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今回紹介いたしますのはこちら。

「ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王」第1巻 原作・三条陸先生 漫画・芝田優作先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


三条先生はアニメ脚本やゲームのシナリオなどを手掛けつつ、漫画原作も行うマルチな才能を発揮する作家さんです。
漫画原作者としては1987年より活動されていまして、代表作は「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」。
デビューから現在に至るまで、脚本家としても漫画原作者としても精力的に活動をされておられます!

芝田先生は09年にジャンプの新人賞を受賞してデビューした漫画家さん。
14年に「ヨアケモノ」、19年に「ZIPMAN!!」を週刊少年ジャンプで連載したものの、残念ながら短期での打ち切りとなってしまいました。

そんなお二人がタッグを組んで描くのは、三条先生の代表作であり、20年より2度目のテレビアニメも放映されている「ダイの大冒険」のスピンオフ。
「ダイ」の人気キャラであるアバンの過去を描く作品となる本作、気になるその内容はと言いますと……?



強大な力を持つ魔王が世界を脅かす悪夢の時代。
魔王による世界征服も間近かと言うその中で、魔王に対抗する国がただ一つ存在していました。
強力な騎士団を要する国家、カール王国です!
カール王国を率いるのは、りりしく美しく、勇猛なフローラ姫。
今日も騎士団たちの前に立ち、騎士たちを鼓舞する演説を行っていました。
その男の名は、ですがそんな中に姿を現さない男もいます。
騎士団の一人、アバン。
彼がこうして公式行事に姿を現さないのは日常茶飯事で、フローラも相変わらずねと笑うほど。
フローラ自身は全く気にしていなそうなのですが、周りの騎士たちはそうではありません!
特に騎士団長を務めるロカは相当な怒りようで、姫様の公式行事をサボるとはふざけるにもほどがある!と鼻息も荒くある場所へと向かっていきます。
アバンがどこで何をしているのか?
ロカにはそれがわかっているのです!

そこは調理場でした。
アバンは女の子たちに、スープの味の指導の真っ最中。
このスープはいまいちですね、パデキア草の茎をまぜると味が引き締まりますよ、と指導すると、女の子たちは黄色い声をあげてアバン様ってもの知り、とほめそやすのでした。
そんな和やかな雰囲気を一気にぶち壊す、怒りの形相でやってきたロカ!
瞬く間にアバンを調理場から連れ去ってしまうのでした!!

人気のない場所に移り、早速説教をするロカ。
ですがアバンは全く悪びれず、ボディーガードならカール騎士団最強の君がいればいい、私は白のお食事でも強化していた方がよっぽど国のために役立ちますよ、と悪びれません。
騎士にあるまじき言葉を聞かされるロカですが、友人であるアバンのこう言った態度はもう何度も見ているわけで……ここまでくると、怒りよりもむしろあきれが先に来てしまうようです。
わが友ながらなんでお前みたいのが騎士団に選ばれたんだか、とあきれ返って寝転がるロカに、自分の家は学者の家系で、勉強ができるからでしょ、とアバンは答えます。
ですがそこがまたロカには納得いかないようで。
今は戦いの時代なんだ、魔王が俺たちの国を狙ってるんだ、女の子を喜ばす程度の知識なんていくらあっても足りない、と怒鳴ってくるのです。
そんなロカを、その言い方は女性に失礼ですよ、貴方だっていつかは結婚して奥さんのお世話になるんですから、と諭すアバンなのですが、ロカは変わらず取り付く島無し。
俺は一生剣に生きる、女の子なんか好きになるもんか、もしそんなことがあったら裸で国中走り回ってやる、とまで言い切るのでした。
しびれを切らしたロカは、とにかく行事には参加しろ、剣くらいいつも持っていろ、と言い残して立ち去って行きます。
怒り心頭のまま立ち去って行くロカを見送るアバンなのですが……彼の姿が見えなくなった後、空男見上げて言うのです。
わかってますよロカ、君の言う通り
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戦いが近いようだ。

事件はその直後に起きました。
突如、フローラの部屋に奇怪な地文字が現れたのです!
駆けつけたアバンがその文字を解読すると、そこにはこう書いてある事がわかります。
「今宵姫をいただきに参上する、魔界の髪への生贄とするために……魔王」。
一気にざわつきだす城内!!
兵士たちは慌てて守りを固めるのですが、そんな中でフローラはアバンに何やら声をかけて……?

