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今回紹介いたしますのはこちら。

「バキ道」第10巻 板垣恵介先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、意外な結末を迎えた克巳Vs獅子丸。
地下闘技者側が有利なまま進めているこの戦いではありますが、力士側も単純なやられやくでは終わっていませんし、終われません!
次なる副将戦は、満を持してのバキ登場となりますが……!?



168センチ、71キロのバキ。
対して相手の小結、炎は身長165センチ、体重97キロと上背ではバキが勝っています。
今まで正式に戦ってきた、おそらくすべての相手(ルミナとかは置いておきまして)が自分より大柄だったバキ、体重は炎の方が勝っているとはいえ、この組み合わせは新鮮そのものでしょう。
バキ、そして炎は、目の前に立つ相手を睨むわけでもなく、むしろ微笑んで見つめています。
試合のルールの確認が行われ、お互いが壁際まで離れ、改めて見つめ合ってなおその微笑みが消えることはありません。
お互いが小柄の身で、地下闘技場、大相撲とルールの違いはあれど、体重の区分けのない「無差別級」での戦いを繰り広げてきたシンパシーの様なものを感じているのでしょうか。
微笑みが消えないまま、勝負の開始を告げる銅鑼がならされました!!

今までの戦いと大きく違うのは、2人とも自然体のまま歩み寄り、距離を縮めている事。
他の力士たちがしてきたような、立ち合いのための蹲踞も無ければ、バキの得意とするか前やフットワークもありません。
やがて二人がもう間もなく間合い、というところになると、炎が先に動きを見せました。
膝を曲げて腰を少し落とし、寮てのひらをひろげて開く……
その構えは、アマレスか何かを連想させます。
炎はこのまま、立ち合いの姿勢を取らないまま戦うつもりなのでしょうか……?
するとバキも膝を曲げ、腰を落とし、両てのひらを開いたまま前に突き出す、アマレスのような構えを取りました。
お互い、組み技を狙っているのか。
ゆっくり、ゆっくりと二人の手が近づいて行き……
その指先が触れた瞬間、二人の左手ががっちりと組み合わされた、
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と思った瞬間でした!!
気が付けば目にもとまらぬ速さで炎がバキの背後に回っているではありませんか!!
スピードに関しては並ぶものがないと言っても過言ではないバキが、あっと言う間に背後を取られるとは。
その事実は観客を驚かせるとともに、バキ自身も驚かせるのですが……バキがそれ以上に驚いているのは、
がっちりととらえる炎の圧倒的な力!!
バキが背後から感じる力は、165センチの小兵によるものとは到底思えない凄まじいパワー!
直後、バキは巨大な手によって軽々と地面から引き抜かれるようなイメージとともに空中に放り投げられてしまうのです!!
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驚愕しながらも空中で体をひねり、足からしっかりと着地するバキ。
ゆっくりと笑顔で歩いてくる炎に、バキは思わずこんなことを考えるのです。
なんて、なんてデッカい……!!!
アリガトウ小結ッッ!!!

小柄とはいえ70キロを超えるバキを、放り投げて見せた。
その力は、誰しもが認めざるを得ません。
バキの背後を取るスピードと、容易に投げ捨てる力。
その力を備えた自分は、大相撲は強い、最強サイコーの格闘技だ、と炎は大きな手ごたえを感じていました。
と、そこでバキは再び構えを取ります。
それは先ほどまでの組み技主体の構えではなく、いつも見せるスタンダードな「バキの構え」です。
はじめて目の前で見るバキの構え。
直後、炎は驚愕することになります。
目の前にいる自分とほとんど変わらない身長の男が、
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巨大な横綱のような圧力を纏っていることに!!
自らの顔を叩いて気合を入れなおす炎に、バキは語りかけました。
小結……何か見えたかい?
思わず別に何も見えないと答える炎ですが、その心境を見透かしているバキは、こう続けるのです。
俺はそれよりデカくて強ぇえぜ。
その自信が虚勢ではないことを感じ取りながら、炎はなお笑います。
デカいのはダイスキなんで、と。
するとその時でした。
バキの左手が、とろりと溶けたのです。
もちろんそれは単なるイメージにすぎません。
すぎませんが、その
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液体レベルにまで脱力を極めた、もはや視認など不可能なジャブは本物です!!
あまりにすさまじいスピードで襲い掛かるジャブに反応すらできず、炎は尻もちをつくようにダウンしてしまうのでした!!



というわけで、バキVS炎の本作史上最少の戦いが描かれる今巻。
バキより小さいファイター自体は渋川がいますが、渋川もバキ以上に自分より大きなファイターとばかり戦っているわけで。
この二人、その体重は合計しても、渋川と対戦した巨鯨の体重の半分強にしかすぎないのです!!
とかく動きが遅いとみられがちな力士ですが、一流の力士たちの立ち合いのスピードは遅いなどとはとても言えないスピードです。
炎のような小兵の力士ならば、そんな巨漢力士たちの先を取る為、よりすさまじいスピードで立ち会う必要があるわけで。
さらに一気の寄りや押しで土俵を割らせることも難しい小兵は、取り組みの中でも動き回り、かく乱を続けなければなりません。
つまりそのスピードは、予想以上に素早い力士たちを翻弄する超高速!!
バキの背後を取るのも無理難題ではないのです!
さらに巨漢力士を押し、投げるためには当然パワーも必要。
超が付く小兵のみで小結にまでたどり着いた炎は、まさにパワーとスピード、テクニックを兼ね備えたトータルファイターといえるでしょう!!
バキの師匠直伝ゴキブリ加速のパンチは避けられませんでしたが、その一撃だけでは決着とはならないタフネスもある炎、これから更なる反撃の機会があるはず!!
地下闘技場王者であるバキ、決して油断ならない相手にどう戦うのか?
この戦いも見逃せない内容となっています!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!