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今回紹介いたしますのはこちら。

「マグロ少女」第1巻 石河秀幸先生 

新潮社さんのバンチコミックスより刊行です。


さて、「東京昆虫ムスメ」「夜明け後の静」の石川先生が、新潮社さんに戦いの場を移しての最新作となる本作。
今までも女性キャラを主役に、「昆虫」「文明開化直後の士族」と言ったちょっと変わった題材を盛り込んできた作品を発表されてきました。
今回の作品は、やっぱりそのタイトルで示す通り……!!


霧島陽菜。
国民的アイドルグループ、神楽坂46に所属し、「るるな」の愛称で活躍……いや、活動していた彼女は今、いかにも怪しげな金融業者に捕えられてしました。
彼女はグループ内での人気が超重要な神楽坂46内で、ほとんど人気が出ず、ほぼ戦力外と言っていい状態でした。
それでも彼女はなりあがってやろうと、どんどんダンスや歌や発生のレッスンにお金を積み上げ……気付けば借金は300万に。
その借金がある事を親に隠そうとして、とにかくお金が欲しいと社長に懇願したるるな。
紹介されたバイトは比較的健全(?)なガールズバーだったのですが、その勤務初日で制服代わりに支給されたドレスを手酷く汚してしまいました。
そのドレスはとてもいいもので、弁償すれば100万円。
一夜にして借金を増やす結果となってしまったのです。
そこで提案されたのは、なんとと言うか、やはりと言うか、あっち方面の女優さん。
あと数枚脱ぐだけじゃないか、すぐ返せるさと金融業者に迫られるのですが、るルナは業者の急所を蹴り上げて抵抗!!
何の女優をさせるつもりよと反発するのです!
……が。業者も子供の使いではありません。
るるなの頭を鷲掴みにしてこう凄んだのです!
言葉遣いに気をつけろ戦力外が、結果も残せなかった三流アイドルがこの俺にナメたマネしてくれるじゃねえか。
あんたもう終わりだよ。
身体を売りたくない借金女が息つく、地獄の窯の底の底、教えてやる。
あんたみたいなのが息つく先は、昔も今も変わらねえ。

……そうしてるルナが連れてこられたのが
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マグロ漁船でした。
これだけ追い詰められてもなおアイドルを諦めていないるなな、躰を売るくらいならばこちらを選んだ方がいいと決心したのでしょう。
覚悟を決めて、船に乗り込むのです。
……出港した後、業者が手を合わせて合掌していることも知らず……

