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今回紹介いたしますのはこちら。

「男塾外伝 J」第1巻 近藤和寿先生 

日本文芸社さんのニチブンコミックスより刊行です。


さて、外伝シリーズが続々描かれている「男塾」。
本作はそんな男塾シリーズで多分ピンで外伝にできる最後のキャラ、「J」を主人公にした作品です。(富樫虎丸あたりはギリギリあり得るでしょうか……?)
作画を担当されるのは、「僕!!男塾」の男塾世界パートの作画担当をされていた近藤先生。
今度はシリアスな男塾に挑む近藤先生、どんな作品に仕上がっているのでしょうか……?



一同はある男を待ちわびていました。
今日は江田島塾長の宿敵、藤堂兵衛との雌雄を決する天挑五輪大武會が行われる日。
男塾の選ばれし戦士たちは迎えの使者が来るのを待っていたのですが、その前にいるはずの一人の男がいないことに焦りを感じていました。
その男は……J。
決戦を前にして、自分を一から見つめ直すと言い残して旅立っていったのですが、その決戦当日になってもなお戻ってくる様子がないのです。
ですが、Jと言う男、目の前にいかに恐ろしい敵が待っていようとも、逃げる様な男ではありません!
一同はJを信じてただ待つのです。

少し時は遡り、Jが自分を見つめ直す旅に出た直後のこと。
Jは自分がかつて所属していた米国海軍兵学校「アナポリス」に戻ってきていました。
自分を見つめ直すため、原点ともいえるここに戻って来たようです。
数か月と言う短い間離れていただけにもかかわらず、Jの胸には懐かしさがこみ上げてきているようですが……
そんな郷愁に浸る時間はないようです。
キースをはじめとした、アナポリスでのJの友人たちが駆け寄ってきたのです!

大武會のことは、キース達も聞いたことはあるようで。
その大会に男塾が出場するのかと驚いていますが、そんなことよりもJ、キース達が傷だらけであることが気にかかります。
訓練で追ったものとは到底思えない全身の傷、一体どうしてついた物なのか。
問いかけてみても、キース達は答えにくそうにひきつった笑いを浮かべるばかりなのです。
ところがその理由はすぐに判明しました。アナポリス全体を揺らがすような、激しい振動。
その振動を巻き起こしながら、一人の男が迫ってきていました!
J達のいる部屋の前に来ると、その男は嫌らしく笑い、やっと見つけた、と遠慮なく部屋に入ってきます。
その男は
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ベルナルド!
数メートルはあろうかと言うあまりに巨大な男だったのです!!
アンタ以前はここのトップだったらしいじゃねえか、退屈してたんだ、俺とやろうぜ?
そう言ってJをにらみつけるベルナルド。
彼を初めて見るJ、友人になんだこのバケモノは、と尋ねてみますと……
なんでもベルナルドはブラジルからの交換留学生で、入学直後にほとんどの下級生を一日で締め上げ、最近では上級生にも因縁をつけてくる戦闘狂だ、とのこと。
キース達にけがを負わせたのもベルナルドらしいのですが……
それでもキースは、何しに来た、下級生が理もなく入ってくるんじゃない、と一喝するのです!
完全にキース達をなめ切っている様子のベルナルド、その下級生に手も足も出ずに這いつくばったのはどこの負け犬だ、とひと睨み。
たまりかねたJの友人の一人が、その態度は何だ、と怒鳴りつけるのですが、ベルナルドは拳で答えるのです!!
一撃で壁まで吹き飛ばされてしまう友人。
あんな小さい島国の私塾如きに負けたやつらがでかい顔するな、とすごむベルナルド!!
実力差は歴然、キース達は何も反論できないのですが……
そこで立ち上がるのが男、Jです!
お前は何ゴミがついてるぞ、取ってやろうか?
そう言って、Jはベルナルドの顔面に一発!!
ついでにベルナルドの鼻にできていたできものを千切りとったのです!!
すまん、オレの見間違いだったかもしれん、と、謝る気ゼロの謝罪をするJに、ベルナルドは怒り心頭!!
ぶっ殺す!!とJに殴りかかるのですが……Jの姿は忽然と消え失せていたのです!!
なんとJ、一瞬のうちに校舎の外へ。
お前たちには少し指導が必要なようだな、まとめて相手にしてやる!
そう言って、ベルナルドのみならず、彼につき従う部下たちにも挑発するのでした!!

