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今回紹介いたしますのはこちら。

「徳川の猿(ましら)」第3巻 藤田かくじ先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


さて、江戸に害する「天狗」の野望を挫くため、「猿」として戦う鈴たち。
腕利きぞろいの「猿」ですが、「天狗」もまた危険な輩ぞろい。
鈴たちはいつ死んでもおかしくない、ギリギリの戦いを強いられるのです。



江戸城にまで毒蛾を伸ばしていた天狗。
ですが鈴や月たちの奮闘によって、なんとか撃退することができたのでした。

そんな戦いで、自分がほとんど役に立たなかったと悔いを残してしまった鈴。
月と組手を行って少しでも強くなろうとするのですが、小太刀をもって柄でしか攻撃してこない月にすら、鈴は一種されてしまうのです。
私は弱い、今のままでは仇も討てない、とうなだれる鈴なのですが、他の面々はそうは思っていない様子。
鈴はそんなに弱いわけではない、ただ、傷つけずに制したいと考えているから戦いで後れを取ってしまうのだ、と皆は言うのです。
鈴は……父の亡骸を見たときは本当に悔しくて、憎くて、殺してやりたくて……悲しくて辛くて、こんな思いをするのは自分と仇だけでいい、とその時思ったのだそうです。
だからこそ無用な犠牲者を出さずに済ませたいのですが、相手は鈴を殺す気で来るわけで、そううまくはいきません。
常に相手の先が取れれば、踏みこむ勇気があれば。
そう呟く鈴に、それができれば苦労はしない、と月は言うのです、が!
その瞬間、月は後ろに飛んで距離を取りました!!
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いつの間にか、鈴の傍らに見慣れない男がいたのです!!
突然現れたその男ですが、どうやら鈴の知り合いの様子。
この人の父上には、相手の先を取ることができた、と言うその男の名は不動。
なんと鈴の許嫁だと言うのです!

不動は鈴の遠縁で、両親に先立たれて鈴の家でそだち、いずれ婿養子になる、予定でした。
許嫁と言うとなんだか色っぽい関係も想像してしまいますが、鈴は不動は弟みたいなもので、そんな風には見られない、とそんな関係ではないときっぱり。
不動もまた、自分も昔から武術が苦手でいじめられていて、よく助けてもらっていた姉のような存在です、と笑顔のまま言うのです。
そんな不動が今日来た理由は、まず叔母さんから鈴が世話になっているお礼を兼ねたお金を預かってきたのを渡しに、と言う事のようです。
近所の人達用にお酒も持ってきたから、と夕餉の支度も始める不動。

厨房に立つ不動を見て、鈴はかつての父のことを思い出していました。
いじめられていた不動を助ける為、有無を言わさずいじめっ子を蹴り飛ばしてけがをさせた鈴。
そんな鈴に父は、その家に謝りに行くぞ、と言い……その前に一つ叱る、と目線を合わせて鈴に語り掛けるのです。
お前なら子供相手に「先」を取ることはたやすい、先を取れば突くも制すもできよう、傷つけずに済ますことはできたはずだ。
感情任せに人を傷つけたことは許せぬ。
そう言うと今度は、ひとつ褒める、とにこやかに語り始めました。
よくぞ不動を不当な目から守った、よくやった!
正しきことは迷わずなせ。
それは父の口癖でした。
そんな父を殺した天狗……鈴は決して許すことはできない、と拳を握りしめるのです。

出来上がった夕食は上々の出来で、飯にうるさい月も満足の出来でした。
手で大きく丸を作って笑う月なのですが、その直後、すさまじい勢いで不動に向かって箸を投げつけたではありませんか!!
一体月は何をしているのでしょう!?
不動はすんでのところで避けたのですが……
その箸は、普通の人間なら、「武術が苦手な人間」ならば避けることなど到底できないはず。
……そして、最初に現れた時も全く月に気配を感じさせませんでした。
その身のこなし、何者だ。
お前の飯は血の匂いがする。
月がそう言うと……不動は顔色一つ変えず、こう言うのです。
じゃ、本題に入りますか。
鈴さんが猿になった以上いずれわかる事ですけど、もう言っちゃいます。
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私天狗なんです、すずさんを勧誘に来ました。
……変な冗談はやめろ、と鈴は不動の手をつかむのですが、不動は座ったまま、手をつかまれたまま、鈴の体を転がしてしまいます!
本当なんです。
鈴さんの父上は太郎坊が何故天狗になったのか知った、知れば今の世と「平らかな世」どちらが正しいか誰でもわかる。
だがあの人は天狗を討つ側にまわった。
「正しきことは迷わずなせ」。
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だから殺しました。
もっと早く言うべきでしたが、貴方は話を聞ける状態じゃなかった、気がまぎれるまで自由にさせるつもりでした。
それがまさか猿になってしまうとは、いやあ困っちゃうな。
ちょっと失敗した、とでも言うか程度のテンションでそう言う不動に、月はいち早く殴り掛かります!!
が、不動は月の出鼻をくじくように掌底をうって月を転がしてしまいました。
すかさず立ち上がって今度は蹴りを放つ月ですが、その蹴りも下から掬いあげてあっさり返す不動。
何度やっても結果は同じ……
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この動きは、鈴の父と同じ動き。
……相手の「先」を取っている……!!
あの月をあっけなく倒して見せた不動は、今日のところは帰りますがまた来ます、と言って出て行きました。
その去り際に、こう言い残して。
私はもう不動じゃないんだ。
私は「次郎坊」、太郎坊の使徒、十二天狗の一人だ。




と言うわけで、ついに鈴の仇が姿を現した今巻。
その正体は、驚くべきことに鈴の許嫁である弟分でもある、不動でした。
この事実は鈴にとって受け入れがたいものであることは間違いないでしょう。
憎くて憎くて仕方がない、彼女がおそらく唯一殺したいと思っている存在、それが弟として仲良くしていた男なのですから。
不動……いや、次郎坊を前にして、鈴は戦うことができるのでしょうか?
そもそも、次郎坊に太刀打ちできるのでしょうか……?
そんな不安など知る由もなく、「猿」としての仕事は舞い込んできます。
そしてその仕事の先にも、また天狗の姿が!?
しっかりと考える暇もなく新たな戦いの渦中に投げ込まれる鈴、そこで彼女が見るものとは……!!

そんなお話の他にも今巻には見どころいっぱい!!
前半では前巻から続いていた天狗との決着が描かれ、その中で月の過去につながる鍵がちらりと見えてきます。
そして早くも今巻の終盤で、そのカギを使って月の過去が開かれるのです!!
衝撃的な月の過去の出来事、過去の姿が明かされるそちらのエピソードも必見ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!