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今回紹介いたしますのはこちら。

「となりの信國さんは俺のことが好きな気がする」第1巻 安田剛助先生 

白泉社さんのヤングアニマルコミックスより刊行です。



さて、近年はラブコメ道を邁進している安田先生の最新作となる本作。
現在も「姫ヶ崎櫻子は今日も不憫可愛い」を連載中ですが、こちらの作品も同時に連載中!
こちらの作品もやっぱりラブコメとなっておりまして……?



とある片田舎の町。
その町の一角にある家に、信國のどかは足早に帰ってまいりました。
ただいまの挨拶もそこそこに、自分の部屋に駆け込んでいきます。
なんでも休みの日だと言うのに市街地まで行っていたそうなのですが……
おばあちゃんはそんな様子を見て、あの子も年ごろじゃけえデートにでも行っとったんかねぇ、というのですが、それを聞いたお母さんはありえませんよと笑いだします。
のどかはこっちが心配になるくらい男の子に興味を示さないんだ、どうせまた本でも階に行っていたんだろう、とおかあさん。
今度はどんな難しい本を買ってきたのか……
そんな会話を二人がかわしていることも知らず、のどかは勝ってきたほんの、お目当てのページを真っ先に開いていました。
その本は、思春期の女の子向けのファッション誌。
開いたページはおしゃれな服が乗っているページではなく……「羊飼めえ子の神モテク講座」なる、恋愛テクニックを紹介するページでした。
のどかも少し前までは、こんな本のこんなページを開こうとは思いもしなかったでしょう。
以前まででしたら、好きだった小説を買っていたところなのですが、のどかは自分を変えるためにこの本を買い始めたのです。
なぜ自分を変えなければならないのか?
その理由はただ一つ……
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恋をしたから!

あくる日の授業中の事。
喉かの隣の席に座っている佐々木くんは、のどかに謝ってきました。
となりの席だからって、いつも教科書を見せてもらってありがとう。
そんな佐々木くんに、転校してきたばっかじゃもん、教科書届くまで仕方ないけん、とにこやかに返すのどかなのですが……
その心の中で、ずっと届かんかったらええのに、などと考えております。
席をくっつけて一つの教科書を二人で見る都合上、自然と二人の距離は非常に近くなります。
のどかはそんな状況に、幸せを感じて自然とほおが緩んでしまいます。
しばらくそんな幸せに浸っていたのどかですが、ふと正気に戻りました。
幸せになっとる場合じゃなかった、こんなんじゃけとろいって云われるんよ、と自分に活を入れたのどか、鞄から佐々木くんに気が付かれないようこっそりと先日買った雑誌を取り出し、例のページを確認します。
今週のめえ子様のアドバイスにはこんなことが書いてありました。
「愛されフェロモンは脇の下から!?」
脇の下。
……今市ピンと来ないのどか、自分の脇の下をちょっと確認。
脇の下から出るから何なるのか?
とりあえずパタパタしてみるけどこれが本当に正解なのか……?
理解できないながらも、脇の下の何かが佐々木くんに届くよう腕を動かすのどか。
すると、その動かした肘が佐々木くんに当たってしまいました!
完全にのどかのせいなのですが……ごめん、とちょっと席を動かして距離を取る佐々木くん。
めえ子様のアドバイス通りにしたと言うのに、逆に距離が離れてしまうとは。
やり方が違ったに違いない、と考えたのどかは……考えた結果、
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佐々木くん側の腕をあげて、脇の下を指でグイグイと広げ始めたではありませんか!
となりでそんなことをし始められたら、気が付かないはずがない佐々木くん。
のどかのその様子を見て、とっさに目を背けてしまいました!
そんな佐々木くんの様子を見て……のどかは、もしかして自分は臭いんじゃないか、と思い始めます。
思い起こせばこの間、一日中部屋にこもって本を読んでいたら、お母さんにこんなことを言われたことがありました。
換気しなさい、この部屋のどか臭い、と。
確かにのどか、体温が高くて汗っかきであると言う自覚はあります。
もしかすると午後になったら自動的に臭くなるのではないか……?
そう考えると、どんどん不安になってきてしまうのですが、同時にめえ子様のアドバイスに書かれていたこんなことも思い起こされます。
汗のにおいにこそフェロモンが含まれる、という記述を!
自分みたいな臭い人ほどフェロモンを出しているはず、せめてマイナスになった好感度を何とかプラマイゼロにまで持っていけないか……?
そう考えたのどかは、
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ダブルで脇を開いたのです!!
構わんで、脇を開くので構わんでください……
消え入りそうな声でそう呟くのどか。
明らかにおかしい彼女の態度、佐々木くんはたまらず大丈夫かと尋ねました。
大丈夫、と答えながらも顔を真っ赤に染めているのどかに、佐々木くんはそっとこう告げました。
女子のことはよくわかんないけど、男子の前で無防備に腕とかあげない方がいーと思うよ。
その、下着とかいろいろ見えちゃうから。
のどかは大慌てで、ごめん、クサい上に見苦しかったね、明日から毎朝消臭剤飲んで登校するから、ともうとんでもないことを口走ってしまいました。
佐々木くんはのどかの真意が窺い知れないながら、オレは全然大丈夫、でも信國さんは見られたくないだろうから伝えようと思って、と答えました。
のどかはと言いますと、誰もウチなんかの体見ても楽しゅうないじゃろうけ平気じゃけど、と照れ隠しに笑いながら言うのですが……
佐々木くん、そんなことないよ、俺はそんなことない、と思う、と言って……!!
のどかは佐々木くんの思わぬ言葉に、隠せないほど照れて顔を真っ赤にし、アワアワとすることしかできなくなってしまうのでした!!

