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今回紹介いたしますのはこちら。

「くにはちぶ」第10巻 各務浩章先生 

講談社さんのマガジンエッジコミックスより刊行です。


さて、前回のくにはち対象者の親友であるひなげしとあったたんぽぽたち。
たんぽぽたちの頑張りと、ひなげしの決意もあり、大勢のくにはち違反逮捕者を出してしまったものの、世論に大きなうねりを起こすことができたのです。
くにはち廃止に向けてのたんぽぽの頑張りは、徐々に実を結ぶかに見えています。
ですがそこに、前くにはち監督官のひがんが現れ、再びきなくさい香りが漂い始めるのでした。



10年前。
人気のない校舎裏で、不良達が一人の男子を取り囲んでいました。
上級生には従うのが決まりだぜ、と不良達はその男子、抱をリンチしようとしているようですが……
なんと抱、たった一人だと言うのに数名の不良上級生に立ち向かうではありませんか!!
しかも抱、リンチされるどころか、逆に全員返り討ちにしてしまったのでした!

勝利の後の一服を楽しもうと、たばこの箱を取り出す抱。
ですがもう中には一本も入っておらず、抱は苛立ちながら空箱を投げ捨てました。
するとその時、ゴミ捨て場にごみを捨てに来ていた一人の男子生徒が目に入ります。
おいお前、たばこ買って来い、と命令する抱ですが、その生徒は迷うことなく「断る」と一言。
抱は何も言わず、その男子生徒に一撃!
男子生徒は思いきり地面にたたきつけられてしまいました。
抱はにらみを利かせながら、行け、ともう一度命令。
ところがその生徒は平然と立ち上がり、
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改めて「断る」と一言返したのです!!

抱は苛立ちのままに男子生徒を殴り続けました。
ところがその男子、殴っても殴っても倒れませんし、意見を曲げませんし……何よりも、殴り返してこないのです。
流石に殴りつかれた抱、殴るのをやめ、尋ねてみることにしました。
頑丈な野郎だな、ビルから落ちても死なねーんじゃねぇのかお前。
何で殴り返さない?
……そんな質問に彼が返した答えはこうでした。
殴る理由がない、それに暴力は違法行為だ、禁止されている。
真っ当な反論にも思えますが、だからと言ってさんざん殴られても怒りや苦しさを見せずにそう言い返せるのはとても真っ当な人間とは思えません。
そんな人間とすら思えないような男子に、抱は興味がわいてきたようです。
それならいっそうどうしたってぶっ倒してみたくなったぜ!
そう言って、思い切り顔面にパンチを叩き込んだのです!!
微動だにせずそれを受けた男子。
その反応も予想済みだったのでしょう、抱は拳を男子の顔に押し付けたまま言うのです。
殴り返してみろよ、むかつくとか感情はねえのかお前は。
法律(きまり)なんてもんが人間を支配できるなんて嘘だぜ。
……男子はそれでもこう返しました。
断る。
暴力で人を支配できると思うなら、間違いだ。
そして男子は、ようやく白目をむき、力なく地面に倒れる男子。
抱はやったぜ、と笑うのですが……
何故か勝ったと言う気持ちにはなれないのでした。

翌日、あの不良上級生たちをのしたことで一躍仲間たちにもてはやされる立場になった抱。
ですが抱はそう言う事を求めて喧嘩をしているわけではないようで。
彼の目下の興味は……あの男子生徒です。
ずっと校門を見つめていた抱、あの男子生徒が登校しているのに気が付き、仲間たちを無視して駆け寄って行きます。
そしてまず、名前を聞くのです。
男子はまたあの感情の読み取れない表情で、一言「踏」と答えます。
抱は踏の名前を知ると、こんなことを言いだしました。
俺を全力で殴れ、それであいこだ。
……もちろんどうあってもルールを守る踏がその提案を受けるはずもなく。
犯罪行為に対して犯罪行為で返せなんて意味がわからない、わるいと思い償いたいと言う意味なら、自首するか謝ればいい、と返すのでした。
ですが「謝る」と言うのは抱にとって最もありえない選択肢のようで。
それだけはない!ときっぱり断り、自分を殴れ、と踏にせまり続けるのでした!!

