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今回紹介いたしますのはこちら。

「世が夜なら!」第1巻 むちまろ先生 

講談社さんの少年マガジンKCより刊行です。


むちまろ先生は19年ごろから活躍されている漫画家さん。
当初は同人活動やアンソロジー単行本などで活躍されていたようで、別名義での活動などがなければ本作が初連載、初単行本刊行となるようです。

本作は少し前からいちジャンルとして成立しだした、ポンコツ系女性キャラの日常を描くタイプの作品です。
様々な作品が生まれているこのジャンルですが、本作はその中でも少し特殊な味付けがされておりまして……?



魔族の帝都、ゾールマジワ。
この国は新たな主の誕生に沸き立っていました。
その名も夜の王、マーナミア=ブルーガラル。
「伝説の吸血鬼」の異名を持つ彼女は、その圧倒的な力で数々の国家を攻め落としていました。
側近のワーウルフ、シベルの口からも、称賛以外の言葉が出てこないのです。
魔族の世界征服、というあまりに大きな野望の成就一歩手前までたどり着いたマーナミアはと言いますと……ものすごく調子にのっておりました。
称賛の声を浴びながら、これこれ、と密かに悦に入るマーナミア。
実際?余、最強じゃし?と、心の中では自画自賛が止まらないのです。
そんなマーナミア、早くも次なる国へ向かうことになりました。
この国にやってきてわずか3日で制圧。
もともとこの国は暴君の圧政に苦しんでいたようなのですが、その圧政から国民を解放したマーナミアは英雄扱い。
ますます彼女は調子にのるわけで、次の国は2日、いや1日で攻め落としてやろう、などと嘯くのでした。
そして彼女は部下たちとともに儀式の部屋にやってきました。
この部屋に描いてある魔法陣から、次に制圧する土地へ転送するわけですが……
連戦連勝のマーナミア、もう普通に転送されるのに飽きてしまっています。
残っている国もどうせ同じような者だろうし、適当に決めてしまえと部下に命じました。
すると部下、適当にもほどがある方法で次の土地を決めたのです!
それは……ダーツ。
ダーツで当たった国に転送しようとしていやがるではありませんか!!
流石に主の行先をダーツで決めると言うのは適当が過ぎる気がしますが……
シベルが言うは、全力で適当に決めている、そうです。
ほどなくして次の地を決めるダーツが放られるのですが、ダーツはあらぬ方向へ……
的に刺さりもせず地面に落ちてしまったのでした。
地図にすら刺さっていあないわけですから、やり直し……と言いたいものの、なぜか自動転送のセッティングがされてしまっているとのことで。
どこに行くかもわからない状態で、マーナミアはずぶずぶと魔法陣の中に呑み込まれていってしまうのでした……!!

それから少し時間がたちまして……ところ変わって、どこにでもある夜のコンビニ。
そこでマーナミアは、バイトをしておりました。
あの転送の後、気が付けば異世界……いわゆる現実の日本にやってきてしまったマーナミア、丸腰で見知らぬ土地に頬り出され、その日暮らしを強いられることになってしまいました。
なんとかかんとかこのコンビニでの仕事にありつくことができまして、極貧生活を送っていたのです。
それもこれも全部あの転送の儀式のせい……などと毒づいておりますと、不意に声を掛けられました。
エイトスター。
見るからにガラの悪い男が、マーナミアにそれだけ告げます。
何のことが全く分からなかったマーナミアなのですが、冷静になって考えるとそれが煙草であるらしいことに思い当たります。
ですが人間界に来たての彼女がエイトスターと言われてもわかるはずがなく。
何番のおタバコですか、と手慣れた感じで尋ねるのです。
ところがこの彼、見た目通りヤバい奴でした。
エイトスターつったらエイトスターだろ!!と怒鳴りつけるではありませんか!!
わけがわからないマーナミアは、タバコじゃないのか?じゃあエイトスターって何?と困惑。
そうこうしている間に、その男はどんどん首をかしげながら睨みつけてきて……
やばい、首がもげそうなくらい怒ってる。
流石のマーナミアも彼がおこなのはわかるようで。
視界の端に入った、バイト仲間の山田に目で助けを求めようとするものの……山田は何も言わず、音もなく視界から消えて行って……
山田に怒りを覚えるマーナミアですが、そこに慌ててエイトスターを持ったチーフが駆けつけてくれました。
その際ちらりと見えたエイトスターは、言うまでもなくタバコです。
やっぱりたばこじゃないか、間抜けなサルめ、自らの過ちに気付けぬとは、と鼻で笑うマーナミアなのですが、チーフはそんなマーナミアに一緒に謝るよう囁きました。
自分は悪くないのになぜ?とky穂トンとしてしまうマーナミアなのですが……
いいから早く、
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もう首がもげそうなの、と言うチーフの言う通り、もう男の異界は臨界点を突破しておりました……!!
結局チーフに無理やり頭を下げさせられるマーナミアなのですが、もちろん納得などいきません。
あげくの果てに、使えないガキ雇ってんじゃねーよ、と言う捨て台詞まで吐かれたのですからもう……!!

