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今回紹介いたしますのはこちら。

「バキ道」第9巻 板垣恵介先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、地下闘技者VS力士の団体戦が続く本作。
ド迫力のすごみを見せた花山VS鯱鉾が決着し、次なる戦いは……?



闘技場に二人の戦士が対峙します。
身長182センチ、体重181キロ、関脇・獅子丸。
慎重186.5センチ、体重116キロ、愚地克巳。
この戦いも注目せざるを得ない一戦になっています。
二人、それぞれ背後に場外ギリギリの壁を背負うほど距離を取って幕の開いたこの戦い。
獅子丸はしっかりと蹲踞を行い、いつでも突っ込むことの出来る立ち合いの構えを取りました。
克巳はと言いますと、開幕の太鼓の音と共に、早速足早に獅子丸の方へと駆け寄って行きました。
そのまま攻撃を仕掛ける……と思いきや、克巳はピタリと足を止め、両手を胸の前でかざす構えを取りました。
これは父であり師である独歩が、あの勇次郎に対して主導権を取った防御的な構え、前羽の構え!
その前羽の構えを、お互いの攻撃が届く半歩前で取ったのです!
どちらかが動いた瞬間、すさまじい激突が始まるのは間違いありません。
先手を打つか、迎え撃つか。
どちらが踏み込むのか……?
そんな緊張が続く中、バキは克巳が攻撃の準備を淡々としているのに気づいていました。
かつてピクルと戦った際に完成させた、「真マッハ突き」。
その速度を生み出すための「イメージによる多関節化」……
関節の回転で速度を生み出すマッハ突き、その関節を無数に増やすイメージによって、通常よりもはるかに速い加速を作り出した克巳。
ピクル戦の当時からその多関節化はかなりの数に至っていたのですが、今はその関節の細分化がさらにさらに進んで……
関節は網目のように細かく絡み合い、全骨格を「鞭」のように作り替えていたのです!!
鞭の振るうときに発生する音は、音速の壁を破った証明、だと言う話もあります。
その鞭の速さを、当たり前のように人体で発生させる!!
そんな常識を超えた武器を備えた新生克巳……生きた「巨岩」さながらの大相撲を相手に、何を見せるのでしょうか!?

……と、その瞬間でした。
克巳が蹴りを打とうと足を動かしたのと、獅子丸が立ったのは!!
加速すればマッハを超えるその蹴りですが、加速に入るその瞬間に潜り込むことで、完全に蹴りの威力を殺して見せた獅子丸!!
虚しく振り上げられた右脚ごと体を抱きかかえ、もろ差しの形で克巳の帯をキャッチ!!
そして両足の間に自分の右脚を差し込んで、その足の力も利用して一気に克巳の体を持ち上げ……
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克巳の体を、頭から地面へと叩きつけたのです!!
相当な力がないと成り立たない相撲の力技の代表格、やぐら投げ!!
さすがの克巳もこれにはダメージを受け、あおむけに地面に倒れてしまいました!!
そんな隙を獅子丸は見逃しません!
相手は「素人」ではない、心技体を兼ね備えた選り抜きの「玄人」である。
地下闘技者をはっきりとそう認め、認めたうえで「そうわかっているなら問題はない」と断じて見せた獅子丸は、寝ている克巳に容赦のない追撃を見舞うのです!!
それは、
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あらっぽいストンピングの連打!!
慣れない攻撃だけに荒いと言わざるを得ないその攻撃ですが、いくら荒くとも四股で培われた強靭な足腰から生み出されるストンピングの威力は半端なものではありません!!
今度は防御するだけで精いっぱいの克巳の襟首をつかみ上げると、空中で思い切り顔面に強烈な張り手一発!!!
克巳はなすすべなく宙に舞うのです!!
なんとか立ち上がった克巳は……
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獅子丸から走って逃げだします。
克巳は、獅子丸が追おうと足を出すと、背中を見せて恥も外聞もなく逃げるのです。
海上はざわめきます。
門下生100万人ともいわれる神心会のトップが、敵に背を向けて逃げるとは。
そう驚く者もいるわけですが……かつて行われた最大トーナメントで、克巳は花山から負ったダメージを回復するために同じように逃げ出したことがあります。
最終的に勝つためならば、どんなに情けない姿をさらすことになろうとも、その場は逃げて体力の回復に努める、そんなことでも迷うなく行える。
それも克巳の強さの一つなのです!!
10秒休むことができれば、迎え撃つ力が取り戻せる。
その10秒というのは、人間が瞬間的に全力を出せる全力の時間です。
10秒と言うと短くも聞こえますが、その10秒が、餓えたライオンが全力で襲い掛かって来る10秒だったら?巨大なヒグマがコグマを取り戻しに襲い来る10秒だったら……?
獅子丸の襲い来る10秒は、それを超えかねないレベルです。
豪雨直後で、樹木や岩や土砂が入り混じった滝が、正面から落下してきている。
そんな10秒を耐えるのはあまりにも困難です!!
持久力にかけるのが相撲の弱点なのは誰が見ても明らか。
獅子丸もここで追いかけっこをするのは得策ではないと考えたのでしょう、本気では負いかけず、追い詰める程度の速度で克巳を追っていました。
おかげでその10秒を稼ぐことができた克巳。
休養たっぷりの体力をもって、体を鞭と化し……
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マッハの蹴りを獅子丸の顔面に叩き込むのでした!!!



というわけで、お互いの持ち味を発揮した立ち上がりとなった今巻。
抜群の勝負勘と剛力、容赦ない攻撃性。
手段を選ばない戦術と、マッハを超える打撃。
反撃に出た克巳、マッハの蹴りはクリーンヒットすれば1ターンで相手を仕留める力を持っているわけですが、果たして獅子丸は!?
そんな獅子丸もまだ手を残しているはず。
獅子丸が負ければ、もはや相撲軍の敗北は確定。
せめて引き分けに持ち込むためにも、ここで負けるわけにはいきません!
相撲に初白星をもたらすことができる攻めを見せることができるのか?
獅子丸の意地に注目です!!

そして皆様が一番気になっているのは克巳の右腕でしょう。
盟友・烈のクローン右腕を移植された克巳ですが、普通ならばそんな取って付けた腕がまともに機能するはずがありません。
ところが移植直後から、自分の腕その者、いやそれ以上の機能を果たして見せる烈の腕……
この腕が、勝負をどう左右するのか!?
予想外の展開と決着を迎えるこの第4戦……
見逃すことはできませんよ!!





今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!