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今回紹介いたしますのはこちら。

「ブランクスペース」第1巻 熊倉献先生 

小学館クリエイティブさんのヒーローズコミックスふらっとより刊行です。


熊倉先生は12年にし希少で佳作を受賞してデビューした漫画家さんです。
その後読み切り発表を経て、16年に「春と盆暗」で連載デビュー、初単行本刊行となりました。
そして20年より本作の連載を開始され、先生初の巻数表記のある単行本刊行作となりました。

そんな本作は、二人の少女が思わぬ出会いを果たしたことから始まる物語。
出会った少女のうち1人は、とある不思議な能力を持っていて……?



髪を整え、目元や口元を念入りにチェックした狛江ショーコ。
彼女は意を決し、クラスメイトハヤシ林君に話しかけました。
ハヤシくん、犬派?猫派?
それは、ショーコがハヤシくんに話しかけ……あわよくば、告白なんかをしようとした、かもしれない会話のきっかけをつかむための質問でした。
ですがその質問を投げかけられたハヤシくんは、
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あからさまに嫌そうな表情を浮かべて……

その表情ですべてが伺えてしまいましたが、その上すぐ後にハヤシくんに彼女がいることもわかってしまうショーコ。
失恋のショックで頭はぐちゃぐちゃ、小テストの出来もさんざんです。
……テストに関してはもともとあまり成績の良くないショーコの実力、なのですが……

その後の授業もずっと上の空だったショーコですが、ハサミを使ってちょっと作業をする授業の時、気になることが起きました。
ゴトン、と何かが落ちる音がすぐ近くでしたのです。
ぼーっとしていた自分の手に持っていたハサミ、はまだきちんと手の中にあります。
あたりを見回して、屈みこんで机の下を見てみても何も落ちていません。
絶対何か落ちた音がしたのにな、などと考えていますと、ちょうど視線の先で、ハヤシの携帯がメッセージの着信をしているのが見えました。
移った待ち受け画面は、彼女と一緒にテーマパークで仲良く笑っている画像。
メッセージはその彼女からの放課後のお誘いでした。
それを見るとますます落ち込んでしまうショーコ。
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あーあ、ホントに星が降って学校がぺしゃんこになればいいのに。
授業で星形に紙を切る作業をしていたせいか、ショーコはそんなことを考えてしまうのでした。

その日降ったのは星ではなく、大雨。
予報で雨とは出ていなかったため、ショーコは傘を持っておらず、鞄を頭の上にのせて雨をしのぎながら下校していました。
最初は道端の木にパンチしながら、二度と顔だけで男の子を好きになったりしません、とその気に誓ったりする余裕があったのですが、雨はどんどん強くなってしまいます。
寒いし、鞄の中の教科書をこのままではただでは済まなそう。
思い切って、私有地の雑木林の中をダッシュで駆け抜け、ショートカットをしようと思い立つショーコ。
必死で走って行くと、その雑木林の中の木が生えていないちょっとしたスペースで
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奇妙なことになっている女の子とであったのです。
……何も持っていないのに、まるで傘を持っているかのように雨が彼女を避けて降っている……?
……思わずお見合いになってしまう二人ですが、ショーコの「入れて」と、彼女の「入る?」の言葉が同時に発されました。
その傘に入れてもらいはしたものの、何とも不思議です。
彼女、片桐スイによれば、これは彼女が作った最初から見えない傘で、小さいころからそう言うことができるのだとか。
今まで誰にもこんなことができると言ったことはない為、他人が触ることができるかどうかもわからないとのこと。
……とりあえずその不思議な力は置いておいて、クラスメイトでありながら、スイとショーコは今までほとんど辛みがなかったため、ショーコは彼女についての質問を投げかけてみることにしました。
いつもお昼休みいないけど、どこで弁当食べてるの?と聞いてみますと、一緒に食べる人もいないし、教室はがやがやしてるから外のベンチなんかで食べている、と帰ってきました。
その他、彼女の家は電車と徒歩で40分くらいかかる場所だとか、今の高校にしたのは近くに大きな図書館があるから決めただとか、そんなことも教えてもらうショーコ。
ほどなくすると雑木林が終わるのですが、スイはここから先は傘が見られちゃうから、とショーコにストップをかけてきました。
スイは雨が止むまでここでうろうろしていたようなのですが……それならば、とショーコは、雑木林を出たすぐのところにある自分の家によってくれれば傘を貸せる、と提案。
半ば強引にスイの手を引き、自宅へ連れ込むのでした。

