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今回紹介いたしますのはこちら。

「ダークギャザリング」第5巻 近藤憲一先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、強大な力を持つ「神」に対抗するため、より凶悪な霊を集めることになった螢多朗たち。
ですが凶悪な霊を集めるということは当然螢多朗たち自身も危険にさらされることとなるわけで、その道行には不安しか見当たらないのでした……



螢多朗、夜宵、詠子の三人が向かうのは、危険度Sランクだという屈指の心霊スポット、旧Fトンネル。
詠子と夜宵は盛り上がりまくりのテンションアゲアゲなのですが、螢多朗は気が進まないなんてものではありません。
出発前から胃がキリキリと痛んでしまうものの……霊集めをしなければ愛依は間違いなく死んでしまいます。
凶悪で強力な霊を多く集めれば集めるほど、愛依が助かる道も開けていくでしょうし、螢多朗たちの生存率も上がっていくはず。
来るべき決戦で生き延びため、目先の危険に飛び込むしかないのです。

いざ出発……というところで、夜宵は旧Fトンネルに行く前によっていきたいところがある、と言い出しました。
「卒業生」を回収していきたい、のだとか。
卒業生とは、夜宵によって集められた怨霊の中で、特別強力な力を持ったことにより、夜宵の部屋に置いておくことができなくなった怨霊のこと。
家に置いておけないだけに、人気のない土地などに隔離しておくわけですが……
一同の手元には、既に一体卒業生がいます。
その卒業生もすさまじい力を持っている恐ろしい例ですから、これ以上いいんじゃないかと螢多朗はしり込みしてしまうのです。
ですが夜宵は首を縦にはふりません。
その卒業生が先日の戦いで消耗したこと、そして万が一卒業生が暴走してしまったときに止められる存在が必要であることから、今回の回収は必須なのだとか。
そもそも今回の目的地が旧Fトンネルなのも、道中にその卒業生の隠し場所があるからなのです。

卒業生の隠し場所、それは青梅市の多摩川河川敷。
一見すると何もない場所に思えますが、立川断層……「龍脈」と呼ばれる霊的パワーがあふれ出るスポットに重なっているとても大事な場所なのだといいます。
霊は霊を食べずに放っておかれるとエネルギー切れになってしまうため、こういった場所に安置して弱体化を防いでいるのだ、と夜宵は言うのです。
……行く場所と、行かなければならない理由はわかりました。
では今回は、どんな準備をしていけばいいのでしょう。
前回の卒業生は、ある準備をしなければなすすべなく死んでしまうほどの恐ろしい力を持っていたのですから、同じ卒業生である今回の霊も準備が必要なのは間違いないでしょう。
どんな悪霊なのか?
緊張する螢多朗ですが、なんと今回の卒業生は「悪霊」ではないというのです。
彼は南方戦線で戦っていた旧日本軍の霊で、生前から限りなく不死身に近い回復力を持っていたというその霊、死してなおその特性をそなえているとか。
ですが恐ろしいことに、彼には彼自身が殺害した数百名の敵兵の魂がまとわりついているのです!
敵兵の霊はその卒業生の体をついばみ続けているものの、不死身の回復力で再生。
エネルギー切れ状態になっても成仏できず、この世にとどまり続けているのです。
夜宵はそんな彼の成仏を手伝うことを条件に、味方になってもらう約束を取り付けているとか。
そのおかげで関係性は悪くなく、彼自身が前回の卒業生の様な無差別な呪いを振りまくようなことはありません。
しかし彼にまとわりつく数百の霊の怨念は常に迸っていて、制御ができないのです。
……卒業生を封じた人形を、さらに悪霊の紙で作った黒い縄で封印し、怨念の漏出を防ぐ。
そうやってようやく卒業生を回収できるわけですが……
やはり今回も、簡単な戦いではないようです。

一同は河川敷に行く前に、コンビニによって水を購入しました。
敵兵の霊も悪霊かといえば少し違うのですが、かといって自分を捕まえようとするものを見逃すほどやさしくはありません。
そこでカギになるのがこの水です。
彼らは生前、つらく苦しい戦いの中、飢えや渇きとも戦っていました。
そんな彼らが求める「水」を持っていれば、単純に敵だとは認識されず、いきなり手荒なことはされない……はずです。
ですが、もしその殺意がひとたび一同に向けられれば、危険度は言うまでもありません。
元兵隊だけに、敵とみなしたものへの容赦のなさは、下手な殺人鬼の霊などよりもよほどすさまじいのですから!!

