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今回紹介いたしますのはこちら。

「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」第4巻 原作・中村力斗先生 作画・野澤ゆき子先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、羽香里奪還に成功したどころか、羽香里の母である羽々里ともお付き合いが始まり、ファミリーが減るどころか増えてしまった恋太郎。
今巻でもやっぱり恋人は増えてしまうのでしょうか……!?



ある日のお昼休みの事。
いつものようにファミリーで集まり、お弁当を食べようとしていたのですが、いざというところで楠莉がお弁当を忘れてしまっていたことに気が付きました。
瞬間、恋太郎は自分のお弁当を楠莉に提供し、自分の昼食を購買まで買いに行くことにしたのです。

この間わずかこのお話開始一コマ、すさまじい速さで購買までやってきた恋太郎。
たまたま目に留まった、トーストに目玉焼きがのっためだまやきパンに手を伸ばしました。
すると同時に、女の子の小さな手が伸びてきまして……
その女の子と目があいますと、
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いつもの運命の人に出会った時の衝撃が襲い掛かったのです!
よく恋愛ものでは本屋さんの本でやるアレがまさかのパンで巻き起こったわけですが、よくよく見ればその女の子、中等部の制服です。
思わずそのことを口にしてしまう恋太郎ですが、すると彼女、なんか文句あんの?とかみつかんばかりのさっきのこもった瞳でにらみつけてくるのです!
中等部だから高等部の購買に来ちゃいけないなんて校則ないから、手どけてくんない?
と、運命の人とは思えない当たりの強さでそう言い放つ彼女。
ところが、お会計しようとしたところで財布を忘れてきてしまっていたことに気が付いたようで……パンを戻し、すごすごと立ち去っていくのです。
苛立ちを隠し切れず、舌うちなんかしながら去っていく彼女。
そんな彼女に、恋太郎は待って待ってと声をかけ、先ほどのめだまやきパンを半分さしだしたのです。
なんなのあんた、いきなり気持ち悪いんだけど、とこの漫画ではちょっと珍しい、でも普通なら当たり前の反応をする彼女。
まあそうだよね、とその反応に納得する恋太郎なのですが、他のも食べたいから半分でいいかなと思って、とそれでも渡そうとしますと……耐え切れなくなったのでしょうか、彼女のおなかの虫がくるくると鳴いてパンを求めてくるのです。
顔を真っ赤にする彼女に、少しでもその恥ずかしさを軽減できるよう、まあ人助けだと思って、とパンを差し出しますと、ようやく彼女も受け取ってくれるのでした。

中庭のベンチに一緒に腰掛け、さっそくパンを食べる二人。
彼女がパンを口にしますと、
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今までのさっきあふれる顔とは正反対の、ものすごいいい笑顔でおいしい!と声を張り上げるではありませんか!
その変貌ぶりに、思わず心の中で「誰!?」と突っ込んでしまう恋太郎、そんなに大好物だったのかと尋ねてみますと、なんでも後ろの席のクラスメイトが天空の城の映画の話をしていたのを耳にして、どうしてもこれが食べたくなってしまったとのこと。
確かにあれを見れば目玉焼きパンが食べたくなると言うのもうなずけます。
そんな話をしているうちに少し落ち着いたのでしょうか、彼女は自分の事を少し話してくれました。
なんでも彼女、すごく消化が早く、いつもお腹がすいていてイライラしているとのこと。
さらに「食べたいものがある」とどうしようもなくなってしまうんだそうで……
気分悪くさせてたらごめん、と謝ってくるのです。
いつも食べ物のことを考えてしまっている彼女、自分自身でも難儀しています。
黒板を見れば海苔マシマシ豚骨醤油ラーメンが食べたくなり、山崎さんが同じ空間にいればパンが食べたくなり、リンゴを見ればマックが食べたくなる……
その為出来る限り外の情報をシャットアウトしようと、フードを目深にかぶり、ヘッドホンで音を遮断しているんだとか。
それでも食べ物を食べる時だけは、香りも音も遮らず、全身全霊で味わう、と言う彼女。
そうしなきゃ食べ物に失礼だから、と両手を合わせてご馳走様を言う彼女が、悪い人なわけがありません!
立ち去ろうとする彼女に。名前を聞こうとする恋太郎。
すると彼女……ナンパかよ、キモいんだけど、とお腹を鳴らしながら睨み付けてくるのです!!
あっという間に消化しきってしまった彼女を見送るしかない恋太郎だったのですが……
実は彼女、心の中ではこんなことを思っていました。
なに異性にドキドキなんかしてんのさ、意味わかんないんだけど……ッ!

