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今回紹介いたしますのはこちら。

「潮が舞い子が舞い」第6巻 阿部共実先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、とある海の近い街にある高校の生徒たちを中心にした毎日を描いている本作。
様々な人物の様々なあれこれが描かれてきたなか、今巻ではどんなお話が繰り広げられるのでしょうか?




二人の女子が歩いていました。
高校1年生の女子、後谷と氷室です。
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見るからにクールな感じの氷室、水木と昔からの知り合いで、かつ現在進行形のバイト仲間だったりします。
一緒に歩いている後谷ですが、何やらクラスの男子にムカついているようです。
今日クラスの男が話しかけてきやがって、私を誰だと思ってんだよ、この間まで中学生のお坊ちゃんがよ。
私が無理とわかると氷室と連絡先交換取り付けてくれってさ。
クラスメイトからしたら長身でミステリアスな美人だから自分から話しかけづらいんだとよ。
そう言う後谷に、氷室は後谷も高1やんか、と突っ込みつつも、男子の話題に関してはそうなんやと興味なさげな反応。
高校生の男なんか興味んば言ってか、クールな女ですわ、と氷室を評する後谷なのですが、そんな氷室は急に後谷に隠れてと指示し始めました。
何が何だかわからないまま、とりあえず茂みにしゃがみ込んで身を隠す後谷。
氷室はそんな後谷に、実を隠した理由を教えました。
あれ、水木先輩がおるんやけど。
氷室がさす方向には、いつものようにクラスの友人たちと戯れている水木がいました。
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いかつ、私顔面ばりくそニヤついてもーとるわ、とつぶやく氷室ですが、実際のその顔は微かな微笑みにしか見えません。
その言葉と顔のギャップはともかくとして、氷室がどんな男子が好きなのかは気になるところ。
あれ同じ高校の2年のやつか、まさかあんなぼっちゃん好いとるのか、と後谷は言うのですが、それに氷室は超長文で反論!
そんなんちゃうわい、ただ小学校からお世話になっとるだけや、挨拶しよかなおもたけどおツレとおるから声掛けてえか迷ってつい隠れてもただけや、あと水木先輩はぼっちゃんちゃうわい、ばりかっこええ大人じゃ。
その長文を聞いて、後谷もたまらず、氷室って意外にわかりやすいな、と突っ込んでしまうのでした。

その後二人は実を隠したまま水木の様子をうかがいます。
女子たちと一緒にいると見れば「詰んだ」と言ってしまう氷室。
中畔が水木先輩好き好き光線発してる、あそこまでされて水木は気付いていないんだから、話しかけることもできずに遠目で見てる自分は思いすら伝えられない、詰んだ、と言うわけです。
後谷がだったら今話しかけろと言うと、めちゃくちゃ喋ったことあるっちゅーねん、となぜか怒られる始末。
さらには水木の抱き枕的な位置にいる土上にまで嫉妬し始め、チワワみたいな小型犬は好きになれない、ジャーマンシェパードは可愛い、と、土上と自分を犬種に当てはめて感情移入してみたりするのです。
ついでにカラスにも感情移入してしまう、と言いだす氷室、カラスとシェパ飼って先輩と生活できたらなあ、と微笑みます。
……そんなほほえみも、氷室からすると人から見ると妖しがられるほどバリにやにやしている表情だったのですが……!

そうこうしておりますと、バイト先の先輩である平野と羽坂が通りかかりました。
彼女達は水木もそこにいることに気が付くと、話しかけないのかと尋ねてきます。
お友達といらっしゃるところ声をかけるのはきしょいかと、と答える氷室なのですが……そんな彼女の背中を、平野はおしてくれるのです。
でも水木今日シフトは言ってるからそろそろ帰ると思うぜ、その時一人だけになる瞬間があるかもしれん、だったらイケるだろ。
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女に話しかけられて嫌な男なんていねえ、いたとしたらそんな奴これから話しかける必要のない男ってことが早くわかる。
賽は投げるしかねえ!
後谷も男なんかできとーにこましゃあ楽勝だろ、高校生なんてクソ雑魚しかいねぇから安心しろって、と太鼓判を押してくれ……
そして、水木は予想通り一人になりました!
行くしか、ありません!
一人水木の方へ向かう氷室、
別にええねん、恋仲になれんでも、話せるだけでそれでええねん。
そしてあの人はいつものように優しく微笑みながら話を返してくれるのもわかってんねん。
でもその顔を見てしもたら、嬉しいのと切ないのが一緒に来てめっちゃきついのもわかってんねん。
先輩、先輩……
やがて立ち止まってしまう氷室。
後谷たちは密かに応援しつつ見守ることしかできません。
乙女心が爆発し、氷室はもう立っているだけで精いっぱい。
勇気を振り絞ってここまでやってきた氷室ですが、その頑張りは報われないのでしょうか?
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その直後……!



というわけで、氷室と後谷が本格参戦してくる今巻。
本作では比較的珍しい気がする、ハッキリ特定のキャラに好意を持っているのが示されている氷室、なかなかどうしていいキャラをしております!
水木は何かと絡みのあるキャラが多く、ライバルも多そうですが……氷室の幸せを願ってやみません!
さらになんだか恋愛マスター然とした発言が目立つ後谷ですが、彼女もとあるキャラと意外な関係にある事が後に発覚。
そして意外なその本性などもわかり、こちらも応援したくなるキャラとなっているのです!!

勿論そんな二人以外のいつものキャラも活躍。
今回は、今まで比較的出番の多かった右佐の出番はちょっぴり控えめになりましたが、その分その少なめの出番で一層印象にのこるイベントに遭遇することに!
さらにバーグマンや車崎と言った一癖ある人物に焦点が当たるなど、やっぱり見どころいっぱい!
今回も思春期の少年少女達の迸るあれこれがたっぷり楽しめる、珠玉の一冊となっております!

今巻で第6巻と言うことで、阿部先生作品の中では最長の巻数となりました。
まだ連載は続いて暮れるようで、ファンとしては嬉しい限り!
愛すべきキャラたちの今後の活躍にも期待ですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!