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今回紹介いたしますのはこちら。

「紙一重りんちゃん」第1巻 長崎ライチ先生 

エンターブレインさんのハルタコミックスより刊行です。


さて、「ふうらい姉妹」の長崎先生の最新作となる本作。
「ふうらい姉妹」では独特な感性を持つ姉妹と彼女たちを取り巻く人々のお話をユーモラスに描いていらっしゃいましたが、果たして本作では……?


りんちゃんはお母さんにこんなことを尋ねていました。
「自分」って何?
細胞が入れ替わっても「自分」だよね。
……なんだか哲学的な質問です。
ですがどうもりんちゃん、こういう簡単に答えを出せない質問をするのが日常の様で。
お母さんは、また面倒なこと言い出した、と心の中でため息をつきますと、考えても答えが出ないことを考えても不毛よ、とりんちゃんの肩に手を置いて諭すように語りかけました。
が、そんな一般的な考え方で納得しないのがりんちゃんです。
不毛というのはママの基準なのです、私にとってそれについて考えることは有意義であり、たとえ答えが出なくとも……と何やら始まってしまいました!
こうなると大変なのでしょう、お母さんは慌ててりんちゃんにおやつのケーキをあげて気をそらすのでした!

さしものりんちゃんもお母さんのケーキにはかないません。
ママの作るケーキいつもサイコー!と大喜びでケーキを口に運びます!
先ほどまでの疑問はどこへやら、上機嫌になった……と思いきや、今度は突然うつむき、でもママごめんね、と謝り始めるではありませんか。
何を謝ることがあるというのでしょう。
きょとんとするお母さんに、りんちゃんはこう謝罪しました。
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私はこれ数時間後う〇ちにしちゃう、と……
間違いない事実であるだけに、否定はできないお母さん。
ぜ、全部じゃないでしょ!?と苦しいながらもフォローを入れますと、りんちゃんもちょっぴりこわばった笑顔で全部じゃないよ、と何とか返すのでした。

そんなやり取りをする二人ですが、普通の会話をすることもあります。
りんちゃんはお母さんに、パパとママはどこで知り合ったの?と仏の質問を投げかけました。
これならば答えに詰まることもありません。
サークルってところで知り合ったの、と答えるお母さんですが、りんちゃんはサークルという言葉に今ひとつピンとこなかったようで。
少し考えた後、ミステリーじゃないほうのサークル?と尋ねちゃいました!
思いがけない方向からの再質問、お母さんは驚き……ちょっと考えた結果、ミステリーなほう!!と答えてしまうのでした!

そんなわけでりんちゃん、おともだちのこだまちゃんに、うちのパパとママはミステリーサークルで知り合ったんだって!と話してしまいました。
ミステリーサークルで知り合う……
なかなか想像のつかないシチュエーションですが、児玉ちゃんは必死に頭を働かせ、雄大な自然の中で巨大なミステリーサークルを見下ろす二人を思い描きます。
美しいですよね、と言うお母さんに、君の方が断然美しいと返すお父さん……
そう考えてみますと、なかなかどうしてアリだと感じてしまうこだまちゃんなのでした。

こんな奇抜な発言が目につくりんちゃんですが、紙一重とタイトルがつくには理由がございます。
授業中ノートを取らないりんちゃんに、先生がノートをとらなくて大丈夫かと心配して声をかけてくれたのですが、なんとりんちゃんは頭の中に記憶していると言うではありませんか。
しかもよく聞く写真のように一度見たものを覚えていると言うやつをさらに発展させた、動画状態で記憶をしているのだとか!
ですがそれも善し悪しで、今日もりんちゃんは先日先生の髪の毛がクリスマスツリーと同化してしまったシーンを何度も再生してしまうそうで……
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とはいえそのシーン、あまりにもあんまりなので、クラスの皆も記憶していたようですが!

りんちゃんの学校生活は毎日イベント目白押し。
体操服入れをなくしてビニール袋に体操服を入れて持っていったら、クラスの男子に貧乏くさいとからかわれたものの、
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「くさい」はいらない、貧乏、貧乏以外なにものでもない、ザ・貧乏、といつもの表情で淡々と修正して撃退。
こだまちゃんに髪の毛に何かついてるよと言われ、取ってもらうとそれはパンの袋を止めるアレで、パンと寝たのかよ、とこだまちゃんに突っ込まれるのですが、ふふふと笑うだけで否定せず……
放課後には、こだまちゃんと空を見上げながら、あれこれととりとめのない話をします。
ちょっとしたやり取りでもりんちゃんは楽しそうに大笑い。
こだまちゃんも、笑いのツボが浅いとおもいながら、そんなりんちゃんの様子を微笑ましく見守るのです。
そうこうしていますと、すっかり日が暮れてしまいました。
遅くなった、怒られると言うりんちゃんですが、こだまちゃんは特に何も言われないそうで。
一緒にりんちゃんちまで行って謝ってあげるよ、とこだまちゃんはフォローに回ってくれました。
家に着くとやっぱりりんちゃんは、こんなにおそくまで、こら!と怒られるのですが……
こだまちゃん、私が引き留めたから、すみません、と謝ってくれました。
が、そこはりんちゃん。
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黙ってはいられず、折角フォローに回ってくれたこだまちゃんの口をふさぎ、ウソついちゃダメだよー、と身を呈した嘘を台無しにしてしまうのでした!




というわけで、りんちゃんの平和な毎日を描いていく本作。
「ふうらい姉妹」では、ハチャメチャな姉と、その姉をフォローしつつもなんだかんだ一緒になってハチャメチャする妹と言う二人が事件を巻き起こしていましたが、本作はその事件巻き起こし役がりんちゃん一人の双肩にかかっております!
ですが、もちろん長崎先生作品ですから、それ以外のキャラクターも個性の強い人々ぞろい!
りんちゃんにつぐボケ力をもっているお父さん、中盤から登場するクリームちゃんと、強烈なボケ役が追加されていきます!
ツッコミ役はおもにお母さんとこだまちゃんですが、彼女達もりんちゃんたちに突っ込みだけあり、なかなか鋭くとがっている部分も備えておりまして、どこからギャグが襲ってくるのか分からない、油断できない(?)構成となっているのです!
長崎先生ならではのセンスが光る独特のギャグに、唯一無二のセリフ回し、奇抜なのに平和と言う安心感……
そんな長崎先生ワールドが本作でも十二分に味わえるのです!

ちなみに本作に登場するこだまちゃん、どうやら前作「ふうらい姉妹」に登場する鳳こだまさんと同一人物のご様子。
つまり本作、「ふうらい姉妹」と繋がっている少し昔のお話のようで、今後もしかしたら「ふうらい姉妹・ビギニング」的なことになっていく……ことはないでしょうが、ふうらいキャラの登場を期待してしまってもいいかもしれません!!
ギャグだけでなく、そちら方面でも見逃せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!