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今回紹介いたしますのはこちら。

「ゲーミングお嬢様」第1巻 原作・大@nani先生 作画・吉緒もこもこ丸まさお先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


大@nani先生は本作がデビューとなる漫画家さんです。
そもそも漫画を描いたのが本作が初めてとのことで、ジャンプルーキーで発表した本作が話題となり、そのまま連載化、そして単行本化となりました。

吉緒もこもこ丸まさお先生は、14年ごろから活躍されている漫画家さんです。
アンソロジー単行本への参加や、ジャンプルーキーやデイズネオで作品を発表を経て、本作で初連載、初単行本刊行となりました。

そんなお二人がタッグを組んで描く本作は、タイトル通りお嬢様がゲームをする漫画です。
ですがお嬢様といっても漫画でよく見るお上品な方々とは一線を画す新種のお嬢様ばかりが登場しまして……!!




日本屈指のお嬢様が集う、聖閣東芸夢学園。
そこにいるのは右を向いても左を向いてもド級のお嬢様ばかりです。
そんな中でひときわ目立つ超超お嬢様……「全一お嬢様」こそが、祥龍院隆子!
彼女はその圧倒的なお嬢様力で、学園の羨望のまなざしを一身に浴びているのです!!

「eお嬢様」の一大ブームによって世界的熱狂が巻き起こり、以来様々なジャンルのeお嬢様が、どのジャンルが一番優れているのか、だれが最も優れたお嬢様なのかと鎬を削る日々が続いています。
この隆子様は、圧倒的強さと「お嬢様力」によって、「格闘ゲーム」をそのeお嬢様カースト最上位に押し上げたのです。
いわば隆子様は、eお嬢様界の格闘ゲームの象徴!
今日も今日とて隆子様は、その巨大な看板を背負い、日本各地のお嬢様ゲーマー憧れの閣東芸夢学園でお嬢様力を磨いております!!

自宅では執事以外の人目がないのもあって、投げキャラに対するいら立ちを暴言とともに吐き出しながらアーケードコントローラーをバンバンひっぱたいていた隆子様。
ですがひとたび学校に登校すれば、その荒れっぷりが嘘のように優雅に立ち振る舞います。
今日もお美しい、見ているだけでレートが上がりそうですわ、前歩きだけで圧倒的存在感、格ゲーの立ち回りから感じられる圧は平常時も変わりませんわ……と、生徒たちもため息を漏らすのです!
こうして注目を浴びれば浴びるほど強くなるのだ、と心の中で呟きながら悠然と校門を目指す隆子様。
するとそんな彼女のもとに、見慣れないお嬢様が立ちはだかりました!
彼女は「1年全一」二回堂転子と名乗ります。
1年全一……要するに一年生の中で最強を自負する彼女がこうして現れたのは、隆子様に勝負を挑むためです!!
当然その勝負は格闘ゲーム、対戦形式は「10先」!!
それは格闘ゲーマーが雌雄を決する際に行われるポピュラーな勝負法で、要するに10試合先に勝利した方が勝ち、というもともとの実力とともに対応力が試される戦いなのです!!
相手が一年全一といえど、隆子様は押しも押されぬ「全一お嬢様」。
本来ならばもっと実績を積んで来いとあしらっても構わないのでしょうが……
ゲーマーたるもの、設定で乱入禁止にでもなっていなければどんな対戦でも受けるのがスジ、と快諾する隆子様!!
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瞬く間に本日放課後、隆子様VS転子様のビッグカードが決定したのでした!!

