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今回紹介いたしますのはこちら。

「オッドマン11」第2巻 道満晴明先生 

コアマガジンさんのメガストアコミックスより刊行です。


さて、伊丹(弟)の彼女の座を射止める為、9人いると言う(弟)の元彼女を倒す(?)事になったセツ。
学校に11人しかいないオッドマンのうち、9人がその元彼女(ちなみに(弟)もオッドマンの一人!)という、普通の人間である説には厳しすぎる試練となる、かと思われたのですが、元彼女達は大体みんなセツに惚れてしまいまして……?



年の瀬も迫り、すっかり冷え込んできたころの事。
行住坐臥古ネイキッドのオッドマン、キヌもあまりの寒さに思わず丸まり移動してしまう気候が続いておりましたが、まだ雪が降る感じではありませんでした。
空を覆うどんよりとした空。そんな空を見つめて、オッドマンのたたちは丁度いい塩梅の天候じゃ、と頷いております。
指定した品は容易で来たかの?と崇りが振り向きますと、そこにいたのはやっぱりオッドマンのイカちゃん。
イカちゃんはばっちりでゲソ、と答えようとしたものの、どうしても「鶏の首」が手に入らず、鶏の胴体をもってきておりました。
そこまで用意できたんならもうちょい頑張れ、とツッコむ崇りなのですが……とりあえずそれでもOKの様子。
これで念願の「降雪の儀式」が行えるのです!
それ以外に持ってきた数々の触媒と、イカちゃんの「儀式を成功させたい」と言う気持ち、それさえあれば儀式は実を結ぶのだとか。
成程、昔のアニメによくあった、苦労して見つけ出した宝箱が空っぽだったっていうアレでゲソね、と例えるイカちゃんに、真の寶は友情じゃとか言いだすアレじゃ、と肯定するたたり。
そう言えば最近うちの連中もずいぶん仲がいいでゲソ、と思い立ったイカちゃんに、崇りはこう返します。
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空の宝箱を見つけたのかのう、ワシは一足早く卒業してしまったが。
今の学園生活を送れているお前たちが羨ましいぞ。

雪が降り始めました。
ひとり家に帰ろうとしていたセツ、球に振り出したユキに驚くものの、幸い置き傘がしてあったためすんなり帰途につくことができました。
と、そんな時、傘もささずに一人歩いている、中東部の制服を着た女の子が目に入りあんす。
キミ、風邪ひいちゃうよ。
そう言って彼女に傘を差し出すと、その子はありがとうございますセンパイ、とお礼を言ってきます。
「センパイ」。
いつもは呼ぶ専門だったその甘美な響きに打ち震えてしまうセツ、どこまで行くの、と彼女を家まで送ってあげることにしました。
すると彼女、学生寮まで行きたいと言うではありませんか。
オッドマンの皆さんも多く住んでいる学生寮、それならばセツもよくわかります。
彼女を送りがてら自己紹介をしますと、彼女が読んでくれる「逆叉先輩」と言うワードに打ち震え……たのはどうでもいいとしまして、その子の名前が「正義」だと言うことがわかります。
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セイギちゃん、かっこいい名前だね、とセツは彼女とともに学生寮に向かうのです。

その道すがら、あれこれと会話する二人。
ほどなくすると、正義もまたオッドマンだと言うことが判明。
正義は、高校生になればオッドマンの皆とおそろいの制服が着られるから嬉しい、と言うのですが……
そのままこんな話を始めました。

少し前に仲間の一人からメールが届いたんです、彼女ひどく困ってるみたいだった。
部外者が仲間の間に割り込んできて、メンバー同士でもめているから、私に仲裁に入って欲しいって。
なので、今から寮に行ってその部外者の話を聞きに……
と、その時でした。
キヌときらら、そしてワンの三人が説たちの方に駆け寄ってきて、必死にこう叫ぶのです!
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セツ逃げろ、そいつから離れて!!
……その叫び声を聞いて……正義は納得したように、セツの方を見ながらつぶやき始めたのです。
「セツ」……そっか、メールには「セッちゃん」って書かれてたから、すぐに気がつけなかったです。
貴女が私の仲間を傷つけたんですね。
そう言うと正義は、頭部だと思っていた部分を巨大な口に変形させ……
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セツの頭を、噛み千切ってしまったのです!!


と言うわけで、まさかの形でクライマックスを迎える本作。
オッドマンの皆さんならまだしも、普通の人間のはずのセツが首を切断されて生きているはずがありません。
……が、そこは道満先生作品ですし、周りを取り巻くオッドマンの皆の力やら、セツが自負していたどんな怪我でもコミックZINに行けば治ると言うギャグやらがあれば、なんとかなる……と信じたいところ!!
セツとオッドマンたちの物語は、どんな結末を迎えるのか!?
ここから一気にフィナーレへと向かっていく怒涛の展開、この衝撃の事件で幕を開けるのです!!

そんなこんなで完結を迎える本作ですが、前半には第1巻の流れのオッドマンの皆さんに愛されまくりながら、その愛をうまく受け流しつつ皆をいい感じに導いていくお話が展開。
勿論下ネタやシュールなギャグ、細かなパロディやフェチ描写がこれでもかと詰め込まれている、道満先生らしい味わいが楽しめます!
後半の怒涛の展開から、本編最終回とその後のおまけでキッチリいい感じに落としてくるのもまた道満先生らしさ!
カバー下のおまけなども含め、最後の最後道満先生味を楽しめる一作となっております!!
今度こそ冗談でしょうが、あとがきのアレも楽しみですしね……!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!