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今回紹介いたしますのはこちら。

「エチカの時間」第4巻 玉井雪雄先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。



さて、種苗問題の中の「作為・不作為」のエチカバトルをすることになった尚更達。
様々な事実が明らかになって行く中、「不作為」を選んだ白馬が、すばらしいエチカプレイを披露するのです。
もはや勝負は決したかと思うほどの出来栄えだったそのエチカプレイですが、七太郎は突然「全てが真実だとしたら素晴らしい」と言いだして……?



白馬のポイントは非常に高得点で、このままでは瑠衣の、そして尚更の敗北は決まったも同然です。
ですが尚更は、苗を隠した犯人を見つけて逆転を狙おうと奔走していました。
幸い七太郎もそこから 尚更がどうするのかが気になっているようで、タイムリミットまで待ってみようと言うつもりの様子。
そんな中で尚更は、ある事に気付いていました。
繁盛している店と同じ業種の店をたくさん出店し、ライバル店を叩きつぶすドミナント戦略。
最終的にどこか一店は勝ち残るわけですが、その結果としてたくさんの残骸が残ってしまいます。
ですが開発する側は、その失敗のリスクを敢えて言わない……
敢えて言わない、つまりそれは「不作為」、ここは不作為の街なんだ!!

七太郎はそれを聞いて……それは珍説だな、と思ったのと違うリアクション。
そう言う意味じゃないの?お前「作為と不作為の迷宮にいる」とかなんとか言ってたじゃないか、と尚更は七太郎に食い下がるのですが、この町をさまよっているのは尚更達が無能だからなだけだ、ときっぱり言うのです。
七太郎からすれば、尚更がなぜこの町に良くない感情を抱いているのかがわかりません。
みんなが選択した結果がこの町のありようだ、キミタチが綺麗とか言う自然だってそうやって淘汰と選択で出来上がってる。
……そんな七太郎のなんといいますか、感情を排除した冷静な意見を聞けば聞くほど、尚更はいらいらしてきます。
そう言うのやめれば?僕は人じゃないからそう言う気持ちわかりませんみたいなの。
ああ、これが「愛」ってやつか……とか今に言うんだろ?
そんな漫画や映画のテンプレの様なAIの心変わりの様子を言ってちくりとやるのですが、それで今度は七太郎が御立腹。
知識としての君たちについては君たち以上に知っている、その上で言う、子の土地の人たちが選択した結果がこれだ、都市計画が上手く言っているとは言えないが。
その見た目が気に入らなくても仕方ない、それはただの好みだ!!
声を荒げる七太郎ですが、今度は鈴がこの土地の人も好きじゃないかも、と異を唱え始めます。
ここぞとばかりに尚更、失敗したらこうなるってことを言うべきだろ、と続けるのですが……
その「べき」と言う言葉に、七太郎は反応しました。
「べき」と言ったね?
べき、と言う言葉が出たので、作為・不作為の次の段階に入ろうと思う。
この世には、「何もしない」と言うことで犯罪になることがある。
いわゆる不作為によって実現する犯罪、「不作為犯」だ。
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ようこそ、作為・不作為の迷宮の第二段階へ!

通常法律は「何かをすること」を禁止する形で定められていまして、人な殴る、刺す、殺す……どれも「作為」が罰せられます。
ですが、溺れている人を助けないとか、病気で苦しんでいる人に適切な治療をしないとか、子供に食事を与えず世話をしないとか……「何もしない」ことで罰せられることもあるのです。
この「何もしない」ことで罪に問われる、「不作為犯」を成立させるには二つの条件があるのです。
1、期待される、するべき行為をしない。
2、その作為をすることが可能であった。
1なら親だったり病人の看護をする人などのするべき義務。
2なら溺れている人がいても、本人が泳げなかったら助けられないので不作為にならない、と言うことです。
七太郎は、「作為・不作為」の深淵部に達するのに必要なことだからこのことをよく覚えておいてくれ、と言うのですが……

