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今回紹介いたしますのはこちら。

「くにはちぶ」第11巻 各務浩章先生 

講談社さんのマガジンエッジコミックスより刊行です。


さて、たんぽぽやあざみの行動が確実に人々の心に波紋を起こし始めていた本作。
そんな中、前巻では冷酷な監督官だと思われていた踏の過去が明かされました。
踏の人生を含め、多くの人間の運命をゆがめて行ったくにはちぶ。
その狂気の牙は、とうとうたんぽぽにとんでもない災厄をもたらしてしまうのです。



暴走したある人物の手によって、たんぽぽの家は火に包まれてしまいました。
そしてその業火の中からたんぽぽを助け出したため、彼女の父と妹もくにはち抵触で逮捕されてしまいます。
帰る場所も、心のよりどころだった家族も失ってしまったたんぽぽ……
今までひたむきに頑張ってきた彼女も、さすがにこれには答えたようで……
燃え残ったトイレに腰かけ、腰かけたまま壁にもたれかかり、死んだようにふさぎ込んでしまうのでした。

その日はたんぽぽの誕生日でした。
くにはちぶの真っ只中と言えど、彼女を祝おうと言う者は少なくありません。
苦しい中でも嬉しい一日になるはずだった今日が、こんな苦しい日になってしまうとは。
クラスメイトの数名も、直接は渡せないながら、あえて置き忘れるなどして彼女に渡そうとしていたのであろうプレゼントをもってたんぽぽの家に来ていました。
ひどい、どうしてこんなことに、折角キョウは誕生日なのに。
やって来た面々は、どうしていいかわからず立ち尽くすばかり。
その中の一人が、なんだかんだたんぽぽを気にかけてくれるようになっていた犬走にどうしようかと問いかけました。
……ここにやってきた数名がどうするべきかをゆだねられた形になった犬走。
以前は目の仇のように扱っていたたんぽぽですが……今の犬走にとっては、このまま放って置けるような存在ではなくなっていました。
しばらく考えた後、意を決し、彼女のもとに駆け寄ろうと足を踏み出すのです……
が。
そこで、彼女を止めるものがありました。
ひがんです。
無視法の監督官、三途ひがん。
彼女は犬走にこうささやきます。
私は踏君が許してきたような無視法違反も厳しく取り締まりますので、これ以上近づいたりしないようにね。
自己犠牲のヒロインになる前に逮捕しますよ。
……駆け寄ろうとした出鼻を抑えられ、このまま近づくだけで逮捕されるとまで言われては流石にこれ以上のことはできません。
いつもこういうときに真っ先に来るはずのあざみも、なぜか今ここにはおらず……
そこで犬走は、あざみの家に向かうことにしました。
何してんのあいつ。
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こんな時何かできるのはあんたしかいないでしょ、あざみ!

残された女子たちは、遠巻きにたんぽぽを見ることしかできません。
その様子を眺めながら、ひがんは言うのです。
大変ねえたんぽぽちゃん、また這い上がってくれるかしら。
……白々しくそう言うひがんに、踏はこう問いかけます。
カメラの記録では、放火した人物に三途監督官は接触していましたね?
ひがんはそれを否定するでも肯定するでもなく、こう返します。
私が彼女をそそのかして放火させたなら、踏くんはどうしてくれるのかしら?
たんぽぽちゃんを助けたみたいに、抱くんにしたみたいに。
あなたはいつまで這い上がらないつもりかしら?
……踏は何も答えず、ただ黙って立ち尽くすのでした。

最初に動いたのは、意外な人物でした。
ネットニュースを見て、たんぽぽの家が火事になった事を知った……
たんぽぽを支援する組織、「ダンデライオン」の一員である動画配信者です!
これが津波の呼び水だ、と拳を握りしめると、早速ダンデライオンの構成員皆に連絡をしたのです。
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「綿毛を飛ばせ」と!!

