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今回紹介いたしますのはこちら。

「空腹なぼくら」第3巻 友安国太郎先生 

小学館さんのビッグコミックススペシャルより刊行です。


さて、生前の記憶や思考能力を保持したままゾンビとなってしまった航。
航はゾンビの食糧不足解消のため人間牧場を作ろうと考え、そのために信じてくれた人を裏切るような行為までしてしまいます。
そんな思いまでして手に入れた、女の子。
航は彼女に海と名前を付け、唯一の男の生き残りであるクズ男と子供を作らせようと育てていくのですが……




航は一人、厨房に立っていました。
頭の中に浮かぶのは、クズ男と海がしたであろう行為の事ばかり。
望んでいたはずの事なのに、どうしても心の中に浮かぶモヤモヤを振り払うことができず……
航はそれから目を背けるかのように、野菜を乱暴に切り刻むのでした。
……そうこうしている間に、クズ男と海が帰ってきます。
海も航も、すぐには会話をすることができず、目と目を合わせるだけ。
そこでいの一番に口を開いたのがクズ男でした。
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お義父さん、ただいま戻りました。
昨晩、お父さんの望み通り、二人は愛をもって結ばれました。
ぐっと海の肩に手をまわし、航の目を見てそう告げるクズ男。
海も幸せそうに微笑み、頬を染めています。
それはクズ男の言うことに間違いがない証明でしょう。
そうか。
よくやった。
言葉少なにそう返す航の顔は、笑っているのか、泣いているのか、その両方なのか……
本人にすらわからない、複雑な感情を表しているかのようでした……

航の心情は複雑としか言いようがありませんが、クズ男は初めてを経験したことでクズ男なりに一皮むけたようです。
別人のようにさわやかな笑顔を浮かべ、気持ちいい青空だ、などと空を見上げてつぶやくなど、あの自分さえよければどうでもいいというそれこそ屑そのものといった印象からはかけ離れた行動をとるようになりました。
さらに、海はいい子だ、昼寝の時なんて海の方から布団にはいってきた、一度キスしたら止まらない、海の愛を感じるわ、などと惚気まがいのことまでうっとりと語るのです。
それを聞いている航の心情は……やはり複雑です。
ですが計画の遂行に近づいていることだけは間違いありません。
努めて平静を装い、クズ男には今までほとんどかけることのなかった賛辞の言葉も投げかけます。
頼もしいよ、おかげで海もよく笑ってるし、計画が大きく進む。
お前には期待してなかったから驚いてるよ。
つい肩をつかむ手に力が入ってしまうのは、隠し切れない感情がわいてきてしまったからでしょう。
航の感情など知る由もない海は、航に花を差し出してきました。
このお花かわいい、パパにあげる。
そう言って花を渡してくる海の笑顔は、幼少のころ自分に愛を向けてきたころと何ら変わりないように思えます。
……ですが航にとって今、その愛は父としての感情と、計画を進めるための思いの二つをかける天秤に重くのしかかる枷となってしまい……
パパはね、食えもしないモノはいらないんだ。
そこの叔父さんにでもあげればいい。
そう言って、敢えて冷たく当たってしまうのでした。

季節は巡り、雪が降るころ。
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海は出産を間近に控える状態になっていました。
クズ男は、俺が親になる日が来るとは、と感慨深げに笑うのですが……お前はおじいちゃんになるわけだな、とふられた航は、なるわけがないときっぱり言うのです。
自分にとってお腹の子は電子レンジでべbb等を温めているようなもの、食える時が待ち遠しい。
笑いを浮かべてそうつぶやく航に、クズ男は恐る恐る確認しました。
お前いつか、「三代先までは喰わない」とか言ってたよな。
あのお腹の子、喰わんよな?
……確かにせっかくここまでおぜん立てをしてきたにもかかわらず、その子を食べてしまえばすべてが終わりなのですから。
ひとかじりでもしたらきっと歯止めが利かなくなる、お前のことも食ってしまうかもしれない。
航はそう嘯き、クズ男をからかうのですが……

その日は、桜の咲くころにやってきました。
とうとう出産のときを迎え、三人は火が付いたようにあわただしく動き回っています。
海が何もわからないのはもちろんですが、クズ男もほとんど何も知りません。
頼りの航でさえ、出産に関する本を読み漁って、知識だけを詰め込んだだけに過ぎず……

三人が懸命に奮闘し、祈り、できることを最大限に行い……
そして、とうとう赤ちゃんは生まれてくれました。
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元気な男の子です。
凄いぞ海、よく頑張った、生まれた、生まれた!
出すが喜んでばかりもいられません。
へその緒を切って、呼吸を確保して……とやらなくてはならないことがあるのです。
ですが赤ちゃんの体を濡らしている羊水の感触は人間の意識を取り戻す前に貪っていた人間の味を思い起こさせて……!!
気が付けば航は
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赤ちゃんに牙をむいていて……!!


と言うわけで、待望の岡ちゃんが生まれたものの、抗いがたい上に襲われてしまう航。
計画では何代にもわたって子供を産ませていき、安定供給できるようになってからゾンビのエサにしていくはずでした。
ですが今までは相手が普通に会話出来る対象だったことも影響していたのでしょう、食欲を抑えることができていたものの……
無抵抗で意思疎通ができないだけでなく、柔らかくて良い匂いがする赤ちゃんは、航にとって何よりのご馳走に見えてしまうのも無理はないのかもしれません。
恐ろしいほどの食欲に襲われる航。
今この食欲を我慢できたとしても、これから先何代にもわたってこの急激な飢えと戦って行かなければならないわけで……
航の計画は、あまりにも険しいものとなるのは間違いありません。

そして、この後は新展開へ!
海の出産を一つの起点として、大きく物語は動いて行くのです!!
新たな登場人物や、あの人物がまさかの事態に追い込まれるなど、今まで以上に衝撃の展開が待ち構えているのです!!
今後の展開、ますます楽しみですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!