ヨルがやってきました。
しっかりと守りを固めた城は考え得る限り万全の守備体勢となっているようにも見えますが、そこにあ板の姿はありません。
ロカによれば、大事なようがあるからと杜に行ったとのこと。
本当かどうかはわかりませんが、もうアバンを探す時間などありません。
自分たちが必ず姫を護る、とフローラに誓うロカなのですが……心の中は怒りで煮えたぎっています。
いくら腕に自信がないからって逃げ出すとは、テメエとの仲も今日これまでだ!
そんなロカの怒りも知らず、アバンは森の中で鼻歌交じりに何かしているのでした。

遂に魔王がやってきました!
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魔王は城内に入るや否や、無数のモンスターを放ちます!!
その中には巨大なドラゴンも含まれていて、魔王は早くもフローラの部屋にまで侵入してきてしまいました。
決死の覚悟で戦いを挑むロカですが、魔王の魔力の前に歯が立たず……
悠然とフローラを見下ろし、お前の身柄をもらい受けに来てやったぞ、と笑うのでした!
魔王の本当の目的は、人類最大の砦であるカール王国の姫を奪って国の戦意をそぎ、世界征服を手繰り寄せる……と言うもの。
ですが魔王にとってそれが見破られたからと言ってどうと言うことはありません。
大人しくついてくるならよし、抵抗するならこの場で殺すだけ。
どちらがいいか決めろ、と迫る魔王ですが……そこで、とうとうアバンが姿を現したのです!!
魔王さんとやら、女性を誘うときはもう少し優しく声を掛けなければダメですよ、といつもの調子で言うアバン。
魔王はすぐさまそんなアバンを始末しようとドラゴンをけしかけるのですが……
アバンが何かをドラゴンの鼻先に投げつけると、突然ドラゴンが魔王の命令を無視して暴れ出すではありませんか!
どうやらドラゴン、酷く混乱しているようです!
これこそアバンの言っていた森での大事な用事。
アバンは森で毒蛾を探し、それを素材にモンスターを混乱させる「毒蛾の粉」を調合していたのです!!
既に城内のモンスターは毒蛾の粉の影響により、同士討ちをしている状態。
一気に形勢逆転かと思われたのですが……
……相手は魔王です!
魔王は一撃でドラゴンを昏倒させると、怒りをあらわにアバンをにらみつけます!
ですがアバンも一歩も引かず、いつもの様子とはまるで違う真剣なまなざしで魔王をにらみ返し、魔王に啖呵を切るのです!!
戦いは望まん、だが自らの野望のために平気で他人を傷つけようとする外道を見て黙っていられるほど、

この私はお人好しではない!!
メガネを外し、臨戦態勢になったアバン!!
そこに魔王は呪文で攻撃を仕掛けるのですが、アバンもまた呪文を使って魔王の攻撃を押し返しました!!
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さらにすかさず高度な攻撃魔法であるベギラマで反撃を行うのです!!
これにはさすがの魔王も驚きました。
人間でありながら、ここまで高度な魔法を使うとは……!
魔王はすさまじい威力の魔法を蓮だするものの、アバンはそれを掻い潜って一気に魔王の懐へ!
そして魔王を蹴り飛ばして壁にたたきつけると、そこにさらに高度な攻撃魔法、メラゾーマで追い打ちを仕掛けるのです!!
……が、その魔法は魔王によって難なくかき消されてしまいます。
中々やるが所詮は人間の力、魔王の呪文に比べれば
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まだまだ幼稚!!
魔王はそう言うと、攻撃魔法の究極系の一つ、イオナズンを放とうと準備を始めました!!
凄まじい威力を秘めたこの魔法、まともにくらえば黒焦げになってしまうことでしょう。
避けなければ間違いなく死ぬか、運よく生き残っても再起不能に近いダメージを負ってしまう……
ですが運悪く、アバンの背後にはフローラがいます。
よければフローラが犠牲になってしまうかもしれない。
覚悟を極め、アバンは魔王に向かって仁王立ちをするのですが……
魔王もまた、この呪文が決まれば勝負が決まることがわかっています。
自ら死を選んだか!?
では死ねぃ!!
そして魔王の極大爆裂呪文が、容赦なくアバンに……!!




と言うわけで、「ダイ」本編でダイの師匠として登場し、活躍した人気キャラである勇者アバンの若かりし日を描く本作。
この第1話は、かつて「ダイ」が連載されていた当時に発表された読み切りをベースに、柴田先生が描き直したものとなっております。
その読み切り版とはほとんど内容が変わらないこの第1話なのですが、ラストで大きな次なる展開へのどんでん返しが用意されているのが最大の特徴です!!
アバンの戦いの旅が始まる本作ですが、その大きな障壁となるであろうモノが登場するのですが、その中に驚愕の要素が用意されているのです!!
原作ファンならばこう来るのかとにやりとしてしまうこと間違いなしのその要素ですが、まだまだ本作のお楽し海は用意されております。
最終的にアバンが魔王を倒す、と言うのは「ダイ」の前日譚である以上動かない内容なわけですが、そこに至るまでがしっかりと描かれておりまして。
「ダイ」で登場した時はすでに出来上がったアバンだったわけですが、そこに至るまで……「あの技」が誕生するお話、ダイたちのよりどころにもなるアレが生まれようとしている描写、早くも登場するあのキャラクターとの出会いで生まれる気付き……なんかが描かれているわけです!!
まさしくアバンが優者になるまでを描いていく本作、今後も数々の技が登場し、「ダイ」の中で断片的に描かれていたイベントが巻き起こって行くはず!
本作だけでも楽しめるお話になっていますが、「ダイ」ファンなら何倍も楽しめること間違いなし!!
今後の展開にも要注目ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!