家に帰って来たのどか、
めえ子様のぬいぐるみを抱きながら、今日のことを報告します。
今日も失敗しました、アドバイス貰うたのに上手くいかせんで……
でもいつか絶対振り向かせて見せる!
確かにうちは地元の中でも田舎に住んどるけ、恋愛ごとに燃えんがないまま高校生になったけど、なんてったってウチにはめえ子様の「神モテク講座」がついとる!
これで毎週勉強しよったら、いつかウチでも……
そんな胸の内を明かした後……
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ウチの事、だまし取らんよね?
めえ子様にそう確認するのでした!



というわけで、信國さんの戦いを描いていく本作。
のどかの神モテク講座実戦が描かれていくわけですが、多分こっそりやってアピールしていくであろうそれらのアドバイスを、物凄い勢いで誤解しながら佐々木くんに実践していく……
そんな様は可愛らしくも滑稽で、のどかのことを応援したくなってしまうこと必至!!
彼女のキュートさとともに、ズレたアレコレを楽しみましょう!

最近こういった一対一の男子と女子の恋愛ものが増えてきておりますが、そのメインストリームは女子が男子をからかっているように見えて実はちゃんと好き、という構造のものです。
たいていこう言った作品では男主人公が鈍感だったりして相手の行為に気が付かないものなのですが、本作ではタイトルが示す通り、佐々木くんがのどかの行為に気が付いているのです!
ではあっさりくっついてしまうんじゃないかと言うところですが……佐々木くん、転校してきたばかりということも影響しているのか、あるいは単純にそう言う性格なのか……ともかくそう簡単に事が進みません!
のどかの頑張りと空回りがメインとなる本作ですが、佐々木くんのそんな心情もしっかりと書かれているなど、類似作品とは違う本作ならではの要素も用意されているのです!!
とはいえ、本作の二人のスタート地点が他の作品よりも圧倒的に近いのは間違いないでしょう!
一歩間違えば(?)あっさり付き合ってしまうであろう二人の関係を見守っていくのも本作の重要な軸なのです!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!