのか……という途方もない、簡単には解決しないであろう問題の前に、まず柚を救えるかどうか、という問題があるわけです!
柚が出荷されるまでの時間はそれほど長くありません。
早く彼女を助けなければならないのですが、そこにさらにまた別も大きな事件も巻き起こって……!?
前作と同じ、人間を食う存在と戦う作品ながら、その色を大きく変えてきた本作。
今後の展開がどうなっていくのか、楽しみですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!