gg0
今回紹介いたしますのはこちら。

「ゴールデンゴールド」第8巻 堀尾省太先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。


さて、フクノカミからヒトノカミとカネノカミが分裂し、ますます島のフク増加していった本作。
ですがカネノカミとヒトノカミは完全にフクノカミと離別し、独自の行動を開始。
制御ができなくなったフクノカミは、どうやら焦りを感じているようで……?



今まで琉花と黒蓮から逃げ回るように行動していたフクノカミ。
ところがそのフクノカミが二人の前に自分から姿を現しました。
しかもどうやら彼、助けてくれ、と言っている様子。
俄かには信じられないことですが、こちらの言葉がわかるフクノカミに、本当に助けて欲しいって言いたいのか、と尋ねると、肯定するかのように二人を見つめ続けて……
今までさんざん島と島の住民をひっかきまわしてきたフクノカミが、突然助けてくれと言うのは虫が良すぎると言うものではないでしょうか。
ですが膨れ上がって行くばーちゃんの欲望を制御するには、フクノカミの力が必要なことも事実。
迷いながら、二人はフクノカミに導かれるまま家を出るのでした。

町の中を出て、車通りも少なくなる島の片隅の道へ。
そしてその道から枝分かれする山道へ入って行きます。
このまま進むと、あるのは神社です。
が、その前に、琉花が最初にフクノカミを見つけた祠の様なものがあるはず。
やはりフクノカミが目指していたのはそこのようで、祠の前まで来ると琉花の袖をつかんでいた手を放し、トコトコと一人で歩き始めまいた。
二人はそっとその後をついて行きます。
そのままフクノカミは祠にまっすぐ向かい、半開きになっていた祠の中へもぐりこんで……こちらを向いて胡坐をかいて座りました。
gg1
これは、あの時の再現……?
するとその時、琉花の携帯が鳴り始めました。
ばーちゃんからの着信です。
このタイミングでばーちゃんからの着信、間違いなくフクノカミの差し金でしょう。
とりあえず電話に出てみますと、何やらばーちゃん、自分でも何をどういっていいかわからないようです。
琉花もばーちゃんも戸惑っておりますと、フクノカミが小さな声で呟きます。
gg2
えーっとね、一回、消してから、やり直し。
するとばーちゃん、その声が聞こえたかのように、そう、一回消してからやりなおし、とつぶやき……
電話は切れてしまったのでした。
おそらくフクノカミが乗り移って言わせたのでしょう。
これで琉花には、フクノカミが何をさせたいのかがわかりました。
お祈りのやり直し。
全ての始まりであった琉花のお祈りをリセットし、これほどまでに欲望が肥大化しないような祈りをし直せ、と言う事のようです。
自分が主流として力を発揮するのに必要な名分を得るため、といったところでしょうか。
カネノカミとフクノカミを出し抜いてはしごを外そうと言う意味もありそうです。
とにかくここで適切なお願いをすれば、このままばーちゃんが暴走していくのも抑えられそう。
なのですが、問題は「一回消す」と言うところです。
元の願いをきちんと消したうえで改めてお願いしてこそのやり直しなのでしょう。
琉花は少し考え、「アニメショップ入らない、元のお店だけでいいからばーちゃんがずっと商売をやっていけますように」と口に出しました。
黒蓮はその言葉を吟味し、いいと思う、一応「福」の神様へのお願いっぽくなってるし、と頷くのです。

琉花がやり直しをしている最中、黒蓮はこんなことを考えていました。
やはりヒトノカミとカネノカミはこのフクノカミから別れた分身かもしれない。
その時にあの2体に島を栄えさせる性質を多く分配した。
結果フクノカミの中で生存本能の部分が割合的に上がってきた……そんな風に見える。
これでソフトランディングの可能性が出てくればいいけど……