ルナナが目を覚ますと、そこは狭い狭い船の中の寝室の中でした。
夢ではなかったんだと落胆……する間もなく、船が大揺れ!!
るるなはたまらず船室の外に出て、海にリバースしてしまいました。
あたしこれでも清純派で撃ってきたのに、それが人前でゲロなんて、もうやだぁ……
そうやって泣いているるるなのもとに、この船に乗り込んだときに案内してくれた女性がやってきました。
朝一で魚にエサやりとは言い心がけじゃねえか。
私はダイヤって呼ばれてる、この船の船長だ。
ダイヤはそう言うとるルナを助け起こし、いきなり仕事の指示をしてきました。
今回収してる縄に鮪がかかってたら呼ぶから待ってろ、と。
何が何だかわからないまま待っているるるな、その間もダイヤは他の船員に指導しています。
体育会系のリーダー格、そんな人物だと分析したるるなは。あの手の人間のあつかいかたはこうだ!と、媚媚の褒め殺しモードで接することにしました。
ところがるるな、またも顔面を鷲掴みにされてしまいます!
ダイヤはそのままるルナに馬乗りになり、こう言うのです!
言葉遣いに気を付けろ!
タメ口を使え。
ここじゃ敬語は厳禁だ。
……よくわからない理由で起こられてしまったるるなですが、その内容よりも突然そんなことをされたことで、びっくりして……おしっこを少し漏らしてしまいました。
ダイヤに促され、トイレに向かうるるな。
清純派アイドルだったと言うのにこの体たらく。
あまりに情けなく、悲しく……そして、怒りが込みあげてきました!!
なんであたしがこんな目にあわなきゃなんないのよ!?
こんなところ絶対抜け出してやる、マグロたくさん釣って数字作って借金返して!!
怒りでテンションをあげてトイレを出たるるな!
すると甲板では、マグロが元気よく跳ねておりました。
マグロ釣れたから押さえてくれ、早くしな、身が焼ける。
何でもマグロが暴れると、筋肉が熱をもって鮮度が落ちてしまうのだとか。
ですがあまりにいきなりですし、無理なら自分がやる、とダイヤも言ってくれるのですが……るるなはもうめげているだけではありません!
あたしは早く数字が欲しいの、このくらいへっちゃらよ!
そしてるるなは、
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マグロにまたがって抑え込むのです!!
スカート姿も相まって、なんだかすごい恰好のるるなですが、ダイヤによれば股で挟むと言うのはいいセンスなんだそうです。
さっそくダイヤ、マグロに包丁を突きたてて血抜きをし、頭にくぎを打ち、そこに針金を差し込みました!
こうすると背骨の神経が壊れ、暴れることはなくなるのだとか。
その際胃袋を穿き出したりしますがそこは気にせず、今度はエラから腕を突っ込み、腸を肛門から切り離し、そのまま内臓をつかんで
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エラから一気に内臓を引き抜くのでした!!
その引きぬいた内臓を海に投げ込み、ダイヤはいいます。
ここの仕事はこんな感じだ、今後も頑張んな。
……前途は多難ですが、るるなはうなずくしかありません。
よ、よろしく、ご指導ご鞭撻のほどを……と、きっちりしたあいさつで返すのです。
が、今度はマグロで顔面を突っつかれて怒られてしまいます。
敬語は使うなって言っとろうが。
敬語を使うってことは上下があるってことだろ、そうすると下のやつは上のやつより責任が小さいって勘違いするだろ。
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責任に大小なんてないんだよ。
船の上じゃ全員が戦力なんだから。
……その言葉は、期せずしてるるなの胸を打ちました。
アイドルグループで戦力外扱いされて来たるるなが、ここでは着た瞬間から戦力として数えられている……
アイドルの世界は、どれだけ努力しても、それだけでは大成できない世界でした。
るルナたちのグループでは、いわゆる「枕」も横行していて、実力よりもむしろそちらが重視されている始末。
そう言った裏の取引を行わず、懸命に歌などのレッスンに励んでいたるるなは、裏の取引ばかりして練習を六にしないグループのメンバーに、なんで一生懸命練習しないのよ、と怒ったこともありました。
ですがメンバーから帰ってきたのは、なんで一生懸命練習してるの?という言葉で……
そんなことを思い起こしていると、るるなの口からは、意外とこの世界は悪くないのかな、と言う言葉が漏れてしまうのでした。
るるなは振り返ってダイヤに問いかけ……

陽とすると、彼女はすっぽんぽんでマグロを洗っておりました。
血だらけの服着たままじゃ気持ち悪いだろ、お前も脱げ、くせーぞ。
あっけらかんとそう言うダイヤ……
るるなは早速こう叫んでしまうのです。
こんなところで脱げないし!
やっぱ最悪よここ!
なんであたしがこんな目に!?




というわけで、美少女とマグロ漁船と言う思いがけない組み合わせの漫画になっている本作。
自分が知らないだけで、マグロ漁船に乗り込む女性もいらっしゃるのでしょうが、本作はそんなマグロ漁船に乗っている女性の話、と言うだけではありません。
このマグロ漁船、8名の乗組員が乗っているらしいのですが……何と全員が女性なのです!
この後物語は、マグロ漁船のあれこれを説明しつつ、各キャラクターの紹介を並行して行っていきます。
他の乗組員も、るるなやダイヤに負けない個性派ぞろいです!!
その個性はもちろんの事、船に乗り込んだ理由も人それぞれ。
夢に向けての貯金のためだったり、研究のためだったり、ちょっと変わった目的の人も……?
しかもるななが知らない、意外すぎる秘密を持っているものもいるなど、今後のお話に関わってきそうな要素もしっかりと盛り込まれているのです!!
基本的にはマグロ漁船の「職業もの」になっている本作なのですが、石川先生の細やかな戦で描かれる可愛らしい女性キャラたちの活躍、そしてるななのアイドル復帰のための奮闘と言う、それだけに終わらない見どころも多数用意されております!
ちょっととぼけた感じの日常に、サービスシーンも忘れず挿入、そして時折顔を見せるシリアスな展開と言う、石川先生の得意とする構成もしっかり健在。
これからも掘り下げられていくであろう各要素に、期待せざるを得ませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!