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今回紹介いたしますのはこちら。

「川島芳子は男になりたい」第3巻 田中ほさな先生 

講談社さんのシリウスKCより刊行です。


さて、男として生き、自らの、そして溥儀の夢をかなえるべくスパイとして活動をする芳子。
美禰子という頼りになるような厄介な様な仲間も加わり、一人前の「男」になるべく任務に就くのですが……?



夢をかなえる女、イヴのもとに一人の男が尋ねていました。
その男……蒋介石。
蒋介石の夢は、総統に天下を取らせること、のはずでした。
ですがその夢をかなえるのは果てしなく不可能に近いものになってしまいました。
総統が病に侵され、余命いくばくも無いと言うのです。
イヴは蒋介石の目的が相当の命を救うための金子だと思い、いくら必要なのかと尋ねたのですが、蒋介石が求めた金額は何と1億9224万ドル、現在の紙幣価値にして2兆4000億円!
いくらなんでも人一人の命を救うのにそれだけのお金がかかるはずがありません。
とんでもなさすぎる金額に度肝を抜かれるイヴなのですが、蒋介石の目的はそもそも総統の命を救う事ではなかったのです。このとんでもない金額は、大日本帝国が日露戦争時に費やした戦費の1年分だと言います。
蒋介石が救おうとしているのは、総統の「命」ではなく……「夢」。
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総統に代わって自分が世界最強の軍隊を作って天下を平定する。
それが、蒋介石の次の夢だったのです!

その頃、石原少佐の下で「石原機関」なる新たな諜報組織結成され、その一員になっていた芳子。
メンバーは師匠と美禰子、そして催眠術と「女の武器」を使うリルの四人です。
そんな石原機関に、かなり危険度の高い仕事が舞い込んできました。
成功すれば石原機関の名が挙がるのは間違いありませんが、今回の任務は生易しいものではありません。
中国の裏を仕切る組織、青幇(ちんぱん)。
そのナンバー2の張と、ナンバー3の杜が取引を仕切っている取引の場に向かい、特級阿片を奪って来い、と言うものなのです。
とうぜん組織のトップどころが関わるわけですから、警備も厳重。
船の上で取引が行われるのですが、港は封鎖され、重武装の手下たちが固めてしまうため、近づくことすら困難なのです。
美禰子はいつもの豪胆さで、面白そうじゃなくてと嘯くのですが、リルはやはり難色を示します。
リルは「女の武器」を最大限に生かしてスパイ活動をしているため、女でありながら女の武器を使わず、男になりたいと言う芳子のことが理解できないようで。
以前にも芳子の行動に「自ら望んで鉄火場に飛び込むような真似」と手厳しい評価を下したこともありました。
ですが芳子はそれでもなお行動を検めはせず、進んでその仕事を請け負うのです。
仕方ないよ。
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だってぼくは「おろかにも」「男」になりたいんだから。
……そう言って!


一同は美禰子の財力を使い、取引の行われる港の近くで船上バカンスを装うことにしてい増しあ。
リルが入手した情報によれば、取引は午前零時に始まるとのこと。
品を運んだ船が停泊したら船上で取引開始、不測の事態が生じたら船は品ごと引き返す……
品が青幇にわたってしまったらもう手を出すことはできません。
奪い取るチャンスがあるとしたら、品を運ぶ船を会場で襲うしかないのですが、仮にそれが成功してもさらに厄介な問題もあるのです。
その阿片、60キロの箱が30個……2トン近くあるのですから!
一同はそんなもろもろを確認しつつ、まずは船を襲うチャンスを作り出す方法を考えます。
出てきたアイディアは、「仲間割れを誘う」と言うものでした。
青幇は外には固い結束をアピールしているのですが、内実は内部闘争でドロドロ。
リルがかけた催眠術を使えば、張をある程度操ることができますので、仲間割れを引き起こす火種を作ることは難しくなさそう。
リルが張に接触さえできれば、チャンスは生まれると言うわけです。
その為にはリルにも鉄火場に飛び込んでもらう必要があるのですが……
リルは、そんな芳子に一つの丈kンを出すのでした。
この作戦行動中、私を守って、と。

作戦実行の時はやってきました。
まず最初に立ちはだかる問題は、どうやって海上の船に乗り込むか、です。
そこで一同がとった作戦は……「空から乗り込む」と言う思い切ったものでした!!
船の航路を特定すると、飛行機でその上空へ。
夜の海は素人にはお勧めできない、と言われた芳子が、じゃあ空から行こう!と決めたようです!!
そしてぶっつけ本番になってしまう、
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空中からの降下を敢行するのでした!!

