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今回紹介いたしますのはこちら。

「バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ」第1巻 原作・猪原賽先生 漫画・陸井栄史先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、「バキ」シリーズ屈指の人気キャラにして、数少ない作中でハッキリ「死亡」が確定しているキャラクターでもある烈海王。
板垣先生のその判断には当時の読者の皆様はさぞ驚かされたことでしょう。
その後も烈は生き返ったりすることなく「バキ」シリーズは続いて行き、現在に至るわけですが、ファンの間では昨今流行りの異世界転生をさせればいいんじゃないかと言う声も出まして、同人活動でそんな作品を描く人も現れました。
ですがこの度、とうとう秋田書店さん直々に、公式で烈が異世界転生することになったのです!!
描くのは、原作が「悪徒」「伴天連XX」「宇宙戦争」などで知られる猪原賽先生、作画が「いきいきごんぼ」の陸井栄史先生と言う強力タッグ!
果たしてどんな作品になっているのでしょうか……!!



誰かに問いかけられたような気がして、烈は目を覚ましました。
どうやら今は祭りの真っ最中の様子。
わけもわからないまま起き上がる烈に、見慣れない風貌の男が餅を差し出してきました。
祭の振る舞い餅でしょうか。
その好意を受けとり、餅を口にする烈。
周囲を見回すと……ここが日本や中国、あるいはどこかのチャイナタウンと言うような場所ではないことがわかりました。
周りを歩く人々は、金髪、赤髪、茶髪……黒髪のものはいません。
甲冑や剣を身にまとっているものもいれば、まるで怪物の様な風体の仮装(?)をしているもの。
一体ここはどこなのか?
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あたりを見回しても、烈の頭の中に思い当たる風景はありません。
と、その時、烈は本来あり得るはずのない事実に気が付きました。
かつてピクルと戦った際に失った右脚が……しっかりと存在している!?
さらにフラッシュバックする、腹部に走る激痛と感覚。
それは、目を覚ます前、最後に感じた……武蔵によって切り裂かれた腹部の痛みです!!
烈はしっかりと思いだしました。
確かに自分はあの東京ドームの地下闘技場で、宮本武蔵に腹部を切り裂かれ、致命傷を負っていたことを!!
次に活かせる、と今際の際に思ったものの、普通に考えれば助かるはずのない一撃だったはず。
だと言うのに烈は、切り裂かれた腹の傷も。失った脚すらもまるで何もなかったかのように取り戻し、五体満足な状態でこの奇妙な町に立っていうのです。
死の淵で見る夢の中なのか、あるいはこここそが冥府なのか。
そう考えると、異様なまでにリアルな仮装だと思っていた怪物たちが、地獄の獄卒のようにも見えてくるのです。
流石の烈も平然とはしていられず、戸惑ってしまいます。
そんな時でした。
背後から烈の方に向かって、手が伸びてきたのは。
背後に気配を感じた烈は、振り向きざまに拳打を一撃!!
凄まじい威力を秘めた一撃は、背後に立ったその人物の顔面……の、寸前で留められました。
ですがその威力はそれでもその人物にダメージを与え……背後に立っていた男は、鼻からぼたぼたと鼻血を流してしまうのでした。
……何と言うことのない、普通の人間に見えるその男。
フラフラと歩く烈が心配になって親切心から声をかけようとしたのですが、そこでこの恐ろしい返答が返ってきたのですからたまりません。
こいつは一体何者なんだ、とそこでようやく烈の顔を始めてしっかり見たわけですが……そこでこの男、改めて驚くことになります。
次の瞬間男は、
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大きな声で「押忍!」と挨拶をして……?
烈も思いがけない反応だったのでしょう、きょとんとするのですが……
実はこの男、あの神心会空手の門下生「だった」男なのです!!

さかのぼること半年前、烈が最強死刑囚の一人・ドイルとの戦いを終え、ドイルを神心会の道場へと連れ帰ろうとしていた時の事。
神心会の門下生でありながら、客員指導員の身としてやってきていた烈の強さに強いあこがれを抱いていたこの男は、烈が「川を走っている」場面に出くわしたのです。
憧れの烈が、怪我人を助けようとしている。
そう考えた男は、烈を手伝おう、そうして顔を覚えてもらえば直接指導してもらえるかもしれない!と考え、すぐさま烈のもとへ走ったのですが……
そこに異世界転生の最重要アイテム(仮)であるトラックが突っ込んできていて……!!