お嬢様力の試される10先勝負。
この勝負は両者の力関係を完全に決定づけるものになるでしょう。
隆子様にとっては負けられない一戦ですが……対戦前になっても表情は変わらず、酸素なんか吸っちゃう余裕(?)を見せております。
一方の転子様も、大一番を前に余裕の表情。
どちらも自信ありといったところでしょうか。
ちなみに今さらですが、この対戦で使用されるゲームは「ストリートファイター5」(カプコン公認)!!
隆子様の使用キャラはストリートファイターシリーズの象徴「リュウ」、転子様の使用キャラは格闘ゲーム界のミスター投げキャラ「ザンギエフ」です!
転子様の見立てではザンギ不利(諸説あります!個人的にはザンギ有利な気がします!)。
回転の速い弾と堅い守りを誇るリュウ戦……いわんや隆子様をおいてをや、といったところ!
普通のザンギ使いならば近づくことすら不可能かもしれないこの戦いですが、転子様も無策で10先を挑んだわけではありません。
この戦いのために、隆子様の対戦リプレイを穴が空くほど鑑賞!
ドライアイで緊急搬送されるほど見続け、隆子様対策をばっちり立ててきたのです!!
真の全一お嬢様になるために、絶対勝たせてもらいますわ!!
そんな意気込みとともに挑む転子様!!
1ラウンド目はやはり隆子様が体力的に優位で進むものの、じりじりと画面を押して画面端に追い詰めつつありました。
スト5において、「画面端に追い詰める」と言うのは非常に重要な要素。
端に追い詰めてしまえば、反応とかそう言ったものではほとんどどうにもならない怒涛の攻めが始まり、一気に勝負が決まってしまうことも珍しくないのです!
そして、隆子様が画面端に近づいてしまったその時でした。
ザンギエフを追い払うため、危険度が少ないしゃがみ中キックを手癖で出してしまう隆子様。
その追い詰められつつあるときに出してしまうしゃがみ中キックを、転子様は待っていたのです!!
穴が空くほどリプレイを見ていた転子様、ここで絶対にしゃがみ中キックを出してくる!とその一点読みで相手の攻撃を受け止める技を発動!
すかさずそのまま大ダメージを与えて攻めを継続できる必殺技、スクリューパイルドライバーでリュウを捕えるのです!!
勿論そうなれば転子様のペース!
スクリューパイルドライバーを嫌がって空中に逃げる転子様リュウの行動も読み切り、今度は空中の相手をつかむボルシチダイナマイトでキャッチし、一気に勝負を決めるのでした!!

怒涛の攻めで一ラウンド先取した転子様。
2ラウンド先取すると1試合勝利となるこのゲーム、10先である以上まだまだ戦いは始まったばかりです。
ですがこの最初の1ラウンドで、転子様は自分のやりこみが隆子様に通用することを確信できました。
そして完全に読み切った行動の2連発でラウンドを取ったことで、精神的に優位にも立てたはず……!
実際、隆子様の顔には青筋が浮いておりました。
ただでさえ投げキャラが嫌いな隆子様、相当キているようですが……
怒りながらも口角をあげ、「DOWNLOADED(完全に理解した)」と呟いて……!!

そして始まった2ラウンド目。
次も同じようにうまくいくとは限らない、と気を引き締め直して挑んだ転子様なのですが……
どうしたことでしょう、全く手も足も出なくなってしまったのです!
まさかの一撃も当てられないパーフェクトで敗北し、そして3ラウンド目もパーフェクトで敗北……!
ただこう言う展開、スト5においては上級者同士でもまあまあある事、たまたま「噛みあった」だけだ、と転子様は自分に言い聞かせるのです。
ところが2試合目も、なすすべなく転子様は敗北。
気が付けば3試合目も隆子様の勝利で終わってしまうのです。
あれから一切隙が無い、ありえない。
投げキャラのプレッシャーを相手に、一切のミスも動じるそぶりも見せないなんて。
1試合目のような展開が起きれば多少なりとも同様の色が見えてしかるべき。
なぜここまで冷静でいられるんですの!?
転子様の頭の中はそんな言葉で一いっぱい。
あっという間に0-9、隆子様の9連勝と言うスコアになってしまっています。
その状況で隆子様はと言いますと……
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実は思いっ切りブチ切れておりました!!
ハナっからもうブチのギーレェですわ!
1ラウンド目の一点読み、ああいうのはゲーマーのはらわたを煮え繰り返させますわね。
まぁそこそこ人対(人間対策、その相手専用の対策)やって来たんじゃねえかと少しぐらいは褒めて差し上げますけれど、あいにくその程度では私の青写真を破くことはできませんことよ!!
ブチ切れまくっていた隆子様の隙の無さすぎる立ち回りに圧倒される転子様。
もはやあと一発で勝負が決する状況に追い込まれていました。
さらにダウンを奪われてしまっている転子様、せめて一矢報いたいと真っ白になりながら考えていました。
ここで転子様が選んだのは「投げ暴れ」。
ダウンから起き上がる相手を様子見したり、攻撃をぴったり当てるのをミスったりした相手にさく裂するリスクは少なくないものの、有効ではある戦法です!
決まればザンギエフの投げと打撃による、どっちかを選択して避ける行動を取るしかない人類平等2択が始まって逆転まであり得るはず!!
祈るような投げ暴れに
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隆子様は「昇竜拳」を重ねる、と言うとんでもない選択肢を取っていたのです!!
昇竜拳は攻撃力が高く、相手の攻撃とぶつかり合っても一方的に勝てる無敵状態の時間もある強力な技。
ですが相手にガードされると非常に隙が大きく、大きな反撃を受けてしまいます。
その為こうして起き上がりに攻める時に選択することは普通ありません!
つまりこれは、隆子様が転子様に、自分が完全に上である事を「わからせる」ために撮った選択肢なのです!!