翌日。
メンチカツサンドが食べたいモードに入っていた彼女は、物凄いイライラとともに購買に向かいました。
ですが昨日人気ドラマで出てきたとかで、購買でも売り切れです。
苛立ちがマックスに達しようとしたその時、またも恋太郎が現れました。
中等部の購買まで何しに来たんだ、と突っ込む彼女ですが、高等部の生徒が中等部の購買に来ちゃいけないなんて校則はない、とやり返されてしまい……
コンビニに行けばあるからいい、と立ち去ろうとする彼女なのですが、カツサンドならあるけどそれじゃダメなのかと尋ねる恋太郎。
すると、どこが似てるの、こしあんとつぶあんくらい違うだろう、とハイレベルなブチ切れをする彼女……!
コンビニに走ろうとする彼女を、恋太郎は中等部が休み時間に校外に出るのは禁止だろう、どうしてもって言うなら自分が買いに行く、と生死しようとするものの、彼女はその手を振り払い、あんたにそんなことしてもらう筋合いないんだっての、うっとおしいんだよ!と怒鳴りつけ……
言いすぎてしまった、と言うことに気が付いた表情を一瞬浮かべた後、そのまま走り去っていってしまうのでした。

そん斬コンビニを回っても、まさかの全滅。
もはや彼女のイライラは頂点を越えてしまっています。
ですがそれは、食べたいものを食べられなかったイライラだけではありません。
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いつもイライラして周りに当たって、こんな自分に親切にしてくれる人にもあんな風に。
お腹ばっかすかせてイライラして、たった一つもいいとこなんかなくて。
なんなのあたしは……
怒りのあまり、イライラすらうせてしまい、とぼとぼと帰って行く彼女。
すると何と、校門の前で恋太郎が待ち構えていまして、彼女を調理室へ導き、そこでメンチカツサンドを差し出してきたではありませんか!!
まだまだいろいろ突っ張ったものの、結局食欲に負けてメンチカツを口にする彼女。
ひとしきり楽しんだ後、恋太郎にこのメンチカツサンドはどうしたのかと尋ねてみます。
恋太郎の返答は、「作った」と言うものでした。
残念ながら料理スキルに乏しい恋太郎、購買でハンバーグサンドとカツサンドを購入。
ハンバーグとメンチカツの中身はほとんど同じだと言う知識のもと、先生の許可を得て調理室を刈り、ハンバーグを揚げてカツサンドのパンとキャベツに挟んだ、と言う涙ぐましい努力の結晶なのです。
ケチャップを取るために水洗いしたハンバーグを揚げて大惨事になったと言う地獄も体験したそうで……
彼女は、なんでこんな名前も知らない、生意気でいいとこなんてない自分のためにこんなにしてくれるんだ、と問いかけます。
すると恋太郎、すごくあっさりといいところはある、と言うではありませんか。
俺は、食べ物を大切に思い心の底から美味しそうに食べる君の姿をとても魅力的だと思ったよ。
お腹がすきやすい体質だって言ってたけど、そんな君だからこそ、食べ物を愛することができるんじゃないかな。
美味しそうに食べる人と一緒に食べるごはんは、とってもおいしい。
君のそのいいところは、周りの人を幸せにできるとても素敵な魅力だと思うよ。
……恋太郎のその言葉に、堅牢すぎる彼女の牙城も崩れたようです……!
だったらあんたも一緒だよ、あんたと一緒に食べてると、ご飯がいつもよりおいしく感じるんだよ。
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だから、これからもあたしと一緒にご飯食べてくんない?
ほら、その、か、彼氏、とかになってさ……!
顔を真っ赤にして、そう呟くように告白してくる彼女。
恋太郎の返事は決まっています!
ありがとう、こちらこそ君と一緒にご飯が食べられるなんて願ったりだよ……!
そこでようやく彼女は名を名乗ってくれました、
中等部三年、原賀胡桃。
恋太郎もそこでようやく、よろしくね胡桃ちゃん、俺は高等部一年愛城恋太郎、と名乗ることができました。
ところが胡桃、そこでちゃん付けはやめろと言うのです。
何故なら……ちゃんこが食べたくなるから……!




と言うわけで、新たなヒロインが登場する今巻。
ですがこの胡桃と言うヒロイン、今までのヒロインとは一味も二味も違う部分がありました。
腹ペコキャラだけに……と言うわけではなく、割とみんな自然に溶け込んだ恋太郎ファミリーですが、胡桃はその性格上、あっさり打ち解けることはできません。
それどころか、恋太郎意外とは慣れあうつもりはない、と言うスタンスを取ろうとするのです!
まあ確かにすんなり受け入れる方が普通じゃない気もしますが……恋太郎からすれば、そう言うタイプのヒロインがいることも想定済みと言えば想定済み。
彼女のスタンスを尊重しつつ、幸せにしようとするのです。
ですが本作なのですから、そんなぎすぎすした関係を延々と続けるはずもなく……
この後、胡桃を中心としたシリーズ、まさかのフードファイト編突入!!
ファミリー総出で挑むことになるこのシリーズ、果たしてどんな戦いが繰り広げられ、どんな結末を迎えるのか!?
ひとつ確かなのは、本作だけでとんでもなくバカな展開が待っていて、バカバカしくも感動で来てしまう結末を迎えるであろうことだけです!!!

さらにそのシリーズを終えた後、いつもの馬鹿らしいお話をはさみ、またまた新たなヒロインの登場するお話に!!
とりあえず1巻に2人ペースでヒロインが登場しておりますので、このままいけば50巻くらいには終わる……のでしょうか!?
そんな新ヒロインにフィーチャーした衝撃の事実が明かされるおまけなどもばっちり収録し、今回もたっぷり楽しめますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!