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今回紹介いたしますのはこちら。

「エリカ ふたたび」 楠本哲先生 

少年画報社さんのYKコミックスより刊行です。


さて、最近はすっかりサイコサスペンスに特化した漫画家さんとなっている楠本先生。
現在も「隣人X」で存分にその才能を発揮していらっしゃいますが、本作は楠本先生のそんな方向性を決定づけたと言ってもいい作品「エリカ」の続編となっております!
気になるその内容はと言いますと……


あまりに壮絶な結果となったあの試験。
あの後恵里佳は……メンタルクリニックに通うようになっていました。
今日はそのメンタルクリニックの医師、綾部のもとにやってきている恵里佳。
綾部は、会社にはもう慣れた?友達とかできたのかしら?と尋ねています。
穏やかに笑い、はい、たくさん、と答える恵里佳は、20歳になっています。
ですがやはり独特過ぎる存在感を持つ恵里佳は目立ってしまうようで……完全に受け入れられていると言うわけではありません。
いや、それどころか、莉子と言う女性を中心にしたグループにいじめられてすらいるのです。
みんな恵里佳のこと臭い臭いって言うの。
でも、そんな頭がグルグルする時は綾部先生にもらったお薬飲んでるから。
あれ飲むとすごく落ち着くんだぁ……
綾部が処方した薬は恵里佳にぴったり適合したようで、恵里佳のあの狂暴性は抑えられているようです。
とはいえ薬に頼りきりになるのはよくありません、
綾部は、でも飲み過ぎは禁物よ、と恵里佳に忠告し、そしてアドバイスをし始めます。
恵里佳さんの病気はね、誰でも思春期には起こり得るもので、年齢とともに必ず落ち着いてくるから。
何か打ち込めるものを見つけて、いやなことや悲しいことがあっても、目を閉じて心を穏やかにしてやり過ごすの。
そうすれば必ずその先には、明るく楽しい未来が待ってる。
恵里佳はそんな綾部のアドバイスをしっかり胸に刻んでいるようで、恵里佳先生のこと信じてるから、とにっこりと笑うのです。

綾部のアドバイス通り、当面打ち込めるものとして恵里佳がしているのは……ぬか漬け。
美味しくなぁれと念じながら糠床をかき回し続けてできる漬物はとてもおいしく、恵里佳の心を癒してくれるのでした。

ですがそんな恵里佳の気持ちを掻き乱す出来事がまた起こってしまうのです。
突然恵里佳を呼び出した社長、何を言うかと思えば、パソコンもいじれねぇお前を拾ってやったんだ、ちゃんとお礼はするもんだろ?と……暗にその身体を差し出すように命じてくるのです!
その様子を見ていた莉子たちいじめグループは、その様子をからかって楽しむですが……
良くも悪くも社長に特別扱いされていると言うのも莉子には気に入らないことのようです。
休憩室に戻ると、恵里佳のお弁当が床にぶちまけられてしまっていました。
そこにタイミングよくリコたちが現れ、かわいそうに、社長をたぶらかした罰が当たったんじゃないの?と、いやらしい言葉を投げかけてくるのです。
その声に振り向いた恵里佳の顔は、
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あの頃を彷彿させる得体のしれない迫力を感じさせるもので……!!
ですが恵里佳の過去を知らない理子は、その目がムカつく、と恵里佳の頭を蹴ってロッカーにたたきつけました!
さらにそれでは飽き足らず、
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恵里佳の長い髪をばっさりと切り落としてしまい……!!

鏡の前で変わり果てた自分を見て呆然とする恵里佳。
そんな時彼女は、綾部からもらった薬を飲み、あの教えを反復します。
嫌なことや悲しいことがあっても、目を閉じて心を穏やかにしてやり過ごす。
そうすれば、必ずその先には幸せが待っている……

あれだけのことをされても恵里佳は会社に出勤します。
終業後。家に帰ろうとする彼女の前に、一人の女性社員が姿を現しました。
なんで安南酷いことやられて平然と会社に来られるの?
こんな会社今すぐ辞めた方がいいって。
そう告げてきた彼女に、恵里佳は……辞めないよ、だって明るくて楽しい未来が待ってるんだもん!と笑顔で返すではありませんか。
そんな彼女を見て、その女性社員は……

