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今回紹介いたしますのはこちら。

「ガンニバル」第9巻 二宮正明先生 

日本文芸社さんのニチブンコミックスより刊行です。


さて、警察隊と後藤家の激突は、狂気としか言いようのない後藤家の攻撃により、とんでもない状況へ陥ってしまいました。
さらにその裏では、有希とましろのもとに後藤家の魔の手が迫っていて……!



有希とましろに迫る魔の手は、ギリギリのところで食い止められました。
大悟の鬼気迫る大立ち回りのおかげ、でもあるのですが、なにより二人がまだ毛が一つなく健在なのは、恵介の力によるところが大きいのです。
誰にも死んでほしくない、そういった恵介ですが、「誰も」とは後藤家の者たちだけではなく、大悟の家族も含まれていました。
ですがだからといって全面的に大悟の見方をしてくれるわけではありません。
トンネル内で行われた有希とましろへの襲撃が一段落ついたとき、その場に立っているのは恵介だけ。
後藤家の真や一、後藤家内でも現状を良しとしない洋一、後藤家の「兵隊」である岩男、そして……大悟。
程度の違いはあれど、皆一様に地面に倒れています。
恵介はそんな中、岩男とかつて交わした会話を思い出していました。

俺は本家の兵隊や、つまるトコ銀ばあちゃんの兵隊やった。
やったが、ばあちゃんは今日死んだ。
今日からは次の当主であるお前の……俺はお前が生きるためなら何でもするぞ。
自分のためなら死もいとわない。
そんな岩男の気持ちはもちろんうれしいですし、人間の常識を超えていると言っていいほどの体力を持つ岩男が守ってくれると言うのは頼もしい限り。
ですが、岩男自身はそれでいいのでしょうか。
先代の当主だった銀の言うなりになったまま、恵介のために生きる。
それが岩男自身の幸せなのでしょうか?
しかし岩男は言うのです。
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人には役割ゆうもんがある。
兵隊には兵隊の、当主には当主の。
そこには個人的な感情なんぞ要らん。
俺はその役割果たすだけの命でいい。
……それだけで岩男の言葉が終わっていたら、何の感情もない機械の様な男だと思っていたかもしれません。
ですがその後、岩男はにやりと笑って言うのです。
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まあおまえとは、役割だけの間柄やと思っとらんけどな。

そんな岩男も、今は瀕死の重傷を負ってあおむけに倒れています。
恵介の言っていた、誰にも死んでほしくないと言う言葉。
その言葉を口にするには、恵介の覚悟は甘いと言わざるを得なかった……
そう思い知らされる恵介ですが、まだ恵介にはやらなければならないことがあるのです。
俺は俺の役割を果たす。
恵介はその手にナイフを持ち……有希とましろの方へと向かっていくのでした!!

その時恵介の脳裏に再び過去の出来事がよぎります。
物言わぬ亡骸となった銀の前に座り、恵介は岩男に言われた「役割」について話しかけていました。
ばあちゃん、あんたの役割は何やったんや?
この家を守っていくことか?
俺の役割は何や。
アンタがみんなに刷り込んできた呪い引き継いでこの家を守ってくことなんか!?
その時の自問自答に、恵介は今ハッキリと答えを出したのです。
違う!
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あんたのその呪いを断ち切ることが俺の役割や!
恵介は手にしたナイフで、有希とましろを縛っていたロープを斬り、早く逃げろと促したのでした!!

敵だと思っていた後藤家の男に救われる形になった有希達。
ですが気絶してしまっている大悟を置いて行くのははばかられます。
傷も負っていますし、なんとか一緒に連れて行きたいのですが……
有希やましろの力では、大の男を担いで村から逃げることなど到底不可能です。
俺が何とかする、俺を信じろ、と恵介は有希を説得し、なんとか逃げ出させるのです、、が。
そこに、足音が近づいてきます。
有希達が追いつかれないか心配……する間もなく、その足音はみるみる近づいてくるではありませんか!!
足音が速すぎる!!
思わず目を見開いた恵介。
その目に飛び込んできたのは
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猛然と二人を追いかける、「あの人」だったのでした……!!


と言うわけで、以前予断を許さない状況が続く今巻。
後藤家と警察のぶつかり合いは、後藤家が勝った……かに思われましたが、なにせ警察は「国」なわけです。
当然負けたと言いますか、被害者が多数出ているまま放置することはあり得ないわけで……
狂気とともに走り続ける後藤家にはもう未来はないのかもしれません。
ですがだからと言って後藤家が止まることはないのです。
まだまだ祭を続けようと企む後藤家、ここにきて突如現れたあの人、そして衝撃的な事実が明かされるある真相。
後藤家の中で渦巻く陰謀と狂気がさらに深まっていくのです!!

さらにそんな狂気に駆られているのは後藤家だけではありません。
この騒動の真っただ中にいて、最も狂っているのは……大悟なのかもしれません!
家族を守る、その一点のためならば、平気で人を撃つことができる。
言葉にするのは簡単ですが、実際にするとなると普通ならばちゅちょしてっしまうところですが、そこで迷いなく打てるのが大悟なのです!
凶器と狂気が交錯するこの戦い、果たしてどうなっていくのか?
より血生臭く、より狂気深くなっていく本作からますます目が離せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!