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今回紹介いたしますのはこちら。

「宇宙戦争」第3巻 原作・H・G・ウェルズ 脚本・猪原賽先生 漫画・横島一先生 

エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。


さて、突如現れた火星人により、一気に地獄絵図と化したイギリス。
そんな中で写真家は何とか生き延び、愛する妻のもとに戻る為、そして加瀬委員の侵攻をカメラに収める為、息をひそめながら逃げるのでした。



写真家と牧師は、地下室に逃げ込むことに成功しました。
ですが地下室には外に通じる大きな亀裂が走っていて……
下手に物音を立てれば、音に敏感な火星人はたちまち二人を見つけ、捕えてしまうことでしょう。
牧師はわずかな吐息も漏らさない勢いで、自らの口を自らの手で塞いでいます。
写真家はと言うと……カメラを手に、亀裂のほうへそっと向かうのです!
外では、見たことのない小型の機械が動き回っていました。
体高3~4メートルといったところでしょうか、小型の機械は生存者を見つけると素早い動きで駆け寄り、腕を伸ばして捕まえてしまいます。
するとそこに、20メートル以上はあろうかという大きな機械が近づいてきまして、捕えた人間を水槽のようになったボディの中に突っ込んでいくのです。
……どうやら小型の機械にも火星人が乗り込んでいる様子。
生身では地球の重力に耐え切れず、無様にはい回るだけだった火星人、その体には衣服もまとわず、ともすれば日文明的にさえ見えました。
ですがこの小型の機械や、水槽のような大型機械、そしてイギリスを地獄と化した「三脚台(トライポッド)」……それらはいずれも人間をとらえるための機械でありながら、火星人の手足であり、服であるのかもしれません。
そんな様子を観察していると、覗くだけなら安全と見たのか、牧師が駆け寄ってきて、私にも見せてください、と写真家を押しのけて亀裂の前にやってきます。
押しのけられた写真家はよろけ、近くにあった本棚にぶつかってしまったのですが……
その際落ちた本には、「100万年後の人類」の予想図が描かれていました。
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生活のすべてが機械任せとなり、四肢が退化し、鼻や耳も必要なくなる。
進化した脳を収めるための頭部と、機械を操作する手だけが肥大化する……
それはさながら、今人類を脅かす火星人の姿の様ではありませんか!!
火星人は、地球人がいきつく進化の先の姿だとでもいうのでしょうか!?
写真家がそんなことを考えていると、牧師は何やらおびえながらよろめき始めました。
外で何かあったのかと覗いてみると……そこには更なる地獄が広がっていたのです!!
水槽のような大型機械の周りに集ってくる多数の小型機械。
小型機械から何やら触手が伸びていき……水槽の中の捕えられていた人々に突き刺さりました。
するとその触手を通して、火星人はドクドクと
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人々の体液を吸いつくして言ったではありませんか!!
体液を吸われた人々は、哀れミイラのような姿に。
そして搾りかすには用なしとでも言わんばかりに、大型水槽の中から無造作に排出されていくのでした……

あまりの衝撃的な光景に、牧師はショックを隠し切れないようです。
奴らは人の血を、魂を吸っている。
神よ、人は、人はそんなにも罪深いのですか……
牧師が絶望の中でうめく一方、写真家は別の感情を抱いていました。
恐ろしいのは間違いないでしょう。
ですが写真家は、この現実を撮影しなくてはならない、という使命感のようなものに突き動かされていたのです。
私はこの写真を残したい。
誰に見せることがないとしても、地球人がこの惑星に生き、火星人に滅ぼされたという証のために!

そんな決意はしたものの、現像しなくては写真にはなりません。
この環境では現像はできないため、とにかく今は生き延びる必要があります。
不幸中の幸いで、この地下室にはしばらく生きていくには十分な量の食糧が備蓄してありました。
観察していると、火星人はかなり大勢でここにきています。
ということはおそらくどこかへ攻撃を仕掛けるつもりでしょう。
今は音を立てず、静かに過ごし、火星人がそのどこかへ向かうまで待つ。
そしてそのあと、ここから脱出するのが最善……のはずです。
写真家は確固たる目的がある為、この環境にも耐えることができています。
ですが牧師は違いました。
悲観に暮れる牧師は何やらブツブツつぶやきながら部屋の片隅で何も食べず寝転んでいるだけ。
見るに見かねてパンを差し出すと、奪い取るように手に取り、その勢いで他の食べ物も貪るように食べるのでした。
罪深い、罪深い、とつぶやきながら、やけ食いをする牧師……
その精神は限界なのでしょう、やけになってはいけないと諭しても、牧師は聞く耳を持たないどころか、写真家の頭を酒瓶で殴りつけてくる始末。
さすがに黙っていららない写真家も殴り返すのです。
音を立てれば死が待っている、ということは二人ともよくわかっていますので、行われるのは子供のような無言の取っ組み合い。
結果、一定の規律を守る協定を結んで休戦することにはなったのです、が……

地下室に隠れてから7日。
その間、火星人はここから姿を消すことはありませんでした。
火星人は何やら、得体のしれない巨大な施設を作っていたのです。
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一体あれは何なのか?
何を企んであれを作っているのか?
そして火星人はいつまでここに居座ってあれを作るのか……?
そんな沸き上がる不安の数々に、牧師は完全におかしくなってしまったお湯です。
延々と泣き続けたかと思えば、食料の都合など考えずに食べ物を貪り、衝動的に飲み物を飲む……
遂には写真家の分にまで手を出すようになってしまったのです。
その為、写真家の方も気が休まる時が無く、まともに眠子こともできなくなってしまいました。
精神は一層消耗し、体力的にも限界が近くなってきた写真家ですが、そんな時でも牧師は構わず飲み食いをするのです。
見かねた写真家は、雨のおかげで水は大丈夫だが、食料には限りがある、牧師としての誇りはどこに行ったのか、と怒鳴りつけるのですが……
牧師はうわごとのように、聖書のイエスのパンとワインのくだりをうわごとのようにつぶやくのです。
が、その最後に奇妙なことを言いだしました。
新たな血、新たな契約……
そこで写真家は気が付くのです。
牧師が、
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得体の知れない謎の祭壇を作っていたのを!
そして……そこで写真家は気付くことができませんでした。
人間は、新たな神と結ばれるのです。
そういって、牧師が背後から、写真家の頭に岩を叩きつけようとしていることに!!



と言うわけで、いよいよクライマックスを迎える本作。
人類よりもはるかに進んだ文明で、まるで虫けらのように人類を蹂躙し、あまつさえ生き血をすすって文字通り血の一滴まで搾り取る。
そんな火星人を前に、すくなくともこの時代の人類の持つ化学では太刀打ちなど到底できないわけで。
ただただ蹂躙されていく様を、写真家は見ていることしかできません。
人類の敗北は決定的。
自分にできる事は、誰も見るものがいなかったとしても。滅びゆくさまを撮影すること……
ただそれだけのために、「今を生き延びる」ことだけを考えたのでした。
ですがその先に何があるのでしょう?
牧師は正気を失ってしまいましたが、生き残った他の人々もこれほどとはいかなくても希望を失い、絶望に暮れているはず。
果たしてわずかでも生き延びた先に、何らかの希望はあるのでしょうか?
写真家の家族は無事なのでしょうか。
そして、火星人と人類の依法的な戦いの結末は……!?
名作SFの漫画化作品、見事に完結を迎えます!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!