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今回紹介いたしますのはこちら。

「ルックバック」 藤本タツキ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、第一部完結となった「チェンソーマン」以来、久しぶりの作品発表となった藤本先生。
チェンソーマン第二部の準備期間なのかと思いきや、なんと突然140ページを超える長編の読み切りを発表されました!!
発表した直後からネット上などで大きな話題を呼んだこの作品、気になるその内容はと言いますと……




4年生の学年新聞に載っている4コマ漫画。
その漫画を描いているのは、クラスの中でも絵がうまいと認められている藤野です。
今回の4コマも皆に面白い、絵がうまいと大絶賛されているのですが、藤野はちょっと忙しかったから5分で描いた、それにしてはまあまあうまく書けたかな、と嘯くのです。
クラスメイトには漫画家になれるんじゃないかと言われるのですが、藤野はずっと机に座って絵を描いているのはつまらなそうだと難色を示し、恵まれた運動神経を活かしてスポーツ選手になろうかという事を言いだしました。
どっちにしてもサインくれよ、とクラスメイトに言われますと、藤野はまあいいけど、といやいや……を装いながら、まんざらでもなさそうなのでした。

そんな藤野、ある日先生からある頼み事をされました。
2本書いていた4コマ枠の一本を、「京本」に譲ってやってくれ、というのです。
京本と言うのは藤野の隣のクラスに在籍しているものの、不登校でずっと学校に来ていないと言う生徒なのですが、学校には来れないけど、漫画は描いてみたいとコンタクトを取って来たらしいのです。
藤野はそれを聞くと、私は別にいいですけど、と前置きして……
ちゃんとした絵を描くのってシロウトには難しいですよ、学校にも来れない軟弱ものに漫画が描けますかねぇ、とあざ笑うかのような笑みを浮かべるのでした。

そしてその日はやってきました。
京本の描いた4コマが載っている学年新聞が配られ、薄笑いを浮かべながらそれを受け取る藤野。
ですがそこに載っていたのは、
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到底小学4年生とは思えないとんでもない画力で描かれた学校の風景だったのです!
それはおおよそ4コマ漫画と言えるものではないものの……絵のレベルの違いは火を見るより明らかでした。
藤野は驚いて固まり、クラスメイトもこれはプロ級だ、こう見ると藤野の絵って普通なんだな、囁かれてしまい……

放課後、帰途に就いた藤野は考えていました。
今まで自分の絵を褒めてくれた大人たちの賛辞の言葉。
そして今日クラスメイトが何となく口にした、藤野の絵は普通だと言う言葉……
ぼーっと風景を眺めていた藤野ですが、ふと何かに気が付き……こう言ったのです。
そっか、京本のヤツ、私が学校行ってる間に絵の練習してんだ。
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4年生で私より絵ウマい奴がいるなんて、絶っっ対に許せない!

それから藤野は、絵の上達に時間を割くようになりました。
絵が上達する為の本を買い、時間が許す限り、いや、許されないだろう授業中にまで隠れて絵を練習し……
そうやって時間は過ぎて行きました。
そうしていると、次第に友達に藤野は呆れられ始めてしまいます。
6年生になったある日、絵の練習をしていると、友達に言われれしまいました。
そろそろ絵描くの卒業した方がいいよ、中学で絵を描いてたら、オタクと思われてキモがられちゃうよ、と。
家族にも心配され始めていた藤野ですが、それでもしばらくは絵の練習を続けていました。
ですがそんな時に彼女に突き付けられたのが、学年新聞の4コマだったのです。
藤野の絵は確かに上達していまいた。
小学6年生としてはかなり上手な絵ではありましたが……京本の絵も上達しており、まさにプロはだしのレベルに到達しつつあったのです。
藤野があれだけ練習に打ち込んでも、届く気配すらないレベルに……
それを見た藤野は……やーめた、と小声でつぶやきました。
京本に絵で勝ちたい、という気持ちの糸がとうとう切れてしまたのです。
すっぱりと絵のことを諦め、4コマの連載もやめて……藤野はそれ以来、友達と遊び、家族に進められた空手道場に通い始め、そして部屋の片隅に積み上げられていた十数冊のスケッチブックを処分しました。

