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今回紹介いたしますのはこちら。

「黄泉比良坂レジデンス」第1巻 川西ノブヒロ先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックス・ウルトラより刊行です。


川西先生は06年、07年にコミックボンボンの漫画賞を受賞し、デビューした漫画家さんです。
その後コミックボンボンの休刊もあって、月刊少年ライバルで「機械少年メカボーイ」を連載、初単行本化。
その後同誌で「かぐやと宇宙の秘密」、SNS発信の「いい百鬼夜行」、集英社さんのヤングジャンプに活動の場を移し「バスルームのペペン」と活躍されてきました。

そんな川西先生の最新作は、なんと地獄を舞台にした作品。
気になるその内容はと言いますと……?



地獄。
生前罪を犯した人間が落ちる苦しみの世界……ではありますが、亡者に責め苦を与える鬼たちが大勢暮らす世界でもあります。
この世とあの世は鏡写し、六畳一間のアパートに住む鬼もいれば、タワマンに住む鬼もいる……
そんなタワーマンションの庭先で、メイド姿の少女が木に登っていました。
遊んでいる……と言うわけではなく、木の枝に登って降りられなくなった地獄の猫を助けに向かっているようです。
枝を這って猫をキャッチすることはできたものの、直後にその枝が折れ、落下してしまう少女。
したたか地面に打ち付けられてしまいましたが……とっさに体を入れ替え、猫は無事で済みました。
これで二度目だね、降りられない所まで登っちゃだめだよ。
にっこりと笑って、猫を離してやる少女。
その後ろ姿を見送っていますと、そこに二人のメイド服の少女が能われました。
ちまき!こんなとこで怪我なんてしたら誰も助けてくれないよ!もっとリスクを考えて行動しな!
猫を助けた少女はちまき。
そんなちまきを心配して厳しく怒るのがエリコ。
そしてエリコに、それがちまきのいいトコでもあるさ、となだめてくれるのが理智。
彼女たち三人は、こうして地獄にはいますが、正真正銘生きた人間なのです!

生きた人間が地獄に来ることは非常に珍しい事。
このタワマンで働いている鬼も、人間がここにいる事に驚いているようです。
しかも彼女達、このタワマン「黄泉比良坂レジデンス」で働くことになったと言うのですからさらに驚くのです。
この黄泉比良坂レジデンス、人間界で言えば六本木ヒルズあたりの超高級マンション。
その超高級マンションで、地獄ではゴミ虫か何かかと言うほど見下されている人間が働くなんてとんでもない、と最終的には大笑いされてしまうのでした。
実際問題として、この地獄で人間の三人が部外者なのは事実。
まずはここの住人のことを知ることから始めて行かなければならなそうです。
地獄の住人の世話、と言うのは考えただけで気がめいりそうですが、ちまきだけはなにやらいきいきしていました。
自分たちをあざ笑う従業員鬼に対しても、私達昨日ここに来たばかりで詳しいことよくわからないけど、採用されたからには私の仕事!頑張ります!!と力強く答えます!
そんなことをしておりますと、そこに
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牛の顔をした大柄な鬼が割って入ってきました。
彼は牛頭。
かつては馬頭とのコンビで勇名を馳せていたそうですが、今はこのレジデンスの警備をしているとのこと。
今もこうしてもめごとの匂いを感じ取っておさめに来たようです。
牛頭を見てそそくさと退散する従業員鬼たち。
助けられた形になったちまきはお礼を言うのですが、牛頭は仕事をしただけだ、とそっけなく答えるのでした。
そんな牛頭ですが、やはり人間がこのレジデンスで働くことになった理由は気になるようです。
恩人に尋ねられれば答えないのも気が引ける所、ちまきは説明を始めるのです。
就活でここしか受からなくて、と!!

それはちまきたち仲良し三人で、某ランドに遊びに来た時のこと。
ちまきの携帯に、100通目の「お祈りメール」が届いたのです。
あまりにも就活で受からなさすぎて、最終的には明るいイメージをつけるため、とピエロの格好で面接に行ったりなどの瞑想を極めていました。
エリコと理智はもう進学が決まっているため気楽なものでしたが、ちまきはもういろいろ追い詰められていたわけです!
そんな状況で、某ランド内にあるはずの無い「地獄」と書かれた門を見つけたちまき。
きっとニューアトラクションだ、いや従業員用通路なのか、と話し合う三人。
従業員と言うのは今のちまきにとってNGワードなのですが……
夢の国で夢を売る仕事こそ私がやりたかった仕事な気がする!と、ちまきはその門の中に入りこんでしまったのです!!
放っておくわけにもいかないと追いかけて中に入るエリコと理智。
そこにはレジデンスが聳え立っていまして……
気が付けば、入ってきていた門が忽然と言消え失せていたのでした!!

