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今回紹介いたしますのはこちら。

「サエイズム」第9巻 内水融先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、なんとか冴のもとから逃げ出すことができた……はずの美沙緒。
ところが美沙緒、冴に本当のお別れを言おうと言ったん屋敷に戻ってしまい、そこで田鶴と出くわしてしまいます。
そして、美沙緒が冴の元に戻ることを良しとしない田鶴によって、瀕死の重傷を負わされてしまい……!



美沙緒が目を覚ますと、そこは見たことの無い部屋の中でした。
そして美沙緒が寝ているベッドの傍らには冴がいて、美沙緒の手当てをしています。
おはよう美沙緒、よかったわ、意識が戻って。
当たり前のようにそう声をかけてくる冴に、美沙緒はここがどこなのかを聞くのが精一杯でした。
冴はすんなりと、笑顔で教えてくれました。
ここは「会伝館(えでんかん)」。
私の隠れ家よ、と。
前の屋敷ほど置きくないけどステキなおうちだから、美沙緒が回復したら案内してあげる、と笑う冴。
それを聞いて、美沙緒は自分が田鶴によって重傷を負わされたことを思い出しました。
この手当てをしてくれたのは冴なのか、と尋ねると、冴はそうだと答えます。
そして、無理しちゃだめだから、今は体を治すことだけ考えて、もう田鶴はいないから安心してね、と言いだして……!
田鶴がいない、とはどういうことなのでしょうか。
美沙緒が尋ねようとしても、「いないものはいないの」と拒絶するかのように言葉を遮られてしまうのです。
それでも美沙緒は、家に帰りたいと冴に頼もうとするものの、冴は聞く耳を持ちません。
美沙緒の腕に、何やら注射を打ち……
私は今夜出かけなきゃいけないの、その間しっかり眠って体を治してね。
美沙緒が完璧な体に戻ってから、初めて私たちの生活が始まるんだから。
冴はそう囁くのでした。

三日後。
ベッドから起き上がれるくらいには回復した美沙緒を車いすに乗せ、庭を案内する冴。
あれからの三日間、冴は美沙緒にひたすら優しくしてくれたのですが……さすがの美沙緒も、冴が美沙緒の大切な人たちにしてきた仕打ちを許すことはできません。
恐怖を押し殺し、美沙緒は冴にはっきりと告げることにしました。
私、知ってるの。
冴ちゃんがしてきた子と、ほとんど全部!
スマホがないから証明できないけど、蘭先輩から全部聞いたの。
大怪我を治療してくれたことは感謝してる、でも……
パパやママや友達をあんな目に遭わされて、私、冴ちゃんを許せないよ!!
一緒にいることなんてできない、無理すれば歩けるし、もうここから出て行くよ。
サヨナラ……!!
今まで美沙緒がなかなかいうことの出来なかった決別の言葉。
それを聞いて、冴は
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ダメーッ!と、おどけて拒否したではありませんか!
美沙緒が何を言っても、ダメ、と返答……!
確か古海から聞いた情報によれば、冴に一番ダメージを与えられるのは美沙緒からのはっきりした拒絶の言葉のはず。
だと言うのに、彼女は平然としているではありませんか!
そして冴、開き直って全てを明かし始めます。
蘭ちゃんから何もかも聞いちゃったか、それじゃ隠し立てしても仕方ないね。
一年前、美沙緒の目の前で雷に打たれた「冴」。
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彼女と私は、別人よ。
私は「スペア」、田鶴の用意した「スペア」なの。
冴は衝撃的な事実をあっさりと明かしていきました。
今の冴は、真木家を存続させるため、冴に何かあった時に替え玉にするためのスペア。
といっても赤の他人ではありません。
去年死んだ9代目冴の二代前、7代目冴の産んだ「双子」の片方を、田鶴が確保し、こっそりと離れた場所で生活させていまして、今の冴はその双子の片割れの娘だと言うのです。
いわば従兄弟にあたる今の冴ですが、それにしてもにすぎている気がします。
そこを尋ねると、冴は目を輝かせ、そりゃそうだよ、すっごく練習したんだから!!と答えてくれました。
一年前、突然訪ねてきた田鶴から「冴」を継ぐように言われた冴。
最初はそんな話、ウケるつもりはなかったと言うのですが、田鶴に渡された膨大な資料の中から……見つけてしまったのです。
美沙緒を。
美沙緒の表情、美沙緒のしぐさ、美沙緒の声。
何もかも自分のものにしたい、この子を手に入れるためならすべてを失ってもいい!!
そう考え、今の冴は決意したのです。
9代目冴の生活をそのまま受け継ぎ、そして……美沙緒を手に入れる、と!!
冴の目的。
それは、田鶴の求めていた真木家の存続などではありません。
美沙緒と、「会伝館」でいつまでも幸せに暮らしていくこと……!!