絵の道から袂を分かち、そのまま卒業となった藤野。
……だったのですが、卒業式の日に先生からまた思わぬお願いをされてしまうのです。
京本に卒業証書を届けてくれ、というお願いを!!
俺みたいなおっさんに届けられるより、学年新聞で一緒に漫画を描いていた仲のお前に届けられた方がいいだろう、先生の最後の頼みだし聞いてくれよ、と言われた藤野は断り切れず、いやいや卒業証書を受け取るのですが……

京本の家のインターホンを押しても、反応はありません。
ですが玄関のドアが開いていたので、そっと中に入り、卒業証書届けに来たんですけど、と声をかけてみます。
するとなにやら、奥の方から物音が聞こえました。
いるのか、と中に入り、物音の方に進んでいく藤野。
するとその先に、数百冊はあろうかというスケッチブックが並んでいるではありませんか!
そのスケッチブックの隙間の道を歩いていくと、その中にまだ白紙の状態のままの、4コマ漫画を描くための原稿用紙を見つける藤野。
何となく、その4コマ漫画用紙を手に取り、京本のことをネタにしたような4コマ漫画をササッと描いてみるのですが……
何してんだ私、と藤野は正気に戻るのです。
と、その時、藤野の手からその4コマ漫画が滑り落ちました。
そして吸い込まれるように、ドアの隙間から京本の部屋と思われる部屋のドアの先に滑り込んでしまうのです!
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あっ!と思わず声をあげてしまった藤野。
その声で、ドアの先の京本も4コマ漫画に気付いたようで、えっ!と声をあげました。
今までの事、そしてこの4コマの事もあって気まずくなった藤野は、あわてて卒業証書ここに置いときます、失礼しました!と言い残して逃げるように家を飛び出すのでした。
が。
家を出た藤野の後を追って、寝間着姿の少女が飛び出してくるではありませんか!
藤野先生!と藤野に声をかけてくるその少女は……もしかしなくても、京本なのでしょう。
そして京本は、こんなことを言い出すのです。
あの、毎週、毎週プリント届いて、最初から、3年生の頃から、藤野先生の漫画、みてました!
わ、わた、わたし、わ、私ぃ……
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私っ!藤野先生のファンです!サインください!!
藤野先生はエモ話も5年生の頃からどんどんうまくなっていって、私確信しました……!
藤野先生は、漫画の天才です……!




というわけで、藤野と京本が出会って本格的に物語が始まる本作。
自分が誰よりも絵のウマい小学4年生だと思っていた藤野ですが、京本の登場でそうではなかったと思い知らされ、それを超えようと奮闘してきたあげく、その努力すら叩き潰されてしまいました。
藤野にとっては顔すら知らないものの、不倶戴天の敵だったと言ってもいいであろう京本なのですが、まさかその京本は自分のファンだと言うではありませんか。
しかもおためごかしだとか単なるお世辞だとかそう言うわけではなく、本当の本気のファンのようで……!
まさかすぎる事実を前にした藤野。
もともと調子乗りで、ええかっこしいなところのある彼女が、ここで素直に京本に嫌いだと言う態度を取ったり、知らんぷりを決め込んだりするでしょうか?
そんなことはないでしょう!!

藤野と京本の出会いは、京本だけでなく、藤野の人生の歯車も大きく動かしていくことになります。
嫌いではあったかもしれませんが、誰よりも実力を認めていたであろう相手に認められた藤野。
藤野はそんな嬉しさもあってか、諦めたはずの道に戻るようなは強気な発言をしてしまいます。
そして京本はそんな藤野に引っ張られ、引きこもりだった今までとは違う一歩を踏み出すことになるのです!
二人の人生は一つにまとまって前進していく、のですが……そこに、思いもよらない、あってはならない出来事が起きてしまい……物語は大きなうねりを見せるのです。

主人公の青春の輝き、未来と過去、絶望と希望を描き切る本作。
読む者に衝撃と立ち上がる勇気を与えてくれる作品となっております。
絵や漫画の世界を少しでも夢見た方ならば、そうでない方だったとしても間違いなく心を揺さぶるものがある「チェンソーマン」とはまた違った、情緒的な魅力にあふれたこの物語、是非ともご一読ください!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!