そのままか差を貸してサヨナラもなんですから、お茶をご馳走することにしたショーコ。
自分の部屋で落ち着いたこともあり、改めてあの能力に触れてみることにしました。
頭の中で部品を思い浮かべ、想像の中で組み立てる。
上手く行けば現実に引っ張り出せる。
そんなスイの説明を聞くと、ショーコはあのハサミを使っていた時にした物音のことを思い出しました。
早速その事を聞いてみると、やっぱりあれは彼女の作った透明なハサミだった様子。
ワクワクしてきたショーコ、透明なハサミを見せてくれとおねだり!
あまり気のりした感じではないスイですが、透明なハサミを作ってくれまして、それで紙を一枚切ってくれました。
凄いよ!と大感動するショーコ、頑張ってこの高校入って良かった、クラスにエスパーいるし、家から近いし、と喜びまくりです!
スイはこの力のことは誰にも言わないでね、とショーコにお願いしてくるのですが、ショーコは言うわけないじゃんと二つ返事!
こんなすごいこと誰にも言わないよ!
なんか私今日いちいち嫌なことばっかりでさ。
でも失恋のショックなんてもうふっとんじゃったよ!
こんなにびっくりしたの、あれ以来!
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緑茶も紅茶ももとは同じ葉っぱだって知った時以来だよ!!
……真剣な顔でそう言うショーコ。
そんな顔を見て、スイは思わず吹き出してしまいました。
思いがけない反応に、ショーコは何か馬鹿なこと言った?私頭悪いから、と視線をそらしてしまうのですが、スイはすかさずフォロー。
そうじゃないの、笑ってごめん、狛江さんの言ったことがあまりにもかわいかったからつい……
狛江さんてモテそうだよね、
おそらく今までいろいろと悩みの種にもなっていたであろう能力のカミングアウトを、お茶の葉っぱと同レベルと言ったことがうれしかったでしょうか。
スイもショーコに交換を抱いたようで、失恋ってつらい?と彼女からも質問をしてきました。
スイは今まで本気で誰かを好きになった事がないから、失恋も良くわかないんだ、とのことで。
ショーコは惚れっぽい性格のようで、そんな人もいるんだ、不思議に思いながらも、この能力の方が何倍も不思議だけどね、と切ってもらった紙を見ながらつぶやきました。
何もないのに、空白なのに「ある」。
クッキーのくりぬいた記事の方とか、ドーナッツの穴みたい。
スイの能力をそんな風に表しますと、スイはまた笑います。
本当にかわいいね狛江さん、きっとモテるようになるよ。
スイにそう言ってもらったショーコ、突然あっと声をあげ、スイにこう言いました。
好きな人ができると楽しいよ!
私スゴイいい奴持ってるから貸してあげる、返すのはいつでもいいからさ!!

ショーコが貸してくれたのは、なんだか可愛らしい猫のキャラクターがたくさんプリントされた可愛らしい傘でした。
その傘を差しながら自宅に帰るスイ、ショーコのことを思い起こしながら足をすすめます。
「恋がやってきそうな傘」って言った猛ド、よくわからない。
恋愛とか別にいいのに、不思議な人だな狛江さん……
そしてその時、当のショーコはあの紙を見つめながらうなっていました。
なにこれ、小テストの100倍わけわかね。
やばい、すごいドキドキする……
ああ、何か、何か始まりそうだ。




と言うわけで、不思議な能力を持つスイと、独特の感性を持つショーコが出会って幕を開ける本作。
この後、ショーコはスイにもうアプローチをかけ、仲良くなろうと迫ります。
最初は能力をあまり知られたくないスイは、あの日の事をなかったことにしようとしらばっくれるのですが、ショーコの好奇心はそんなことでは止まりません!
結局彼女の勢いに押され、そしてちょっとした事件なんかも経て、二人はなかよしに。
ひとりぼっちだったスイにもショーコと言う友達ができ、ショーコも秘密を共有するなかよしさんができ、楽しい日常が始まる……と思われたのですが……!?

この後物語は、思いもよらない方向へと進んでいきます。
スイを悩ますことになるある事態。
そこから、彼女の能力がとんでもない方向へ暴走していき……?
嫌な空気も漂い始めてしまうなか、ショーコは?
そんな不穏な色合いも見え始めた本作、さらにその後物語はさらに予想外の方向へ……!?

淡々としたリズムで、不穏な空気とコミカルな場面、思いがけないの展開を描いていく本作。
途中まではドラマチックで引きこまれる展開ながら、ある程度予想できる流れでしたが、今巻の終盤で向かう展開は誰も予想できないはず!
これからどうなっていくのか、先が気になってしまうことでしょう!
ショーコとスイのそれぞれの魅力もあって、引きこまれること間違いなしの本作、目が離せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!