一見、何事もなく港についた船。
港では、張と杜が取引を始めていました。
この阿片を入手したのは杜です。
船を見て早速乗船しようとする杜だったのですが、そんな杜に足を引っかけて転ばせ、張が先に乗船していきました。
一応年齢などの問題で張が兄貴分でして、張からすれば当然自分が先にそれを検めるべきだと思っているのでしょうが、苦労して品を手に入れた杜からすれば面白いはずがありません。
このわずかなやり取りと、杜のその時の表情からしても、二人の中が良くないことがわかるのですが……

張が品を確認しようとすると、箱の一つのふたが空いています。
不審に思ってそれを確認するのですが……それこそがリルの罠でした!!
後催眠によって瞬く間にトランス状態になってしまった張、取引成立前に阿片の袋を破り始め……!!
それをきっかけに、後言う間に小競り合いが始まりました。
その騒ぎに乗じて、芳子たちは阿片の箱を次々に海へと投入!!
近くに船で待機していた師匠がその箱を回収し、見事阿片の総取りに成功したのです!!
……と、言いたいところですが……
服を脱ぎ捨て、あとは自分たちが泳いで逃げるだけ。
そうなったところで、予定外の客があらわれてしまったのです!!
背後に気配を感じた美禰子、すかさず攻撃を仕掛けるのですが、逆に合気のような技で地面に寝かされてしまいます。
日本の空手っぽい動きだな、びっくりしたぜ。
そうは言うものの、実際には余裕しか感じさせない表情を浮かべているその人物は……
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やはりあの男、蒋介石でした!!
彼らは海からこの船に上陸していたようですが、自分たち以外に阿片を奪いに来るものがいたことには本当に驚いているようです。
今日この場で取引がある事は自分達と取引をしている連中以外誰も知らないはず。
なぜこの情報を知っているのか?
焦る芳子ですが……リルはピンときたようです。
「仲間割れ」、本当にしてたのね。
蒋介石は……勘がいいと身を亡ぼすぜ、と笑い……
あんたたちの作戦を横取りさせてもらう。
阿片ごとな。
青幇のお相手もやってもらうぜ。
そう言って、芳子たちを拘束するのでした!!




と言うわけで、危険度マックスの任務と、超大物の敵が立ちはだかってしまう今巻。
一筋縄でいくはずもないこの任務、拘束されてしまった芳子たちは窮地に立たされてしまいます。
そしてさらに事態は二転三転し、阿片の争奪戦はどんどんと混迷していくのです!!
芳子たち、杜、張、そして蒋介石。
それぞれの思惑が交錯し、闘いは進行。
激しい戦いが繰り広げられ、騙し、騙され……
果たして最後に笑っているのは誰なのか?
物語はダイナミックに、スピーディーに展開!
様々な要素が詰め込まれた見ごたえ抜群の争奪戦、最後の最後まで見逃せませんよ!!

そんな見ごたえたっぷりのエピソードが収録された今巻ですが、なんと本作はこれにて完結。
上海帰り(?)のリルと言う新キャラクターが登場し、個人的にお気に入りの美禰子さんも存在感を発揮し始め、芳子の過去と今を描くなどのキャラとドラマの掘り下げも行われていく中での完結は非常に残念なところ……
もっと続きを読みたかったのですが、こればかりはどうにもこうにも。
田中先生の次回作に期待するほかありませんね……!!
ともかく今巻で完結となる本作、エピソードが途中でぶった切られたりはせず、きっちりしっかり読ませてくれるお話となっていますのでご安心ください!
美禰子の……もとい、芳子たちの活躍をその目に焼き付けましょう!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!