jj0
今回紹介いたしますのはこちら。

「実験島」第1巻 原作・MITA先生 作画・岩葉先生 

小学館さんの裏少年サンデーコミックスより刊行です。


MITA先生は10年ごろから漫画原作者として活躍されていらっしゃいます。
主に裏サンデーを主戦場として、「ヒト喰イ」シリーズや「サツリクルート」といった、一捻り加えられたサスペンス系漫画を得意とされているようです。

岩葉先生は岩葉純希名義で16年ごろから活躍されている漫画家さんです。
19年ごろから現在の名義に改め、さらに精力的に活動されております。

そんなお二方がタッグを組んで描かれる本作、MITA先生の得意とするサスペンスホラー系の作品となっております。
そのタイトル通り、ある「実験」に主人公が巻き込まれてしまう作品となるようで……?



北里サトルは、一流企業ピースイン製薬に就職。
都内某所で行われる入社式に出席しました。
そこで悟は思いもよらない人物と再会したのです。
それは、いわゆる元カノの藤波ナナ。
彼女も同時にこの会社に入社した様子。
元カノと言っても、学生時代付き合っていた二人が、悟の引っ越しをきっかけに遠距離恋愛になり、そして徐々にフェードアウト、そして最後は自分の誕生日に連絡がつかなくなってしまった……と言う、煮え切らない最後を迎えていました。
悟はその後……いや、今に至るまで彼女との別れともいえない別れに引き摺られてしまっています。
この出会いをきっかけに、ナナとよりを戻す!
サトルは社会人としての最初の目標をそう設定するのですが……
なんとナナ、今はもうすでに彼氏がいるようで。
いきなりその目業を挫かれてしまい、悟は新たな目標を設定するのです。
jj3
誰よりも出世して、誰よりも頼られる人材になって、ナナを見返す!!
自分を振って新しい男にお熱になった事を公開させてやる!!
……そんな、割とひどい目標を!!!

入社式の翌日、4月6日。
朝から船に乗り、新入社員は人口170人ほどの小さな孤島に連れてこられました。
その島、鳴姫島にはピースイン製薬の創薬研究所が聳え立っております。
この研究所のある島で、新入社員は研修をするのだそうで。
島につくと早速新入社員が集められ、教育担当の笹島による、7日間の研修の説明が行われました。
マナーや知識を学び、毎日テストを行い、その後配属希望を聞く。
そんな簡単な説明の後、早速授業が行われました。
新薬の承認に欠かせない「治験」のこと、病院のドクターに使ってもらうために行う「MR(薬の営業)」のこと。
そして、MRで一番大事なのは「度胸」だと言う事。
そんなことを踏まえたうえで、早速度胸のテストをしよう、と新入社員すべてにあるものを渡しました。
それは、一錠の薬。
笹島は何の説明もなく、
jj1
全員それを飲むように指示したではありませんか!!
流石に不安を隠せない新入社員たち。
耐えきれなくなった1人が、立ち上がってこんなの飲むのがテストなのかと立ち上がって叫びます。
すると笹島、毒なんて飲ませない、中身は乳糖だ、と笑いました。
そんな言葉を信じたのでしょうか……一人の社員が薬を飲むのです!!
その社員、なんとほかならぬナナ!!
それを見たサトル、負けてられない、と薬を飲むのですが……
実はそれ、サトルが得意な口にした「フリ」。
jj2
基本的にビビりなサトル、飲む踏ん切りがつかず、飲んだフリでやり過ごしてしまったのでした……

翌朝。
朝の体操に出るサトル達なのですが、その中にある人物の姿がありませんでした。
それは志木と言う男性新入社員で、あのテストの後、俺は薬を飲まなかった、ヤバい薬だったら俺だけ助かるな、とカル口をたたいていた男でした。
体調不良で本土に還った、とさらりという笹島なのですが……
薬を飲まなかった、と言う人物だけいなくなった、と言うのはあまりに出来過ぎではないでしょうか。
サトルにはその会社に背いた物だけいなくなったと言う恐怖と、自分も薬を飲まなかったが大丈夫か、と言う不安が湧いてきて……
体操が終わった後も、呆然と立ち尽くしてしまうのです。
そんなサトルに気が付いたナナ、すぐぼーっとしてしまうところ、全然変わってないね、と笑いかけてきまして。
先ほどまでの不安もふっとんだサトル、自分が変わったことを見せてやる!と、研修一日目のテストでの復讐を誓ったのでした!!
が、なんということか、サトルは2位。
1位はなんと七ではありませんか。
ショックに呆然とするサトルですが、その耳に新入社員の噂話が飛び込んできました。
テストでいい点を取るために、ナナが笹島にアタックしたらしい、夜に部屋からいなくなっていた。
……彼氏がいるはずの彼女が、かつて自分の付き合っていた彼女が、そんなことをするはずがない。
サトルはそう信じたいのですが、不安はどうしてもぬぐえないのです。

サトルは、昼食の後二人でどこかに向かって行った笹島とナナの後を尾行しました。
ナナに勝つんだから、不正を暴かなければならない!!
そんな建前の元そっと後をつけて行きますと、「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた部屋に入っていったようです。
鍵も開いておりまして、サトルは勇気を出して後を追うのです。
扉の中は暗く、明かり代わりにするため携帯の夜間撮影モードを起動しようとするのですが、携帯を取り落としてしまいました!
音が経ってしまったため、見付からないうちに慌てて逃げ出すサトル!!
ですが方向を間違えてしまったのか、奇妙な場所に出て……奇妙なものを見てしまったのです。
……狭い一室に、何名かの男女が閉じ込められている部屋。
そしてその中で、アツい、アツいとうめきながら、
jj4
血塗れで歩き回る志木の姿を……!!
その直後、サトルは意識を失いました。
背後から襲い掛かって来た、何者かの一撃によって。
そして、薄れ行く意識の中で、男女の会話が聞こえてきます。
今の、見られたか?
大丈夫、私に任せて……




と言うわけで、奇妙な現場に居合わせ、恐ろしい光景を目撃してしまったサトル。
この後サトルは、さらに信じられない恐ろしい事態に巻き込まれていくこととなります。
得体が知れない「薬」、この島で行われている「実験」。
そんな恐ろしさとともに、他の新入社員とは何か違う様子のナナや、そこの見えない笹島、この後登場する様々なキャラクターたちと言った、謎多き人物の動向からも目が離せません。
そしてこの研修の地となる鳴姫島が孤島と言うこともあり、脱出もままならず、ナナも含めて誰が信用できるのかも分からない……
謎と恐怖が蔓延するこの島、何らかのよからぬことを謀っているであろうピースイン製薬から、サトルは逃げ出すことができるのでしょうか!?

そして本作の大きな仕掛けは、薬と実験だけではありません。
こう言ったサスペンス物で最近一つのブームとなっているある要素も加わり、物語は一層混迷していくのです!
一体何が起こっているのかすら把握しきれないこの物語。
物語が進むにつれて明らかになるであろう謎、見えてくるであろう真相を、今は待つしかないでしょう!!





今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!