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今回紹介いたしますのはこちら。

「赫のグリモア」第5巻 A-10先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


さて、羽生家の黒木野望を打ち砕くため、羽生財団の里へと向かった若葉たち。
激しい戦いの中で、様々な真実が明かされ、多くの血が流れ……
そして物語は大詰めへと向かっていくのです!!



若葉と乃恵瑠、そしてあかずきんと幸せな王子はついにそこへとたどり着きました。
邪なる陰謀の源泉、羽生和総、その目前に!
状況は4対1、圧倒的有利でもはや勝利は揺るがない……そう言いたいところですが、相手は戦争を戦い抜いた大魔導士。
強力な契約魔獣がいるかもしれませんし、魔筆があればとんでもない魔法を使ってこの場を逃れてしまうかもしれません。
星河は魔筆と魔獣の有無をよく確認してから戦うように電話越しに指示をするのですが、その声を聞いた和総はにやりと笑って何かのスイッチを押しました。
「魔筆」か、魔筆はあるかと聞いたな、ではお目にかけよう。
儂の「魔筆」はここにある!
課す房の背後に現れた「魔筆」。
それは……予知機(エニグマ)のコピーでした。
和総はキーボードの前に座ると、おもむろにりんごを取り出します。
儂の研究の第一歩はこれから始まった。
儂はこう考えた、この世界とは別の場所に、この世界の全てを記述する平面、「書庫(コーデック)」があるのではないか。
もしや魔筆が書き換えているのはそのコーデックに納められた「情報記述(ソースコード)」そのものではないか?
この世界の全ては、魔筆などに頼らなくとも、コーデックに接触出来るエニグマならば直に書き換えられる。
コーデックに納められた対象の場所さえわかってしまえば、大きさ、色、質量、崩壊寿命、自由自在よ!!
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そう言って、和総は自らが打ち建てた仮説を、取り出したりんごを巨大化させることで証明してみせたのです!!
目の前でその力を見た若葉は、和総の手にした力の強大さに恐怖を隠し切れません。
歯向かった人間どころか、その木になれば星だって砕ける、邪悪な望みが何でも叶ってしまう、そんな力であることがわかってしまったのですから!
すると和総は、自分のアドレスを突き止め、寿命を消し、限界を消し、「永遠」を手に入れるまでの光景を見ていろ、と笑います。
それを聞いたあかずきん、それならまだ和総が自分のアドレスが見つかっていないと自分で白状しているようなものだ、とすかさず斬りかかったのです!!
赤ずきんにかかれば、今の和総などただの老人も同然!
一撃のもとに両断できる、はずだったのですが……
そこに現れたのです。
和総の魔獣……
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詩枝瑠が!!

ようやく会うことの出来た詩枝瑠に、乃恵瑠はこの戦いで起きたことを、そして自らの思いをぶつけます。
詩枝瑠が和総の言うことを聞いているのは、弱みを握られているからではないのか?
そしてもし乃恵瑠を「弱み」だと思っているならもう心配はさせない!
だからいっしょに……!!
見違えるように力強い石のこもったその言葉。
ところがその言葉を聞いた詩枝瑠は、おかしくてたまらないと言った風に笑い始めました。
一体何がおかしいと言うのでしょうか?
激昂する若葉を見て、和総はさらに笑い……詩枝瑠にそろそろ教えてやれ、と声をかけるのです。
そして……詩枝瑠から出てきたのは、耳を疑いたくなるような、とんでもない言葉でした。
何がおかしいって、だって、そもそも私さ……
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羽生詩枝瑠じゃないんだもん。
……絶句する乃恵瑠。
では今目の前にいる詩枝瑠は何なのでしょうか。
彼女は……「玉藻」。
書の魔獣、玉藻前……!!

彼女がその本性を現した瞬間、あかずきんと幸せな王子は戦慄します。
あのあかずきんでさえも、玉藻の目で見られただけで、心臓を握られたかのような悪寒が全身を推そうと言うではありませんか。
それでも、ここで真っ先に飛び込まなくてはならないのがあかずきんと王子です。
玉藻がどれだけの力を持っているのか、どんな能力を持っているのか。
それを暴くことで、若葉たちに戦力を見極めてもらおうと言うわけです!!
あかずきんと王子は、息の合った連携で二手に別れ、左右から同時玉野に襲い掛かります。
ところがその前に、やめてと言う叫び声とともに乃恵瑠が割り込んでくるではありませんか!!
いきなりの出来事に、あかずきんと王子、は仰天し……
そのせいで、一瞬行動が遅れてしまったのでしょうか。
いや、そんなわずかな遅れなど全く関係はないようです。
玉藻は紙一本。指一本動かすことなく、あかずきんと王子の腕を切断したのですから!!
何が起きたのかすらわからず、地面に這いつくばる二人。
……あかずきんは玉藻の異常ともいえる力の理由を分析します。
玉藻は「憑依型」と呼ばれる魔獣で、強大な力を持つ代わりに自分だけでは具現化できず、人間を一人「生贄」にして具現化するのだ、と。
衝撃を受ける乃恵瑠に追い打ちするかのように、和総は言いました。
玉藻は大食いで燃費が悪い、優れた肉体と魂を玉藻に提供する、これこそ羽生家家督相続者の役目。
貴様がゲゼルシャフトで詩枝瑠に再会した時には、とっくに本物の詩恵瑠は死んでおるわ。
……もう詩枝瑠は取り返しがつかない状態になってしまったのか?
嘘だと言って、と涙とともに叫ぶ乃恵瑠ですが……
玉藻は、あんただってうすうすおかしいと思わなかった?あのおとなしい詩枝瑠が急に豹変するなんて、と冷たい瞳で見つめます。
ですが乃恵瑠は泣きながら、ああそうか、いつもの意地悪なんでしょ、いいよ、私にだったらいくらでも意地悪していいから、どうか「おねえちゃん嘘だよ」って言って……と、玉藻に語りかけるのです。
すると玉藻は、お姉ちゃん、とつぶやいて……乃恵瑠を弾き飛ばしたのでした!!
本当に馴染むわ、この詩枝瑠の体は。
……そして、その時はやってきてしまったようです。
和総はその顔をさらにいやらしくゆがめて笑いながら……こう言いました。
待たせたな。
思えば長かった、だがついに捉えた。
見よ!この文字列こそ我が名に間違いない。
そう、これこそ……
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この世で最も新しい「神」の名!
「羽生和総」の名だ!!





と言うわけで、とうとうクライマックスを迎える本作。
おそらく和総の言うエニグマの力はハッタリや妄想などではなく、本当にその身体を不死にすることもできるでしょう。
ですが、仮に不死身になったとしても、ここでもうダメだとあきらめるわけにはいきません!!
殺すことができないなら殺すことができないなりにどうにかする手段があるはずです。
書の魔獣の力を駆使すれば、不死の相手を倒すことも不可能ではない、かもしれません!
4人は和総の野望を打ち砕くことができるのでしょうか?
最強の敵である玉藻を倒すことは?
とっくに死んでいた、と言う詩枝瑠を助けることは本当にできないのか……!?
泣いても笑っても物語は佳境!!
誰が死んで誰が生き残るのか、最後に笑うのは誰なのか、心から笑えるものはいるのか!?
この後も血飛沫が容赦なく飛び散る壮絶な戦いが連続し、更なるどんでん返しが控えています!!
最後の最後まで目の離せない怒涛の物語、ぜひとも皆様の目でご確認ください!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!