楽しかった時を思い出し、涙をこぼすたんぽぽ。
フラフラと立ち上がり、足を引きずるようにして歩き始めました。
あてなどあるはずもありません。
とぼとぼと町の中を歩いていくと……たまたま、幸せそうな家族の様子が目に飛び込んできました。
それは本当なら、自分も体験していたであろう当たり前の幸せ。
その全てがもう自分には与えられない……
そう感じたのか、とうとうたんぽぽは地面に倒れこんでしまったのです。
あざみ、ちゃん。
彼女の最後の支えかもしれない、大切な友人の名前。
力なく、か細い声のそのつぶやきは、誰の耳にも届きません。
降りしきる雪の中、たんぽぽは意識を失うのでした……

何かの声が聞こえた気がします。
ねえ、大丈夫?
火事になったって?大変だったね。
弁当温めてきたから食べなよ、お菓子もあるよ。
気のせいなどではなく、目の前にそう語りかけ、食べ物をたくさん置いてくれる男性が立っていました。
たんぽぽは力を振り絞り、私はくにはちで、無視しないといけない、しないと逮捕、とそれでもまだ被害者を出さないための声をあげるのです。
ですが、うん、と頷き、彼は続けます。
覚えてないかもだけど、前来店してくれた時無視しちゃったからさあ。
ずっと喉に骨が刺さってるみたいで、気持ち悪くてさ。
あの時無視してごめんね。
そう告げ、たんぽぽを抱き起してまでくれたのです!
……無視期間はそう遠くないうちに終わります。
謝るだけなら、その後でもいいはず。
何故こんな時に、法を犯してまで謝った暮れたのでしょう。
男性は言うのです。
「今」だからだよ。
そう言うと、男性はバイト先の店長に、ちょっと逮捕されてきます、とあいさつし……
「綿毛を飛ばせ」だよ、たんぽぽちゃん。
そう言い残して立ち去ろうとするのです。
が、そこに踏が現れます。
もちろん彼を逮捕するためです。
ところが踏が彼を連れて行く前に、踏の前に多くの人物が現れるのです。
私達もこれから無視法違反を起こします、同時に逮捕していただけますか。
そう言って現れたのは……
たんぽぽを放って置けず、逮捕されてしまった都先輩のお母さんを含めた、数多くの大人たちだったのです!!
都先輩のお母さんは、以前みやこ先輩が逮捕された際の怒りをたんぽぽにぶつけ、怪我をさせてしまったことを謝罪。
なんでそんな謝罪をいまするのか、たんぽぽには理解できませんでした。
みやこ先輩のお母さんも、怪我をさせてしまったことを謝ってはいるものの、みやこ先輩が逮捕されるきっかけとなったのはたんぽぽのうかつな行動の精である、という事には依然怒っているそうで。
ですが、そんな彼女も無視法はもっと許しがたいものだと考えているのでとか。
「綿毛を飛ばせ」。
それは、無視法に怒りを感じている者達の、最後の戦いを始める合図の言葉でした。
その最後の戦いとは、
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たんぽぽを「日本国民全員で無視しない」というもの!!!
大勢の大人たちは、今ここに無視法違反をするために集まってきました。
そしてその戦いの輪は、これからさらにさらに大きく……!!
みやこ先輩のお母さんは、たんぽぽに手を差し伸べ、こう告げるのです。
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お立ちなさいたんぽぽさん、つらいでしょうが今が勝負の時です。
あなたを先頭に、「くにはちぶ」を倒します!




というわけで、クライマックスを迎える本作。
とうとう「くにはちぶ」とたんぽぽ、いや、日本国民の戦いが最終局面へとたどり着きました。
この戦い、一見するとただただ逮捕者が続出するだけにも見えます。
確かにそこは間違いありません。
たんぽぽに会えて接触し、無視をしない。
その事によって、逮捕者が続々と出てしまう……
そですがれは、ダンデライオンや国八分に異を唱える者にとって、望むところなのです!!
続々と逮捕されていく違反者たち。
それはみるみると増えて行き……
その先に待っているものは何なのでしょうか?
逮捕者が爆発的に増えたその先は……!?
くにはちVSたんぽぽ、その決着の時がとうとうやってくるのです!!

国八分と言う法律の真の狙いなども明かされながら、闘いの決着が描かれていくこの第11巻。
ですが戦いが決着を見ても、本作は終わりになりません。
本当に最後となる戦いは……今、この場にいないあの人物が密かに抱えていた闇との戦いになります。
辛く苦しい戦いは終わり、その先の戦いを超えることができれば、たんぽぽの周りに本当の「普通の日々」が返ってくるでしょう。
泣いても笑っても次の第12巻で本作は完結!!
果たしてどんな結末を迎えるのか……待つしかありませんね!!





今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!