思うところあったのでしょう。
彼女は恵里佳を自分の車に乗せ、自宅まで送ってあげることにしました。
その道中で、会社でさせられていることを尋ねる彼女。
なんと恵里佳、社長に淫らな奉仕を強要させられたと言うではありませんか。
何を考えているかわからないところのある恵里佳ですが、それは流石に「平気じゃない」と言います。
そして、恵里佳を守ってくれる王子様、恵里佳を置いて自殺しちゃったんだ。と遠い目をして呟くのです。
するとその女性社員、自分のことを打ち明け始めます。
恵里佳が入社する前は、彼女がリコたちのいじめのターゲットにされていたこと。
ターゲットを変えた後は、無理やり仲間にさせられて新人いびりや男漁りに協力させられていたこと……
最初は恵里佳が標的になったことで自分が助かり、ラッキーだと思っていたと言う彼女なのですが……これじゃ自分もアイツらと同類の糞野郎だ、と気が付いたと言うのです。
私は葛城ほのか。
よろしくね。
jほのかはそう言って、恵里佳に微笑みかけるのでした。

その後、恵里佳は今までの人生で最も幸福かもしれない時間を過ごすことができました。
恵里佳をいじめない、本当の「友達」になってくれたほのか。
皆に臭いと言われている体臭に関しても、匂いの感じ方なんて人それぞれなんだか言いたいヤツいには言わせておけ、ときっぱり断じてくれますし、休み時間どころか、休日も一緒に過ごしてくれます。
さらにほのかが何かしたのか、莉子達のいじめもピタリとやんだのです。
……が。
恵里佳の幸せは束の間のものでした。
莉子のいじめが止んだのは、どうやらこの会社で比較的まともらしい、部長がコンプライアンスを守れと彼女に注意したからのようでして。
そしてその部長にいじめを告発したのがほかならぬほのかだったのですが、その事が莉子にばれてしまったのです。
莉子は仲間たちとほのかを取り囲み、睨み付けながらこう言いました。
まさか私を裏切るなんてねー。
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てめぇが悪りぃんだからな、覚悟しなよ!

10日後。
恵里佳のもとに、ほのかから電話がかかってきました。
大喜びで電話に出る恵里佳、最近どうして会社に来ないの、心配だから毎日メールと電話したのに、どうして無視するの?と、電話に出るなりまくし立てる恵里佳なのですが……
電話口のほのかの様子は明らかに妙です。
ど、どこ、どこ、ここ……
毎日、毎日、いろんな、男が……
私、もう、生きていけない……
莉子によってほのかは監禁され、ずっと多数の男性に乱暴をされ続けていました。
休むことすらできない地獄のような環境は、莉子がもう再起不能なまでに消耗すると、ようやく終わり……
身も心もボロボロになったほのかは、街をフラフラと彷徨いました。
もはや右も左も定かではない状態に陥っていた彼女、目前に車が迫ってきていることにも気がつけず……
そのまま、彼女は車に轢かれ、命を落としてしまったのでした……
彼女の絶望のうめき声と、轢死の瞬間までも電話で聞いてしまっていた恵里佳。
その出来事は、恵里佳の頭に大きな闇をひろげさせます。
やっと見つけた恵里佳のお友達……
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ああ、頭がグルグルする……!


と言うわけで、前作とは全く違う切り口で幕を開けた本作。
恵里佳は薬の力もあったものの、ほのかと言う良き友人と、優しく恵里佳を導いてくれる綾部の存在のおかげで、いわゆる「普通の生活」を送ることができる、その寸前まで言っていたと言えます。
前作では完全なる悪役であった彼女ですが、本作ではまさかの被害者の立場で登場し、悲劇のうちに身を置くことになるのです。
まさか前作であれだけのことをした恵里佳を、応援したくなってしまう日が来るとは……!
そんな恵里佳、綾部の教えのおかげもあり、すぐに暴走してしまうようなことはありません。
この後も恵里佳が「ふたたび」動き出すまでの出来事をしっかり描いていった上で、彼女の狂気が暴走する子t露になるのです!!

前回は完全なるストーカーと言いますか、一切擁護することの出来ない悪であった恵里佳ですが、今回は復讐者として主人公する恵里佳。
どんなことでも躊躇無くしてしまう彼女だからこそ、あまりにもえげつない復讐が堂々と描かれていくわけです!
恵里佳の復讐はどんな恐ろしいものになるのか?
勿論凄惨極まりない手段も用いられるのですが。まさかの行動もあり、予想出来ない復讐劇が繰り広げられます!!
物語のクライマックスも、やはり恵里佳は恵里佳なのだと思い知らされる、楠本先生のサイコスリラーらしい展開が待っておりますので……ぜひとも皆様の目でご確認ください!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!