終わってみれば隆子様の10-0、圧倒的すぎる結果に終わりました。
転子様はやけっぱちになったのか、密かに連れてきていた不良をけしかけて隆子様をリアル撃破しようとするものの、隆子様は執事のセバスチャンを放ってそれもあっさり撃破。
ゲームでもリアルでもその差を見せつける形となったのでした……

転子様は隆子様に教えを乞います。
自分はどうすればよかったのか?
隆子様と自分にはどんな違いがあったのか……?
隆子様はそんな転子様に、はっきりと教えてくれました。
お嬢様は「完璧」であるべき。
立ち回りで勝つことを放棄し、「ワンチャン」と言う細木蜘蛛の糸に身をゆだねた。
最初から負けを認めていたも同然でしてよ。
私は偶然の勝利など求めませんわ、何が起きようと決して動じずに、触らせず近寄らせず、必ず勝つ。
そこに紛れが起こる余地はない、立ち回りに完璧を求め続けたことが私が「全一お嬢様」たる所以ですわ。
貴女は私に勝つことだけを考えた、私は「完璧なお嬢様」であろうとした。
目指した純度の違い、そこが私とあなたの違いですわよ。
……そう言って、転子様と自分の差を語ったたか子様。
その上で、転子様へ手を差し伸べるのです。
その手は暴力を生み出す手では、人を叩く様な手では決してありませんわ。
私達eお嬢様が叩いていいのは、ボタンとクソキャラと投げキャラだけですわ。
そんな隆子様の背後にまばゆく鮮やかな光が輝くのを見た転子様。
その手を握り、今度こそ敗北を認めるのです。
また1から出直しますわ、いつか隆子様の頂へたどり着けるように。
……そして二人は、健闘をたたえ合い、心の底からの本当の言葉をかけあうのです。
対戦ありがとうございました。
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リュウはクソキャラですわ。
は?ザンギの方がクソなんだが?




と言うわけで、格闘ゲームでしのぎを削りあうeお嬢様たちの日常を描いていく本作。
最近ではこう言った、eスポーツ題材の漫画も増えてまいりまして、本作と非常に近い設定の「対ありでした」がアニメ化決定するなど、人気作も出るようになってまいりました。
ですが本作がそんな作品たちと一線を画すのが、格闘ゲーム界隈のネタをふんだんに盛り込んでいる所です!!
そこかしこに盛り込まれているネタは、格闘ゲームを楽しんでいる人たちが思うアレコレ……と言うよりも、格闘ゲームの有名プレイヤーのエピソードからくるネタや、格闘ゲーム関係ネット用語なんかがメインだったりします!
つまり格闘ゲームをディープに好きであれば好きであるほど楽しめると言う、物凄く狭い層に向けた作品なわけです!
ですが本作ならではの得体のしれないテンションは独特の味を持っておりまして、格闘ゲームがよくわからない人も引き付ける不思議な魅力も湛えているわけです!
この後も新キャラクターの登場とともに物語は進んでいきます。
ハイテンションで描かれていくドタバタギャグとともに、なんだかんだしっかり駆け引きと新年のぶつかり合いが描かれる格闘ゲームの対戦シーン、やっぱり欠かせないあるあるネタ……
こう言った作品では珍しく、カプコンさん公認でしっかりストリートファイターシリーズを使用していることもあり、没入度は一層強まって行くこと間違いなし!
ただの出落ちではない、コミカルでシュールで、時々しっかり熱い……格闘ゲーム好きならば読まない手はなく、そうでない方もきっと楽しめる作品に仕上がっているのです!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!