殴れ、殴らない、これでは気が済まない、お前の気など知ったことじゃない、という問答はその後も続きました。
そしてどうあっても相手に殴る気がないと悟った抱は、予想もつかない第3の選択肢を取るのです!
それじゃ俺が勝手にあいこにさせてもらうぜ、と言うと、外側の教室の窓を開け……
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よく見とけや、と言い残し、そこから飛び降りたのです!!
木の上に落ちたため、江田がクッションになって大きな怪我は負わずに済んだのですが……
踏、これであいこだ!と木の上から叫んでくる抱に、流石の踏もなんだあいつ、とうろたえざるを得ないのでした。

抱はその持ち前の性格と腕っぷしの強さから、誰からも好かれ、誰からも恐れられる存在でした。
踏はそんな抱を、「得体のしれない存在」と認識するのです。
それでも抱は踏に付きまとい、様々な嫌がらせや、余計なお世話を焼き続けます。
どうやら抱は、どんなことをしても自分に怒りを向けない踏に、何とか感情を爆発させようとしているようなのです。
ある時抱に感情はないのかと尋ねられた踏は、怒りの感情はあるものの、面に出す意味がない、と答えました。
抱はそれを聞いて、意味はある、ムカつくやつを殴るのはスッキリする、と彼らしい反論をしてきます。
感情に任せて行動するのは愚か者だ、と踏。
お利口さんはどんなムカつく法律でも従うんだな、俺の暴力には従わねぇくせによ、と抱。
そんな調子で、二人の会話は平行線のまま。
抱の踏に対する気持ちはうかがい知れませんが、踏の抱に対する評価は悪くなる一方なのでした。

……そんな毎日が続いたある日。
踏が教室に入ると、そこにはとんでもない光景が広がっていました。
窓ガラスは割れ、机やいすは滅茶苦茶に散らばり……
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床にはクラスメイト達が痛めつけられて転がっている、その真ん中で抱がたたずんでいる、と言う!!
今日から俺を無視することになったらしいぜ。
お前は当然法を守って無視するよな、さすがぶれてないぜ。
こいつらは俺より法律の方が怖いらしい、昨日まで友達面してたくせによ、法ってのはスゲーんだな。
むかつくぜ。
人を従わせる力が暴力だぜ、踏。
法律ってのはとんでもねえ暴力じゃねえか、俺より法律なんてもんに従うなんてよ。

お前はよ、この俺の暴力に勝っておいて、法なんてもんの暴力に負けんのか?
今からお前んち行ってよお、お前の家族節法違反で逮捕させてみるか?
いや、お前の家族じゃ簡単に違反なんてしねえかな。
お前姉ちゃんか妹いるか?
ここに連れてきてお前の前で犯してみるか?
お前はお利口にも法を守って無視して……
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気が付けば、踏は抱の顔面を殴りつけていました。
それが怒りだ、これであいこだぜ?
鼻血を出しながらそう笑う抱。
そして抱は、とんでもないことをすると宣言し。その場から立ち去ります、
お前の生き方決めんのは法律じゃねえぜ。
自分の感情で生きろや。
……そう、言い残して。




と言うわけで、踏の過去が明かされていく今巻。
感情もなく淡々と監督官としての仕事をこなしていたかに見えた踏ですが、意外なことに彼にもくにはちとのつながりがあったわけです。
この後も踏の物語は続きます。
とんでもないことをする宣言をしてさって言った抱。
それを知ってしまっている踏は、これからどうするのでしょうか?
いや、抱を殴ってしまった以上、くにはち違反者として捕まってしまうのではないか……?
謎に包まれていた踏の過去。
それが明かされたと言うことは、本作に何らかの影響を与えると言う事なのでしょう。
この事件の顛末は?
そしてたんぽぽに対しての踏の感情は!?
見逃せないエピソードとなっております!!

そんな踏の過去を明かしたことで、物語としての準備が整ったのかもしれません。
時代は現代に戻り、たんぽぽの物語が再開されます。
今までも相当ひどい目に遭わされていたたんぽぽなのですが、そこで今までの中でも最悪と言っていいとんでもない出来事が巻き起こることになるのです!!
あまりにもひどすぎる仕打ちに、たんぽぽは打ちのめされ……
繰り広げられるのは、これから先の展開に注目せざるを得ない、怒涛の展開!!
ますます本作から目が離せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!