その男、ナカムラは早速烈を近くの酒場に連れて行き、事情の説明を始めました。
この世界が異世界であること、自分たちはこの世界に転移してきているらしい、という事。
そしてこの世界には自分たちの様なこの世界に紛れ込んだ者達が他にもいて、「迷い人」と呼ばれている事……
帰れないのか、とナカムラに尋ねる烈。
帰るも何も、自分たちは元の世界で死んでいるわけで……と説明しようとしたものの、ナカムラからすると烈のような達人が事故などに巻き込まれて死ぬとは思えず。
一体なぜ烈がここに来ているのか、と言う疑問がわいてくるのですが、その質問をする前に、酒場の空気を一変させる男がその場にやってきます。
全身が鱗に包まれた、トカゲの獣人……リザードマン。
リザードマンはその実力を誇示するかのような傍若無人な振る舞いで席につき、店に「いつもの」をよこせと注文したのです。
いつものと言うのは、一見すると単なる大きな鶏のようにも見える生き物でした。
ですがそれは単なる鶏ではなく、リュウの翼と蛇の緒を持つモンスター、コカトリスなのです!
コカトリスはその視線の力で、人間をひと睨みで絶命させると言います。
ですがその視線の力すら、このリザードマンには全く通用しません!
リザーおマンはコカトリスの首を無造作につかむと、そのまま頭を千切りとってしまいました!!
コカトリスの血液は皮膚に触れただけで激しい炎症を起こすほどの猛毒。
本来調理もせずに食べるなど、自殺行為そのものな毒の塊なのですが、リザードマンはその血液を浴びる様に飲み干すのです。
コカトリスの視線を受けて平気なんて、相当やばい奴ですよ、と言うナカムラ。
烈はと言うと、机に飛んできた血液をわずかな量指先に付けて……舐めちゃいます。
一瞬顔をこわばらせ……麻辣味、と心の中で呟く烈……
コカトリスの血の味はともかくとしまして、烈の興味はリザードマンの方へ。
鋭い牙と爪、見るからに強靭そうな鱗、隆々と盛り上がった筋肉。
肉体の強靭さだけならば、ピクルにすら匹敵するかもしれない。
そうリザードマンを高く評価しながらも、烈は……
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異世界人はどんな攻撃を繰り出してくる?そして中国武術はどう迎え撃つ!?
死合ってみたい……!
そんなことを考えてしまうのです!
その烈の熱視線に、リザードマンも気づいたようです。
お前、さっきから何見てやがる。
リザードマンは立ち上がり、烈へ因縁をつけ始めます!!
烈はと言いますと、そんな状況で
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異世界とは、なんとエキサイティングな!と、笑みすら浮かべ……!!
一触即発の状態となった烈とリザードマン。
烈の異世界デビュー戦、こんな酒場で始まってしまうのでしょうか!?



というわけで、烈の異世界転生が描かれていく本作。
異世界ものと言えば、異世界に転生したことで手に入れたスキルや、もともとの世界で持っていた常識的な技が異世界ではとんでもない技術だったと言うことがわかり、無敵の活躍を見せる、というのがテンプレートでしょう。
どちらかと言うと本作は前者の方で、転生者「迷い人」の中の一部は「あがく者」と呼ばれてスキルを手に入れているようなのですが……
烈のような漢が、そんなスキルに頼って戦うでしょうか!?
いや、そんなはずはありません!!
烈は素手でも武器でも何でも使える男。
ですがそのどちらも、烈が鍛え練り上げた中国武術を駆使して操っているわけです!
ピクル戦ではそれを投げ捨てて戦おうとしたこともありますが、彼の中の中国武術がそれを許しませんでした。
そんな烈、異世界であろうとなんであろうと、降ってわいたスキルなどより、中国武術の技術を信頼するはず!!
この後も烈は己の体に刻みこまれた数々の技術と、心の中に滾る情熱に任せ、異世界で己の道を進んでいくのです!!

異世界もののテンプレをあまり踏襲しないことで少しネットをざわめかせた本作ですが、個人的にこれはこれでいいと思います。
異世界もののテンプレをなぞるだけならば原作付きにする意味もあまりないでしょうし、怪物と戦うと言うのは、まともに攻撃をくらえば一撃死してしまうと言うこともあり、人間と戦うよりも戦い方のバリエーションを作るのも難しいですから。
とはいえそう言った展開を求めている方も多いですし、実際そう言った声も届いているのでしょう、次巻からは怪物とのバトルが描かれますのでご安心を!
烈自身もこの世界の「あがく者」を取り巻く黒い策謀にのってやろうとは思っていないようですから、今後の展開がどうなっていくのかはわかりません!!
怪物とのバトルや烈の料理スキルを使った異世界転生らしいものになっていくのか、異世界でしか実現しないカードが描かれる人間VS人間の展開になっていくのか?
そんな今後の展開への興味も尽きません!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!