改めて拒絶の言葉を口にしても、やはり今の冴には効きません。
さらに恐ろしいことに、実はこの冴、以前の冴や美沙緒の一つ年下だと言うではありませんか。
「冴」は18歳で死んでしまう。
そのはずなのですが、この冴の母親は、「冴」を受け継いでいなかったせいか、19歳でこの冴を生んだとのこと。
この冴が「冴」を受け継いだことで、18歳で死ぬ呪縛を受けてしまったとしても……まだ、1年の時間があるのです!!
1年も、この冴と二人きりで過ごす……?
以前の冴以上に、異常な行動をとり、容赦のない今の冴。
彼女と1年も一緒に過ごせば、どうなるかわかったものではありません。
一刻も早くここから逃げ出したいところですが……それも難しそう。
冴は、にこやかにこんな動画を見せてきたのです。
大怪我を負った美沙緒の治療に当たっている時の様子を撮影した動画。
……そこには、処置の最中にわき腹を切開し、何かを埋め込んでいる様子が撮影されていたのです。
冴は、ここに同じものがあります、とその埋め込んだ何かと同じ形のものを取り出し、パチンコの玉にして上空に打ち出しました。
すると
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それは、空中で大爆発を起こしたではありませんか!!
ミニ爆弾、埋め込んじゃいました!!
館の中から出てる電波を受信している限り絶対に爆発しないけど、50メートル以上離れると電波が受信できなくなって美沙緒は爆発しちゃうの。
哀しそうにそう言ったかと思うと。冴はまた笑顔になってこう言ったのです。
今はどんなことを考えていてもいいわ、私のことを嫌いでもいい。
それでも必ず、
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美沙緒を私好みに変えて見せるから。
どんな手を使ってでも!!



と言うわけで、冴の狂気がますます加速していく今巻。
彼女の謎と、その目的が明かされたものの、それを知ったところで彼女の異常性がさらに露わになっただけでした。
美沙緒はとにかくこの場から脱出しようと様々な手を考え、様々な手を実行しようとするのですが……
「隠れ家」だというこの会伝館、そう簡単に脱出できる場所ではなさそう。
同時に、今まで幾度も助けの手を差し伸べてくれた蘭たちも、この場所を探り当てるのは難しそうで……
果たして美沙緒は、冴の魔の手から逃れることができるのでしょうか!?

そしてこのシリーズが始まる前、今巻の前半に収録されているお話も注目です。
こちらも謎が多すぎたあの田鶴の素性が明らかにされ、なぜ彼女があそこまで真木家に執着するのか、と言うことが明かされるのです。
こちらも必見のエピソードとなっておりますので、お見逃しなく……!!

そんな物語の中、内水先生がなぜか突然ブッ込んでくるギャグ的な表現も健在です!
様々な顔芸やシュールなシーンが挿入されていくわけですが、今巻のラストはそっち方面で締めくくってくれます!!
どんなシーンなのか、是非とも皆さんの目でご確認ください!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!