やり直しはしてみたものの、フクノカミは今までの姿のまま。
あまり何かが変わったようには見えません。
一旦ばーちゃんの様子を見よう、と祠の中から動かないフクノカミを置いて、二人は町へ戻りました。
町で黒蓮と別れた後、後ろを振り向く琉花。
やはりフクノカミは追いかけてこないようです。
あの時よりも何倍も強く念じた、アニメショップもちゃんと否定したし、あとは経過を見るしか……
そんなことを考えながら何となく道を歩いていると、堤防際に及川の自転車が留めてあるのを発見しました。
及川が海にいるとは珍しい、こーゆーのこそ声掛けろよ、などとこぼしながら、海辺で何やらやっている及川の方へ歩いて行く琉花。
ですがその最中、いったんその足が止まるのです。
……しばらくしてからまた歩き始める琉花。
すると及川が琉花に気が付き、振り向きました。
アオサ?手伝っていい?
琉花が尋ねると、いや、こっちはこんなもんでいい、と手伝いは断るものの、加護があるから琉花もとって行くかと尋ね返してきました。
なんでも及川の母親は、定期的にアオサがマイブームになる時期があるのだそうです。
息抜きにアオサを取りに来るのは及川としてもやぶさかではないのですが、その後しばらく食事がアオサ付けになるのは嬉しくないようです。
味噌汁の具になるだけならば及川も望むところなのですが、酷い時には食事全部にアオサが入れられてしまうのだとか。
あまりに青さにうんざりしすぎたせいで、夢の中でアオサ入りの消しゴムが登場し、何故かそれを食べると言う悪夢まで見てしまうのだとか。
そこで食べるのはおかしい、と琉花は笑いながら突っ込むのですが……
その胸の内では、複雑な思いが渦巻いていました。
島がこうなる前に、及川とかわした何気ない会話。
福山っていったらさ、駅前のアニメショップ、いったことある?俺たまに行くけど。
及川と言った「聖地」。
及川がアニメショップが近いからと大阪を進学先に選んだ時の事。
……琉花は、願いの取り下げができていなかったのです。
琉花がそもそも願っていたのは、アニメショップではありません。
そして今でも、琉花は心の中で同じ願いを祈り続けていたのです……!
gg3


家に帰ると、まだばーちゃんは商売に腐心しています。
やはりやり直しは完全にはできていなかったのでしょう。
夜、みんなが寝静まったのを見計らって、琉花は家を出ました。
向かうのはあの祠。
そこにはまだフクノカミが鎮座していましたが……昼の半分ほどまでに痩せているでしょうか。
やり直しに全く意味がなかったわけではなさそうです。
ですがやはりこれでは決め手に欠けるかもしれません。
琉花は、フクノカミに手を合わせてこう祈りました。
さっき決めた。
福山だけで受験する。
どこに行くかは、及川には教えない。
中学卒業したらもう、会いません。
祈りを終え、目を開けると……
gg4
フクノカミは、出会った時の様な小さなミイラ状に変化していたのでした。



と言うわけで、またも大きく物語が動いた本作。
琉花がお祈りのやり直しをしたことで、島の景気……「フク」が大きく変わることは間違いないでしょう。
肥大化を続けて行く島の欲望は、果たしてどのような着地を迎えるのでしょうか。
発展しつつあるこの町が、フクノカミの恩恵を失った時、どうなってしまうのかと言う不安は残ります。
そしてここまで大きくなったばーちゃんの財産が、店を残して無くなってしまうとなれば、それも何か大事が起きると言うことなのではないでしょうか……?
そんな不安も、とにかくカネノカミとヒトノカミをどうにかしないことには始まりません。
いのり直しをしたことで、フクノカミに二柱をどうにかできる力が戻ればいいのですが、果たして?

物語は大きく動き、今までとは違うステージへ進んでいきます。
琉花があってきた様々な人が話に絡んでいき、島の形も人間関係の形も変化!!
予想外の展開が巻き起こり、今まで以上にこれからの動きが読めなくなって行きます!!
物語の中心は、琉花とフクノカミへ。
クライマックスも遠くはなさそうな本作、ますます目が離せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!