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今回紹介いたしますのはこちら。

「SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん」第17巻 長田悠幸先生・町田一八先生  

スクウェア・エニックスさんのビッグガンガンコミックスより刊行です。


さて、伝説を作るため、そしてジミの望みをかなえるため、「シオリ・エクスペリエンス」を脱退し、アメリカへ渡った紫織。
ジミを加え本格始動するであろう「The27club」、果たしてどうなっていくのでしょうか……?




吹奏楽コンクール、県大会で見事金賞を受賞した、すばる率いる三菱学園吹奏楽部。
いつも通りの戦績とはいえ、やはり金賞受賞は喜ばしいところ。
さらに問題児扱いだった軽音楽部の「シオエク」もBTLの1次予選突破と言うことで、校長はもうウッキウキです。
……が。
校長などの目の届かない所ですばるは、怒りを激しく溢れさせていました!!
金賞を取って早々、吹奏楽部の面々に怒号を浴びせています!
なんぢゃその糞虫みたいな演奏はぁ!
県大会勝ったからて一息入れとんちゃうやろな、あんなもん運よくまわりがコケたさかい首の皮一枚繋がっただけのまやかしの勝利じゃボケぇ!
素人はだませても審査員はだまされへんぞ、こんなんじゃ全国はおろか、次の東関東大会で大恥かいて終いや!
そう怒鳴りつけるすばるの脳裏には、審査員のコメントがよぎっています。
トランペット、メインのペッターが辞めたと聞いてどう修正してくるかと注目していただけに残念。
……すばるは青筋を立て、残り一か月をさらに気を引き締めて挑むよう命じるのでした!!

その後も鬼のような指導が続きましたが、どうにも成果は芳しくありません。
今まで以上に血反吐を吐くような練習を続けてきたはず。
だというのに、これでは目指すべき「理想の吹奏楽」に到底届かない……
苛立ちを隠し切れないすばるは、指揮棒を投げ捨て、その怒りのままに今日は終わりだ、自主練しておけと吐き捨てて立ち去ろうとします。
ですがそこで、今の今まですばるに辛辣な言葉を浴びせ続けられていたトランペットの女生徒が声をかけてきたのです。
待ってくださいすばる先生、もっと厳しい指導をお願いします。
私は、私たちはすばる先生の望む演奏ができるようになりたいんです、先生の期待に応えたいんです。
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必ず……光岡さんの代わりを務めてみせますから……
……すばるの苛立ちの原因。
それが光岡が欠けたことによって生まれたものであることは、生徒たちにも伝わってしまっていたようです。
さすがのすばるも自分の中でくすぶっていた、認めようとしていなかったであろう気持ちを見透かされてしまい……固まってしまいました。
ですがそのあと女生徒から告げられた言葉は、さらにすばるを驚かせることになるのです。
だから私たちを見限らないでください、光岡さんを呼び戻そうなんて思わないでください。
光岡を呼び戻す、とはどういう意味なのか。
シオリ・エクスペリエンスに、軽音部に起きた出来事を知らないすばるは、その女生徒に尋ねてみるのですが……

すばるが訪れた軽音部の部室は、もぬけの殻でした。
紫織が脱退して渡米、軽音部は事実上の解散。
それでは一体、何のために光岡を送り出したというのか?
こんなことなら……と口に出したところで、先ほどの女生徒の言葉が脳裏によぎります。
生徒たちにそんな風に思われていたとは。
知らない間に自分は、光岡の抜けた穴を埋める為、生徒に光岡の代わりを求めてしまっていた。
光岡の「代わり」なんて誰にもできるはずがないのに、光岡との「理想の吹奏楽」を捨てきれず、そこに達しないことにいら立っていた……
ダメなのはいつまでもいなくなったものの影を追っている、中途半端な自分じゃないか。
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何してんねん、ドアホ。
すばるはうつろな瞳で、そうつぶやくのでした。

残された軽音部の面々も、魂の抜けたような日常を送っていました。
ファミレスに行ってスイーツを食べあさり、しばし呆然とするとまたスイーツを食べるというどうしようもない行動を繰り返すプリンス。
受験に向けて焦る友人たちの会話をしり目に、ただ何となくゲームセンターで時間を潰す台場。
ベッドに突っ伏し、傍らに置いたヘッドホンからお経を垂れ流す忍。
サックスの手入れも、進路希望も手につかず、窓辺でどこを見るともなく過ごす井鈴。
そして目黒は、バイトのシフトを目いっぱい入れていました。
バイト先の人にも、たくさんシフトに入ってるけどバンドの方は大丈夫なのか、と心配される目黒ですが……
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大丈夫も何も、「シオリ・エクスペリエンス」にシオリがいないんじゃ、詰みだろ。
そうつぶやいてうなだれるのです。

あくる日の放課後。
部活動に撃ち込む生徒たちがごった返すグランドの、その片隅にある軽音部の部室をちらりと見る光岡がいました。
その瞳には、何とも言いようのない感情がこもっています。
と、その時、光岡の方に何かがぶつかりました。
それは他ならぬ、すばるです。
思いもよらないタイミングでの遭遇にお互い驚く二人ですが……すばるは光岡にこう言います。
新学期始まって大分経ついうんに、抜け殻みたいにボーっとしくさって。
どうやら、噂はホンマやったようやな。
しょせんクソカスはクソカスやったいうだけのこっちゃ、どーなろうと知ったことやない……が。
ウチはあがき続けたで。
大事なメンバーがおれへんくなってもな。
とまるなんて愚の骨頂、クソダサいわ。
どーせ他の連中も今頃お前みたいに魂抜けたツラしとんねやろ。
ええ機会や、一斉送信でこう伝えとけ。
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未練タラタラのウジウジウジ虫ども、来週の東関東大会見に来い。
吹奏楽部と軽音部の違いをババちびるほど見せつけて……
キレイさっぱり諦めさしたる。




というわけで、紫織渡米後のシオエクの面々と、光岡を失った後の吹奏楽部の様子が描かれた今巻。
どちらも欠かすことなど考えられない大きな市中のような存在だっただけに、そのダメージは計り知れません。
形は違えど、どちらも今までと同じようには活動できなくなった軽音部と吹奏楽部。
下手をすればどちらも倒れてしまいかねない状況でしたが……そこでまず立ち上がったのは、地獄からよみがえった経験を持つ女、すばるだったようです!
果たして彼女はあがき続けた先に何を見たのか?
そこで軽音部に何を見せるのか?
シオリを失ったシオリ・エクスペリエンスの新たな一歩となるその時を、見逃してはなりません!!

そんな三菱学園のパートが盛り上がりを見せる今巻なのですが、もちろんアメリカに渡った紫織とジミの物語も進んでいきます。
本格的に始動すれば、伝説まで瞬く間に駆け上がっていくであろうThe27Club。
ですがなにせ伝説的なアーティストばかりが集まっているだけに、それぞれの我の強さも半端ではありません。
おとなしくジミを迎えて仲良くやりましょう、とすんなりなるはずもなく……!?
さらに裏で糸を引くあの男も静かに動いています。
紫織とジミ、The27Club、あの男。
そしてシオリ・エクスペリエンス……
それぞれの物語が新たな、大きな一歩を踏み出し動いていく本作、これから先もますます目が離せなくなっていきそうですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!