で、レジデンス内に迷い込んだら、元の世界に戻れるまでここで働いたらどうだと誘われたとのこと。
ちまきは、内定とれるならもう地獄でいいかなと思った、などと凄い事を考えてしまったようで。
……いきさつはわかりましたが、牛頭が一番気になるのは誰にやとわれたのか、と言う事。
そこを聞こうとすると、レジデンスの出入り口が開き、一人の鬼が出てきました。
地獄の花形「獄卒」で、多くの鬼の支持を集める、馬頭の出勤です!
以前は牛頭と馬頭はタッグで、、行儀の悪い連中を取り締まる自警団の様な事をしていたそうです。
が、獄卒の仕事についた馬頭は変わってしまいました。
毎日何百人もの亡者……地獄に落ちた人間を殺し続け、人間そのものを憎むようになってしまったと言うのです。
とはいえそれは地獄では悪い事ではありません。
昔は弱い者いじめを許さない優しい男だったと言う馬頭。
変わり果てた今、獄卒長に就任するほどの支持を集めているのですから。
死んだ人をさらに苦しめるのが地獄の仕事。
そう呟いて震えるちまき。
それを見て牛頭は、ちまきもようやく地獄で働くことの恐ろしさがわかったか、と心の中で頷くのです。
地獄で働くと言うことは、人間を苦しめることに加担する行為なのですから……

その後、帰宅する馬頭をお迎えする三人。
馬頭は今日も亡者たちを苦しめ続けてきたそうです。
死は救いではない、地獄に来たことを後悔しろ。
これが俺たちの仕事よ、命が惜しければすぐに俺の前から消えろ。
そう凄みを利かす馬頭を前にして、ちまきは震え……
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やりがいのある職場なんですねえ!と目を輝かせるではありませんか!!
この子は就活に失敗しすぎてどんな仕事も素晴らしく見えるようになってしまっているんです、と慌ててエリコたちがちまきをひっこめるのですが……馬頭がオレの仕事にやりがいがあるだと?とつぶやくと、ちまきはさらに突っ込んで行きます!
ありますよ、わかってないなー、いいですか!?
皆さんがお仕事を頑張れば頑張るほど、地獄は恐ろしい場所になる。
すると人間は死ぬのが怖くなって、人は!簡単には死にたくなくなる!
「死は救いではない」、これって、
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「生きろ」という!馬頭さんからのメッセェィジッ!!
いつもお仕事ありがとうございます!!
なんだか滅茶苦茶な物言い、馬頭はブチ切れる……と思われていたものの、意外や意外、馬頭は大笑いを始めます。
まさかこの俺が、人間に感謝される日が来ようとは!
ひとしきり大笑いした馬頭、牛頭を振り返ってこう言いました。
覚えてるか、子供の頃の職場見学のとき。
いつか大人になったら俺は、人間と友達になりたい、そう言っていた夢を忘れたわけじゃない。
本当の俺と獄卒の俺の間で苦しみ、いつからか人間を逆恨みするようになっていた。
……そして今度はちまきに手を差し伸べ……
ありがとう、お前は今までの俺を救ってくれた!
そう、お礼を言ったのでした!!

かつての約束を確認し、牛頭と馬頭のタッグも復活。
結果として事態を丸く収めた所に、ブラボー!と言いながら一人の老人がやってきます。
先ほどの地獄の猫を抱いた、そして三人を雇ったこの老人、
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閻魔大王様です!
そして閻魔大王様はこうちまきに語り掛けるのです。
今この地獄では君たちのように生きた人間が迷い込む事件がたびたび起こっているのじゃが、悲しいかな多くの鬼はそんな人間を良く思ってないのが現状じゃ。
ちまちちゃん、エリコちゃん、理智ちゃん、君たちなら鬼と人を繋ぐ絆になれるかも知れん。
このタワマンで働き、下から上へ住人の信頼を得よ!
タワマンを昇れ!
それがもとの世界へ帰る道筋ともなるだろう!!
君たちの活躍を祈っとるよ。
……そうカッコよく決める閻魔大王様だったのですが……
ちまきはうずくまってハアハアと荒い息をついておりました。
就活のトラウマで「お祈り」されると体調を崩してしまうとのこと……
地獄より辛いかもしれない人間界の就活にもまれ、心の傷を負ったちまきに、タワマンを昇りきれるのか!?
こうして三人娘のメイド業が始まったのです!!



と言うわけで、タワマンの頂上を目指すことになったちまきたち。
このタワマン、ちまきたちに登って来ていいよと許可を出してくれた住人のいる階に降りれるような仕組みになっているそうで。
仕事の時はもちろんですが、信頼関係を築いて上層階の住人に受け入れられれば、いつでも上の階に降りることができるようになります。
その上の階でさらに上の階の住民に気に入られる足掛かりを作り……と繰り返し、最上階まで到達するのが当面の目的となるのです!
とはいってもこの地獄、人間は相当嫌われております。
地獄の住民に受け入れられるには、それこそ相当なことをして見返す必要があるでしょう。
このタワマンに暮らしている者達の仕事は様々。
「賽の河原」に勤めているものもいれば、地獄のビッグネームの一人「奪衣婆」がいたり、そもそも住民でないものがうろついてたりもします!
そんな様々な地獄の住民たちにどう気に入られるのか?
地獄ならではの様々な人々に、ちまきのキャラでどう挑むのか……
皆様のその目でご確認ください!!

最上階まで行けば元の世界に変えれるとのことですが、最上階では何が待っているのかも気になるところ。
さらにちまきはもちろんの事、ちまき以外の二人にもドラマがあるようで……
コミカルな事件解決系作品としてだけではない、様々な要素が加えられた本作から目が離せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!