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今回紹介いたしますのはこちら。

「忘却のサチコ」第15巻 阿部潤先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、失恋のショックを癒す云々よりも、すっかり食の喜びそのものに目覚めたサチコさんの毎日を描いていく本作。
今巻でもサチコさん、仕事に食事にと精力的な活動をしちるようですが……?



ある日の事。
良くも悪くもいつも元気な編集長が、何やら肩を落としていました。
そして編集部の皆を会議室に集めたかと思いますと、こんな発表をしたのです。
長らく病気療養中だった副編集長の後任が来ることになった、と。
どちらかと言えば喜ばしいことな気がしますが、なぜ編集長はこんなに浮かない顔をしているのでしょうか。
それは、やってくる副編集長がかなりの曲者だからなのです。
新しい復縁酋長の名は、椿。
彼はこの出版社の漫画誌で、主力となるヒット作三本すべてを立ち上げたと言う、物凄い有能な人物らしいのです。
そんな人が来るなら、サチコさんと二枚看板で「さらら」は安泰じゃないか、とむしろウェルカムな一同なのですが……
そこに、件の椿がやってきました。
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見た目はダンディなおじさまと言った感じの彼。
今度から副編集長になる椿です、と軽く挨拶をしました。
編集長は、親睦会も金てこれから飯でも食いに行こうかと言うのですが、椿は正式な事例は来週からだから、とさっさと帰っていってしまうでした。

どうも椿、あまりみんなと仲良くしていこうと言う男ではないようで。
その後正式に副編集長になってからも、ほとんど編集部に姿を見せないのです。
前の漫画誌の編集だった時もそうだったようで、いわゆる仕事ができる変人、と言う扱いを受けていた様子。
そんな椿がふらりと編集部にやってきました。
すかさずサチコさんは、自分の担当のページの校正が住んだので確認してくれ、と椿に差し出したのですが……
ちょうどその時、5時を告げるチャイムが鳴り響きました。
すると椿、明日来たら見とくから、と立ち去ってしまうのです。
基本的に5時以降は校正を見ないからよろしくね、とのこと……
あっけにとられるサチコさんを横目に、編集長は大きなため息をつきました。
何でも編集長、新入社員だったころの椿の指導員だったとのことで。
入社したての椿は、今とは正反対のバリバリ働くやつで、ちょうど今の幸子さんみたいな感じだっと言うのです。
……あのいい加減な椿と一緒にされたサチコさん、相当ムキムキ来ているようですが……
自分の様だったと言う椿がああなったのは何故なのでしょうか。
そのあたりは編集長も知らないようで、どうにもすっきりしないのです。

数日たっても、椿は適当なまま。
小林が直しが入った部分のアドバイスをもらいに行っても、「直し」は「直し」だろ、取り合わず。
小野寺もどうしても見て欲しかった原稿が見てもらえず、たまりかねて代わりにサチコさんに校正を頼んでくる始末。
サチコさんはやむなくそれを引き受けるのですが……湧いてくるのは不安ばかり。
編集部はこのままでいいのか?
椿副編集長に何があったのか……?
悩めば悩むほど、仕事は進まず……お腹は減って来てしまうのでした!!

とりあえず仕事を済ませた後、会社を後にするサチコさん。
椿に引っ掻き回されていることもあり、今日もとっぷりと日が暮れてからの帰社となりました。
人にはそれぞれ事情がある。
それがわかっていても、やはり椿の変貌は気になり、そしてお腹は減ってしまうのです。
そんなサチコさんの目についたのは、
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「ルッコラの海に溺れるクロックムッシュ」。
なるほどお皿いっぱいにたっぷり盛られたルッコラはさながら海。
その中に鎮座するクロックムッシュは、カリカリにやけたパンの中から顔を出すハムとチーズの濃厚な味わい、そしてそれをまろやかに包み込むはちみつの甘味がたまらない味わい。
さらにガーリックが後を追いかけてきて、なんそうにも重なる甘さと塩味のハーモニーが爽やかな一品なのです。
ルッコラに散らされた岩塩も良いアクセントになっていて、こってりとしたクロックムッシュをさっぱりとしたサラダ仕立てに変えてくれ……
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それはまるで爽やかな海をぐんぐんと泳いでいるようで……!

翌日。
小野寺が椿に、サチコさんに見てもらったからざっと見ればいいんじゃないかといやみ交じりに原稿を渡すのですが……椿はあっそ、そりゃ楽でいいねと全く取り合いません。
いい加減すぎる椿に、さすがの小野寺もブチ切れそうになるのですが……
そこで椿宛ての電話がかかってきました。
なんとそれは……ノーベル文学賞候補の柴崎先生が、話をしたいと言う電話だったのです!!
突然の大物からの電話に騒然とする一同。
ですが椿は普通のテンションでその電話を受け……そして、受話器を置いた後言うのです。
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よし、じゃあ佐々木、今から一緒に行けるか?



と言うわけで、新たな副編集長、椿が登場する今巻。
この椿と言う男、普通の仕事は適当そのものであるものの、どうやら仕事を取ってくると言いますか、立ち上げに関しては誰よりも有能である様子。
ノーベル賞候補作家とアポを取れるのも、椿の実力ゆえなのでしょう。
ですが今回はそのまま仕事を取ってくるのではなく、サチコさんを帯同しようとしています。
これは一体どういうことなのか?
この後、サチコさんは椿によって、とんでもないことを言いつけられてしまうのです!!

なんとこのお話、なかなかの長編シリーズとなるようで、本作では珍しい巻またぎのシリーズになる様子。
果たしてこの椿と言う男は、この編集部に、そしてサチコさんに何を齎すのか?
俊吾さんがらみのお話にはならなそうですが、サチコさんの仕事面に関しては大きな変化が起きそうな注目のシリーズとなるようです!!

その他にも様々なお話が用意されております。
ジーニアス先生をはじめとした作家の皆さんの活躍するお話に加え、今回はサチコさんと同僚の橋本さんの関係や、あのめんどくさい尾野さんとのお話など、様々な人物のお話が展開。
勿論それぞれに絶品料理が登場しまして、今巻も見どころいっぱいなのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!