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今回紹介いたしますのはこちら。

「スキップとローファー」第5巻 高松美咲先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。


さて、文化祭という一大イベントが繰り広げられた前巻。
みつみにも試練が降りかかった文化祭ですが、何とか乗り切ることができて……?



11月です。
文化祭にテストと大きなイベントが終わり、学校にはつかの間の平穏な時間が流れていました。
そんな中で、ちょっとしたイベントが催されまして……みつみのクラスの席替えが行われたのです。
みつみの席は、なんと聡介の隣。
しかも近くには仲良しの誠やミカ、にぎやかな山田の席があります。
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ちょっと席が離れてしまった結月は休み時間の度にみつみたちの席の方にやってくるのですが、そのほかにも聡介と絡みたい女子たちが山田をからかうという名目でぞろぞろと来てみたり、そンな女子たち発信の会話にみつみも巻き込まれてみたり……
みつみの周りの席は、最近いつも賑やかなのです!

とはいえ、賑やかなのがみんな大好き、というわけでもありません。
お昼休みにみつみたちが集まってお昼を食べていたのですが……誠は連日のにぎやかさにぐったりしていました。
中学時代からいわゆる「クラスのおとなしいグループ」的な立ち位置にいた誠、クラスの明るいグループをパリピ陽キャと皮肉りつつも、憧れめいた思いがなかったわけではありません。
最初こそそんな輪に入っているような感じで浮かれる気分もあったそうですが、3日もたてばもう十分。
情報量が多すぎて頭がパンクしそうになる、その中心にいつもいる聡介はすごい、と愚痴と謎の称賛が出てくるほどです。
聡介がモテる、というのはもはや言うまでもないことですが、山田はどうなのでしょうか。
山田は休み時間に結月がやってくるとあからさまに存在を主張し始めますから、彼が結月に一定の感情を持っているのもまた言うまでもないところ。
当の結月はどうなのかといいますと、山田はいいやつだけどどうもない、とのこと。
山田からは結月が好き、というより、とにかく彼女が欲しい、という感情が透けて見えておりまして、自分は結構ロマンチストだという結月の金銭には引っかかってこないのだそうです。
確かに「オンリーワン」扱いしてくれた方がうれしいのは間違いありません。
あっちもいいしこっちもいい、ときょろきょろするのは遠回りになりかねないわけです。
逆に主張の少ない迎井などは他のクラスの子からかっこいいという声も上がっているようで、無欲な感じが余裕ありそうに見えて人気になっているとか。
そんな話をしていると、不意に真琴がつぶやくように言いました。
とか言ってるうちに、己の欲望を認めて必死にやってる山田が誰より早く恋人作ったりすんのかな、スタートはどうあれ大切に関係をはぐくんでさ……
なんだかそういわれるとそんな感じもしてきます。
そう考えると山田は立派なのかもしれない、男子をすぐバカにしちゃったりするのもよくないかもしれない。
男子だじょしだとくくって考えず、人対人として考え、尊敬の念をもって歩み寄ることが大事なんだ!
なんだか心が浄化されたようなすっきりした表情で、一同は教室にもどるのでした。

男子たちもそんな女子たちのお話にリンクするかのように、あれこれ話をしていました。
聡介は自分ではそんなにモテていないと感じているそうですが、「ファンはいる」と余裕の表情。
迎井は表情には出しませんし、表立って同行するわけではないものの、彼女が欲しくないわけではないとのこと。
山田は……ぶっちゃけ付き合えたら誰でもいい、ととんでもないことをつぶやいておりました。
自分でもこれが思春期なのかと感じる抑えがたい衝動なんだ、女子ってなんであんなにフワフワで柔らかそうなんだ?
かなりアレなことをつぶやきながら、うつろな目で虚空を見つめる山田……
そんな山田に、聡介はこんな言葉で答えていました。
フワフワで柔らかいと言えばさ、これみんなでやりたいなと思って!
聡介の手には、ねればねるほど色が変わったりする、知育菓子がたくさん抱えられていて……!
男子たちが教室で知育菓子を作りながら盛り上がっているところに、女子たちが戻ってまいりました。
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理想と現実の乖離に直面し、女子たちの浄化された面持ちは一気に沈静化。
男子って……とテンションが下がりまくる女子たちなのですが、しばらくするとなんだかおもしろくなってきてしまい、みんなで大笑いしてしまうのでした。