休憩に入っても、怒りが冷めやらぬマーナミア。
どっかと椅子に腰かけますと、そこにはチーフからの食べていいよと言う手紙付きの廃棄予定のお弁当が置いてあります。
それを見ると……マーナミアは深いため息をつくのです。
本来吸血鬼はこんなもの食わんでもいいんじゃが……とつぶやきました。
実は彼女、こちらの世界に来た時に吸血能力を失ってしまったらしいのです。
転送失敗のせいで消耗したマーナミア、手近な人間を見つけると早速吸血しようとしたのですが……全く魔力を吸うことができませんでした。
吸血によって魔力が奪えなければ、吸血鬼は魔力を補給することができません。
そうなれば吸血鬼の持つ様々な力が全く使えなくなってしまうのです。
すなわち、今のマーナミアは……ほぼほぼ人間……
まさか食糧の食糧を食べることになろうとは、とぼやきながら廃棄弁当を温めるマーナミア。
言うなれば人間が干し草を食べるようなモノだ、と不満たらたらで弁当を口にするのですが……
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その味は大層お気に入りのようです。
吸血では感じることの出来なかったいろいろな味や、熱々の温度。
すっかり食事の魅力に憑りつかれてしまったマーナミアなのですが、ふと正気に返り、余は高潔な吸血鬼、血こそが至高の……と、吸血鬼の体裁を取り繕いつつ立ち上がるのです!!
が、その時お弁当をこぼしてしまいまして、その熱々が彼女の股に直撃してしまったのです!!
吸血能力を失い、堅牢な肉体も再生能力もないマーナミア。
初めて感じる火傷のじんじんくる痛みに悶絶してしまいます。
このままではこの痛みが頭にまで来てしまうかもしれない、と不安に駆られ……いつか聞いた覚えのある、とある治療法を試みることにしたのです!
それは
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傷口をぺろぺろやる事……
事情を全く知らないチーフがその場にやってきてしまい、とんでもないことをよりによってバイトの休憩中にしようとしていると思われてしまいました!!
こんなところでやめなさい、とマーナミアを止めようとするチーフ。
ですがマーナミアは必死で、もう少しで届いたのに、そうすればココのじんじんも治るはずなんじゃ!と涙を浮かべてるのです!
そ、それはそうかもしれないけど!ととまどうチーフ。
マーナミアはそんなチーフに縋りつき、懇願します。
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舐めてくれ!と……!



と言うわけで、最強の吸血鬼が、人間界でとんでもない厳しい状況から再出発する本作。
異界でブイブイ言わせていた人物が人間界に来て厳しい生活を強いられる、と言いますと、昆布わかめ先生の「ジャヒー様はくじけない!」が思い起こされますが、あちらに比べますと、本作は大分下ネタが多かったり、腹黒系のキャラが出てきたりと、ストロングスタイルな感じです!
この第1話でも結構アレな感じの下ネタが披露されておりますが、こんなものは序の口にすぎません!!
第2話ではまさかの大モザイク祭りが催されることになるのです!!
その他にもお下品なネタはとどまることを知らず!!
マーナミアのポンコツぶりがメインとなる本作ではありますが、そんなヨゴレ上等のアレコレも本作の大きな特徴と言えるのです!

そしてお話が進んでいきますと、さらに他の魔族も登場。
最近の、特に日常漫画は登場人物がみんないい人、と言う作品が増えてきたような気がしますが、本作はそんな甘い話ではございません。
マーナミアは基本ポンコツなだけで悪いやつではないのですが、なかなかどうして曲者の魔族がやってまいります。
とはいえ、物凄い悪と言うわけではなく、マーナミアの困っている姿を見るのが好き、と言う……ちょっとアレな感じの悪でして。
マーナミアには申し訳ないのですが、そのキャラがいることによって本作に起伏が生まれているのは間違いないところ……!
そのキャラとともに、マーナミアの奮闘を見守って行きましょう!!




今回はこんなところで!
さぁ本屋さんに急ぎましょう!!