手に入れた情報を元に、チテンピカリの苗を探す尚更達。
その間ずっと尚更は考えていました。
最初の予想よりもずっと「作為・不作為の迷宮」が入り組んだ深いものであること……
そんな尚更の顔色を見て思うところあったのか、七太郎は「二重結果論(ダブルイフェクト)」というエチカの判断方法で、白馬のエチカプレイを評し始めました。
二重結果論は、宵結果と悪い結果が出る場合、4つの要素からその事象が正しいかどうか判断する方法です。
行為自体が悪くない、よい結果が意図されている、よい結果は悪い結果を手段として引き起こされない、わるい結果はよい結果と比べて不釣り合いなほど甚大ではない。
……そこに当てはめてみると……宮路家を破滅に導いてしまったと言ってもいいあの出来事は、
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「誰も悪くない」となるのです。
少なくともいち家族が不幸になったのですから、誰も悪くないなんてありえない。
そう言いたいところですが、会社は法に基づいて業務を行い、告知義務も守っているのに何が悪かったんだ、と七太郎はきっぱりと言い切って……
尚更はたまりかね、じゃあこの巨大な廃墟は何なんだよ、これのせいで地元の商店街や個人の店舗はつぶれたんだぞ!それで何も亡くなった後経営が振るわなくなって閉鎖するなんて……と感情に任せて怒鳴るのですが……
そこで、気付いてしまったのです。
今回の、チテンピカリの件も同じだ、と。
ドミナント戦略も、宮路家の一件も。
どうしてこうも同じやり方がまかり通るんだ?
考え込んでしまう尚更。
そんな時、鈴が持ち去られていたチテンピカリの苗を発見しました。
よかった、と安堵する鈴。
同行していた七太郎によって、苗の発見はすぐ白馬や瑠衣にも伝えられ、無事(?)今回のエチカ案件が成立することになりました。
タイムリミットまではあと3時間。
ここで改めて、公に知らせて田植を止める「作為」か、知らせずに田植を行う「不作為」化選べ、と七太郎は一同に迫るのです!
……が、そこで尚更はとんでもないことを言いだしました。
焼く。
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燃やすしかない……!
この苗は植えちゃダメだ!
エチカプレイもクソもない強硬手段を口にする尚更!
一同は騒然とするのですが、さすがにそれを許すことなどできるはずがありません。
尚更達に許されているのは、エチカプレイをして判断をすること。
ですがこのままでは、超高得点を取った白馬の点数を超えることはできず、苗が植えられてしまうことになるでしょう。
もうどうしようもないかと思ったその時……予想外の人物が、予想外の提案をするのです。
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私のエチカプレイをしてください!
私の中の本音を全部吐き出したいんです!
そう言ったのは……鈴でした。
そして鈴はさらにこう続けるのです。
私、苗の誘拐犯がわかりましたから!と……!!



と言うわけで、種苗編がクライマックスを迎える今巻。
この後、エチカプレイを通して鈴の様々な過去と思いが明かされていきます。
ですが宮路のように今回の案件に大きな大きな関わり合いがあるわけではなさそうですから、鈴のエチカプレイで大逆転、とはいかないのではないでしょうか?
普通に考えれば、会心のエチカプレイを行った白馬のポイントで、不作為側の勝利は動かないでしょう。
ですがそこは、ある一点において七太郎が大きく評価している尚更。
ただでこのエチカプレイを終わら背などしないのです!!
この後もまだまだどんでん返しが待っている種苗編。
予想外の展開と予想外の決着、予想外の選択がされるこのシリーズ、最後の最後まで目が離せませんよ!!

そしてその後新シリーズが開幕します。
その題材は……コロナ過における新しいエチカ……!?
今までの常識ががらりと変わっていってしまった新型コロナウィルスの流行。
その、いわばあら丹時代における新たなエチカとは?
新シリーズも見逃せない展開になりそうです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!