予鈴が鳴り、それぞれの席に着くみつみたち。
ミカはみつみと聡介を見ながら、ぼんやりと考えていました。
みつみの志摩くんに関わる「引き」の強さは何なんだろうね。
みつみがいつか、志摩くんのことを好きだって言い始めたらどうしよう。
誠と結月は絶対応援するっていうだろうな。
そうなると後から言い出しにくいんだよな。
むしろ思い切って私が先に言い出しちゃう?
周りを味方につけるってまぁデカイし。
嫌でも相手は志摩くんだよ?
他にもれたら最後、顔はどんなだ、告った、フラれたらしい、前項に筒抜けになっちゃうでしょ、無理無理。
それに何より、みつみの県政のためにそんなことしちゃったら私、きっといよいよ自分のこと許せなくなってしまう。
あーあ、なんで人気者なんか好きになっちゃうかな……


放課後です。
みつみが生徒会室に行きますと、新生徒会長になった高嶺先輩が待っていました。
副会長になったみつみは一緒に仕事をはじめますと、前期であっさり生徒会をやめてしまった風上先輩が生徒会室を訪ねてきまして、差し入れだけ持ってきてくれて塾に行くと去っていきました。
風上先輩もこうしてちょくちょく遊びに来てくれるなど、みつみの周りには少しずつ変化があったのですが、一番の変化は聡介が演劇部に入ったことでしょう。
聡介は結局、やりたくないと思って役者をやめたけど、それも自分で決めたことじゃなかったような気がしてきたから、好きか嫌いかを知る為にも頑張ってみる、と入部を決めたのです。
ランニング中に生徒会室の前を通りがかった聡介は、みつみに軽く声をかけ、じゃあみつみちゃん、またね、と言い残して走り去っていきました。
みつみはこんなことを考えながら、聡介を見送ります。
最近の志摩くんはなんかちょっと明るいというか、くっきりしたというか……
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好きだなぁ。
…………高嶺先輩に声をかけられ、正気に戻ったみつみ。
先輩が入れてくれた紅茶を飲みながら、改めてみつみは自分の気持ちを反芻します。
そ、そうか。
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す、好きなのか……



というわけで、とうとうみつみが自分の気持ちを自分でしっかりと自覚した今巻。
人間関係的な問題や、聡介の心のもやもやなどがある程度解決したいま、やはり主題になるのは恋愛関係のお話になっていくようです!
みつみの中で、とうとうしっかりと自覚された聡介への恋心。
初めて抱くであろうその気持ちを前に、みつみはどうするのでしょうか?
ポジティブではあるものの、無鉄砲ではない彼女がいきなり告白なんてことはできるとは思えませんが……
そしてそうなると当然みつみ以外の人物の気持ちも重要になってくるわけです。
奇しくもその日ちょうど、聡介とみつみと自分のことで少し思い悩んでいたミカ。
彼女の行動もこれからの展開のキーとなってきそう。
もちろん当人の聡介の気持ちもどうなることか。
どうも自分の恋愛に関しては頓着がないタイプのような聡介、自分がみつみに対して本当はどう思っているのかが自分ですらわかっていないようです。
改めてその事を考えた時、どんな結論を出すのか?
そうなったら二人の関係はどうなるのか?
これから大きな動きができていきそうです!!

みつみが聡介への思いを伝えるかどうかと言う心の面は置いておくとして、恋する乙女であると自覚したみつみ、とうとうお化粧方面もちょっと気になるようになっていきます!
そこで新たな展開と、意外なあのキャラクターの恋愛が描かれるなど、予想外のおはなしがてんこもり!!
いつもの本作ならではのノリはもちろん、気になって仕方ない恋愛ドラマも本格始動してきている本作から、ますます目が離せませんね!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!