Jの挑発を受けたベルナルドは、戦いの場を「断罪の塔」に指定します。
それは超高層タワーの頂上にある円形の闘技場で、柵などもなく、足を踏み外せば落下死確実と言う逃げ場のない舞台です。
しかもそこに、ベルナルドは部下たちを6人も連れ込んでいるではありませんか!
これでは集団リンチじゃないか、と糾弾しようとするキースなのですが、Jはあっさりとこの多勢と無勢を受け入れるのです!
実戦に勝る鍛錬はない、受けて立とう!

6人はJをぐるりと取り囲み、グルグルと回り始めます。
その円をじわじわと縮めながら、雨あられの攻撃を仕掛けて行く、その名も「回天幻呪殺」!
ベルナルドの部下たちもそれなりの実力者たちのようで、Jは数の振りもあって追い詰められてしまうのですが……
突如、攻撃にさらされているだけだったJが、目をつむり始めるではありませんか!
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これはまさか……心眼!?
かつてJが桃に敗北した時に使われた、因縁の技です!
ですが桃は赤石によって瞼を切ってもらったことで追い詰められて心眼を完成させたわけです。
こんな急ごしらえの心眼が成功するのでしょうか……?
Jは間合いを取る為に目を閉じたまま後ずさりをするのですが、もはや闘技場の端ギリギリ……!
もはやあと一歩外に出せば落下、と言う状況になっており、ベルナルドの部下たちはここぞとばかりに一機に襲い掛かってきました!!
瞬間、閉じられていたJの目がカッと見開かれます!
ここだ!!
ベルナルドの部下たちが一列になった瞬間を察知したJ、ここで必殺ブロウを発射!!
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マッハ・パンチ・リング・オブ・クライム!!
一撃でドミノ倒しのように部下たちは倒れて行く必殺ブロウで、一気に逆転を決めて見せるのでした!!

……そして、満を持してあの男が動き出しました。
使えねぇヤツらだ。
わるいがここで死んでもらうぜ。
そう言ってベルナルドが筋肉を隆起させ……
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Jに殴りかかってくるのでした!!



と言うわけで、Jが主役のスピンオフとなる本作。
今までの男塾の外伝シリーズは、パラレルワールドの話だったり、過去の回想だったり本編との関係性がおぼろげだったものも少なくないのですが、本作はがっちり「本編の間」に挟まる形のお話になっているのが特徴でしょう。
男塾本編では、戦うたびに新必殺技(あとキメ台詞)を繰り出す男として有名(?)でしたが、本作ではそのフィニッシュブロウの数々が生み出されていく様を描いているわけです!!
この後も、Jが男塾本編で次々に披露したフィニッシュブロウが生み出される様が描かれていきます!!
あの技もあの技も、本編で追い詰められた末にギリギリの状況だから出せたっぽい技も、本作で習得していたことがわかってしまうのです!!!
そして本編のキャラクターも、他の外伝の様な「似たキャラ」ではない、本物が登場します!
まさかのあのキャラの登場など、フィニッシュブロウの誕生秘話だけではない、男塾ファン必見のファンサービスも続々!!
今巻最終決戦ではちょっと洒落の聞いた、でも男塾本編でもありえそうなバトルが繰り広げられるなど、最後の最後まで楽しめること間違いなしなのです!!

ちなみに本作、今巻の最後に収録されているお話が「最終掌」となっておりまして、本編につながる形でキッチリ終わっております。
ですがなぜか第1巻と巻数表記がされておりまして……
もしかしたらあるかもしれない続編に期待せざるを得ませんよ!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!