そして問題の河原に辿り着きます。
螢多朗たちの背丈よりも背の高い草むらの中をかき分けていくと、そこにあったのは
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古いテレビと、顔を袋で覆ったマネキンです。
そのマネキンの体には、無数の歯形が付いています。
そして、何やら……なにかを「かじる」ような音が鳴り響いているのです。
これは何の音?虫、じゃないような……
詠子がそうつぶやいた瞬間、その音はぴたりとやみました。
そして、何もないはずの地面に突如足跡が付き……電気など通っているはずもないテレビの画面に何かが映し出されるのです!
その映像に映し出されたのは、座り込んでいる一人の軍人。
そしてその軍人が、我、太平洋の防波堤たらん、とつぶやくと……
カッとテレビから強烈な閃光が放たれ、
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無数の兵隊の霊が姿を現したのです!!
……その例は、今までもずっとそこにいたのでしょう。
どうやら卒業生がテレビを通じて、兵隊の霊の存在を見えるようにしてくれたようです。
ですがそんな警告もむなしく、兵隊の霊は螢多朗のもとまでやってきてしまいました。
ずぶずぶと兵隊の霊が体の中に入り込むと、螢多朗にとんでもない渇きが襲い掛かります!!
喉が渇いてどうしようもない。
水、水が欲しい……
そう思った直後、螢多朗の意識が一瞬途切れてしまいました。
夜宵の呼び声ですぐに意識を取り戻したものの、気が付けば螢多朗が持っていた水が空っぽになって島ています。
自分が飲んだという認識もなく、飲み干されてしまった水。
瞬間、水があれば手荒に扱われることはない、という夜宵の言葉がフラッシュバックし……
螢多朗のからだに、奇妙な跡がいくつも付き始めるのです!!
身代わりの人形がいるために痛みはありませんが、既にそれも限界を迎えていました。
次々とその跡……血を啜ろうと喰いつく歯形は増えていきます!!
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すると夜宵の持っていた身代わり人形の腹が異様に膨らみ、今にも破裂しそうになって……!!
この人形が破裂すれば、瞬く間に螢多朗の前身は食い散らかされてしまうはず。
夜宵はすかさず螢太郎の周りに塩をまいて簡易的な結界を作り、螢太郎に襲い掛かる霊を遠ざけました!!
ですがそれもおそらく一時的な物。
このままでは遠からず霊たちは螢多朗に再びむらがり、その牙を突き立てることでしょう!!
……そんな旧知の中で、詠子は霊たちの視線が螢多朗一人に吸い寄せられていることに気が付きます。
水を持っていることもあり、自分に霊たちの注意が向いていない、ということは、今ならば卒業生を手にすることができるはず!
すかさず詠子は、夜宵から顔の部分に卒業生のぬいぐるみがあることを確認!
マネキンの頭にかぶせられていた袋を取り去り、その頭部に埋め込まれた人形を手にすることができました!
すかさずその人形を夜宵のほうへと投げる詠子!!
霊たちの相手で手が離せない夜宵は、とっさになにかを螢多朗に投げて渡しました!
それは……黒い縄で編まれた、網。
先ほどの話に出てきたものに間違いありません!!
螢多朗はその網の口を広げ……見事人形をキャッチ!
すぐさまその網の口を縛ると、
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無数にいた霊たちは幻のように消え去っていくのでした……
何とか、といったところで卒業生を回収できた螢多朗。
ホッと一息……つきたいところですが、彼も詠子もすっかり忘れていたことがあります。
この卒業生の回収は、旧Fトンネルに行く前の「寄り道」であることを。
恐怖の戦いは、これからが本番なのです……!!




というわけで、神を倒すための悪霊回収が続く今巻。
卒業生の戦いも薄氷を踏むかのような戦いになったわけですが……当然、本番である旧Fトンネルで待っている悪霊はこんなものではありません!!
今回手に入れた卒業生の力を借りながら、それでもなお危険などという言葉では収まらない危険が迫る旧Fトンネルの戦い。
そこで待っている悪霊は、今までよりもさらに強力で、凶悪で、螢多朗たちをありとあらゆる手で恐怖の淵へと叩き落さんとしてくるのです!!

霊との戦いというオカルトバトルだけではなく、ホラー要素もしっかり描かれている本作ですが、今巻もばっちりその味わいは健在。
卒業生との戦いも壮絶な物でしたが、この後の旧Fトンネル編はさらにホラー要素てんこ盛りです!!
スプラッタ的なグロテスクな恐怖、死に直結する悪意に、死を示唆するからめ手の様な恐ろしさ、様々な味わいがこれでもかと収録されているのです!!
勿論おまけ要素もたっぷりで、おなか一杯楽しめる一冊に仕上がっていますよ!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!