「もういっぽん!」第11巻 村岡ユウ先生
秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。
さて、全国高校選手権の埼玉県予選に挑む青葉西柔道部。
当初は個人戦を各階級でそれぞれ優勝しよう、と言う大目標を立てていたのですが、早苗のどうしても勝ちたい相手がいると言う望みをかなえるため、ワイルドに出場階級を変えることになりました。
その倒したい相手とは、何を隠そう親友である未知その人!!
青葉西はその望みをかなえるため全員で52キロ級に出場し、目標を表情台独占に切り替えるのでした!!
未知に勝ちたい。
そんな心からの思いを、もしかしたら早苗が初めて自分のわがままを口に出したおかげでしょうか。
早苗は下馬評を覆すような奮闘を見せ、3回戦まで駒をすすめました。
そして未知も3回戦進出。
二人はとうとう公の場でぶつかり合うことになりました。
いつもならば早苗、大一番を前に緊張し、何度も何度もトイレに駆け込んでいたはず。
ですがどうしたことでしょう、これっぽっちもトイレに駆け込みたくなるような気持にならないのです。
今までの試合で一番リラックスしてるかも。
自分の今の状況に少し驚く早苗、彼女の表情は虚勢を張ったりしているようではありません。
永遠はその様子を見て、早苗さんにとって未知さんは、やっぱり特別な存在なんだね、とほほ笑むのでした。
そして南雲もバテバテになりながらも3回戦進出。
おつかれ、と南雲を迎える未知なのですが、
南雲に心配されてしまいます。
いつもの未知なら敬礼でもしながら、おつかれウェーイ!勝ったんだろうなー!とでも言いながらハイテンションで現れるはずですから。
そんなことを南雲に言われても、うっせ、と受け流す未知。
明らかにいつもとは様子の違いすぎる未知にきちんと話を聞いてみれば、どうやら未知、柄にもなく緊張しているようなのです。
未知に言わせれば緊張とは違うような、今までに感じたことの無い感覚なのだそうです。
……この一戦が、早苗と言う存在が未知にとってもやはり特別な存在なのです。
すごく大事な一戦かな、と天井を見上げてつぶやく未知。
南雲はそんな未知に喝を入れました。
だとしても、だからこそ園田らしくもっと単純に考えてもいいんじゃね?
一本取れば気持ちいいし、強い相手ぶん投げたら超超気持ちいいっしょ?
今日の滝側は多分、今までで一番……ぶっちぎりに強い。
今までで一番ぶっちぎりに強いスペシャルな相手をぶん投げたら?
……そんな南雲の言葉を聞いて、未知のワクワクが戻って来たようです!
南雲と声を合わせ、一緒になってこう叫ぶのです!
3回戦が始まります。
未知には南雲が、早苗には永遠がつき……
いつものようにバシンとおしりを叩き、試合場に送り出しました!!
畳の上で向き合う二人。
二人は目と目を合わせ……
勝負開始です!試合が始まるなり、早速背負い投げを放つ未知。
すかさず防御する早苗、未知はもう一度背負い投げを放つ……と思いきや、小内刈りに行きました!
ですが虚を突いたかに見えるその技も、付き合いの長い早苗からすれば予想の範疇。
上半身を翻して見事にすかして見せたのでした!
今のところ未知はいつも通りアグレッシブ。
そしていつも以上に真剣に見えます。
対する早苗はしっかりと未知の立ち技を凌ぎつつ、「指導」を取られないよう技も出していっています。
勿論狙うは一日の長のある寝技。
隙があれば一気に寝技に持ち込んで勝負を決めようと言うところでしょう。
お互い、今までの中で一番の仕上げ出迎えるこの戦い。
夏目先生は、練習とは違う真剣勝負の磁場が、二人にとっていい方に作用している、と分析します。
いつも通りであり、いつも以上である3分間。
長く時間を共にしてきた二人だけがわかる特別な感覚で戦っているんじゃないかな。
……そんな夏目先生の言葉を聞いて、南雲は寂しそうな表情を浮かべます。
誰よりも未知と古い付き合いで、本人は認めないでしょう緒が誰よりも未知のことが好きな南雲。
そんな彼女に向けて、未知が抱いてはくれないだろう感情が、早苗には向けられている、
それが羨ましく、寂しく出仕方がないのかもしれません。
そして南雲は、試合を最後まで見ることなく、その場を立ち去りました。
私も三回戦逝ってきます。
言ったっしょ、今日は自分の試合のことだけに集中するって。
でないと3回戦も、準々決勝の強敵にも勝てないからね。
3回戦に勝って準々決勝に進出。
順当にいけば相手は……永遠!!
真っ向から自分に挑んでくる南雲のまっすぐな目を見ると、永遠もさすがに黙って観戦している気分にはなれず……
夏目先生が録画をしておくからと言ってくれたのもあり、永遠もその場を離れるのでした!
二人の戦いは佳境に近づきつつありました。
今までで一番強い力で攻めてくる早苗。
大内刈りに来たところをかわす未知ですが、早苗はすぐに片足立ちになって未知の足を小外掛けのように刈り取って行きます!!
なんとかそれにも耐える未知。
今日の早苗は、確実に今までで一番強い早苗です。
新しくて最高の早苗。
応える、最高の私で!!
未知は相手の懐に潜り込んで、膝立ちになるほど低くなって放つ背負い投げ、「ミドリコ背負い」で勝負をかけました!!
流石ミドリコ師匠の技、早苗も耐えきれずに投げられてしまい……
ここで技あり、試合が動きます!!が、2人がここで倒れ込んだ形になり……今度は早苗が寝技で攻勢をかける番になりそう!!
確実に近付いて行く決着の時。
二人の脳裏には同じ思い出……二人の中で忘れられない、大事な思い出がよぎっていました。
お互いはお互いに、感謝しても感謝しても、尊敬しても尊敬してもしたりません。
そしてその思い出の締めくくりによぎった思いもまた同じでした。
だからこそ、
絶対私が勝つんだ!!と言うわけで、未知VS早苗の試合が描かれる今巻。
階級の違う二人がぶつかり合う機会は、おそらく今回が最後でしょう。
いま魔での戦績から考えれば未知がやや有利でしょうが、今日の早苗の仕上がりを考えれば早苗が勝っても全く不思議ではありません。
親友同士の戦いは、どちらが勝ってもお互いにきっといい結果をもたらすはず。
未知か、早苗か……
二人の思いと技が交錯する戦い、結着は間近です!!
勿論その他の戦いも見逃せません!!
柔道を始めたばかりにもかかわらず、天性の運動能力で瞬く間に一線級の力をつけた南雲。
とはいえ青葉西のエースである永遠と比べると、現段階では一枚劣ると言わざるを得ないでしょう。
ですがそんな予想を覆す意外性を持っているのが南雲です!
彼女の凄まじい運動能力、勘の良さ、体の柔らかさ、勤勉さで、ジャイアントキリングを巻き起こす可能性も……!!
この後描かれる、永遠VS南雲も必見ですよ!!
さらにその後個人戦の決勝と言う見ごたえある一戦も収録し、埼玉県予選編は決着!!
青葉西はどんな結果に終わったのか?
埼玉県覇者は誰に、どの学校になったのか?
気になる結果までしっかり収録されています!
白熱の試合とともに、各キャラクターの心情を中心とした青春模様もしっかり描かれ、今巻も本作の特徴の一つであるエモさが楽しめますよ!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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