k80
今回紹介いたしますのはこちら。

「怪獣8号」第1巻 松本直哉先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


松本先生は05年にジャンプの新人賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
連載デビューは09年に同誌で連載された「ねこわっぱ!」。
そちら主人公が小さな女の子と言う、ジャンプとしては珍しい設定の影響もあったのでしょうか、残念ながら短期で打ち切りとなってしまいました。
その後読み切りの発表やジャンプ+で「ポチクロ」などの連載を経まして、20年より本作の連載を開始、単行本刊行となりました。

そんな松本先生の最新作となる本作、今までの作品とはがらりと変わり、主人公がおじさんの怪獣退治モノです。
ですがもちろんただ怪獣を退治するだけではなく……?



日本に次々と襲来する怪獣。
人々は日々その脅威に悩まされております。
そんな人々を、怪獣の恐怖から守っているのが防衛部隊。
優秀な隊員が多くいる防衛部隊にかかれば、怪獣なんてものの数ではありません!
その日も神奈川県に怪獣が現れたのですが、絶対的エース、亜白ミナが率いる第3部隊が瞬く間に対峙して見せたのです!
人々の脅威は無事排除されたわけですが……そこには巨大な怪獣の巨大な死体が残っています。
日比野カフカは、そんな怪獣の死体を処理する業者に勤めていました。
そこで怪獣に関する豊富な知識を活かし、酸の入った臓器などの危険な部位を適切に扱ったり、誰もが嫌がるひどい匂いを放つ消化器の処理をしたり、様々な活躍をしていたのです。

とはいえそんな活躍は、一般の人には決して評価されることの無い活躍です。
実はか負荷も、かつては防衛隊員を目指していました。
それも、あの亜白ミナと幼馴染で、怪獣に破壊されつくした街を見ながら、二人で怪獣を全滅させよう、と約束した仲だったりするのです。
ミナの活躍の報道を見ると、時折どうして自分はこっち側にいるのか、とたまらなくやるせない気持ちが湧いてきてしまい……
そうなるとカフカは、正装だって人の役に立つ大事な仕事だ、と自分に言い聞かせ、そのモヤモヤをできるだけ考えないようにすることしかできないのでした。

辛い現実を忘れるためにたっぷりと酒を飲み、二日酔いでの出勤となった翌日。
カフカの職場に、防衛隊を目指していると言う年若い新人バイトが入ってきました。
彼、市川レノは18歳。
32歳のカフカと違い、まだまだ防衛隊を目指せる年齢です。
流石にカフカはもう防衛隊入隊を諦めているのですが、レノはそんなカフカの話を聞くと、どうして諦めたのか、と尋ねてきました。
自分なりに頑張ったけど、自分の才能の壁に当たってしまった、お前も年を取ったらわかる……と答えるのですが、レノはそんなカフカの言葉を遮るようにしてこう返すのです。
俺はあきらめないんで、死ぬまでわかんねーっス、わかりたくもないけど。
レノはさっさとその場から立ち去ってしまい案した。
残されたカフカは……悔しいやらみじめやらイライラするやら、もうどうしていいかわかりません!
諦めるってそんなに悪い事ですか……?
カフカは誰に言うでもなく、胸の中でそう呟くのでした。

その日の仕事もハードでした。
流石のレノも慣れない仕事に四苦八苦しておりましたが、なんのかんの面倒見のいいカフカはレノのサポートもしてあげます。
するとレノ、仕事終わりにしっかり、おかげで初日を乗り切れました、ありがとうございました、とお礼を言ってくるではありませんか。
しかもその後、防衛隊の募集が33歳未満に引き上げられる、と言う情報まで伝えてきたのです。
他人の人生でどうでもいいものの、諦めた話をしているときにカフカが寂しそうな顔をしていたから、と言うレノ。
カフカはそんなレノの想いをきちんと受け止め、ありがとな、お前思ってたより全然いい奴だな、と答えるのですが……
その直後のことでした。
k81
生き残りの怪獣が現れ、レノに襲い掛かったのは!!
なすすべなくその怪獣に食い殺される、化と思われたれのですが、一瞬早くそれに気づいていたカフカがレノにタックルし、なんとかその命を救います!
そしてレノに救援を呼ぶように命令し、自分は怪獣の足止めをするために残ったのでした!!
防衛隊員死亡ではあったものの、今のカフカはそれなりに体を鍛えているだけの一般人。
当然怪獣に太刀打ちできるはずもなく、辛うじて致命傷を避けることくらいしかできません。
……それも時間の問題でしょう。
カフカは、なんでこうなった、と昔のことを思い出していました。
怪獣に故郷を壊されてしまったあの幼い日。
大切なもの、大切な場所を壊されてしまったカフカとミナは、は虚となってしまった故郷を見つめながら……期せずして同時につぶやきました。
俺、防衛隊員になる、と。
そして、2人はこんな約束をしたのです。
k82
どっちがカッケー隊員になるか勝負だ。
二人で怪獣を全滅させよう。
…………足を潰されてしまいました。
もう逃げることはできません。
後は食われるのを待つだけ、と言うところで、今度はレノがカフカを助けに来ます!!
通報はもうした、ここで先輩置いて逃げ出すようじゃ、きっと俺は隊員に何てなれない!
そう言うレノの背中を見つめながら、カフカは自分への怒りを爆発させます。
くそ、俺は何て無力なんだ。
何も変わってない、何も守れない……!
そう思った瞬間、怪獣の体に風穴が開けられました!!
防衛隊がギリギリのところで間に合ったのです!!
駆けつけてくれたのは……ミナ率いる第3部隊。
彼女はカフカに気付いたのか気付いていないのか、隊員にけが人の救助を命じ、まだ怪獣の生き残りがいないか探しに行ってしまうのでした。

カフカとレノは、同じ病院の同じ病室に入院となりました。
自分と違ってミナはすごい、すっかり手の届かない所に行っちまった、とじっと手を見るカフカですが、そんなカフカにレノは言うのです。
先輩が助けてくれなかったら俺は今日死んでました。
すげーカッコよかったっす。
やっぱなるべきっすよ、防衛隊員。
そのレノの言葉で、再び脳裏によみがえるあの日の約束。
それは、カフカに再び立ち上がる力を与えてくれました。
いつまで見て見ないふりを続けるつもりだ、俺!!
自分に喝を入れると、カフカはレノに決意を表明するのです!
俺、もう一度防衛隊員目指す!!
……そう表明するはずだったのです。
突然目の前に
k83
何とも形容しようのない小さな怪獣の様なものが現れ、思わず固まってしまわなければ。
その怪獣は、ミツケタ、とつぶやいたかと思うと、迷うことなくか負荷の口から体内に潜り込んできます!!
カーテン越しにカフカが何やら妙な動きをしていることに気が付いたレノが、カーテンをめくりますと、そこには……
k84
怪獣の様な姿に変身してしまっている、カフカがいたのでした!!




と言うわけで、新たな挑戦が始まると思いきや、とんでもないことになってしまった本作。
何故怪獣の体になってしまったのか、ミツケタとはなのことなのか、あの虫の様な奇妙な怪獣は何なのか、そのあたりは今後の展開で明かされていくことでしょう。
物語はこの後、怪獣の体を手にしてしまったカフカの戸惑いと、その身体と折り合いをつけながら防衛隊を目指す様子が描かれていくことになります!!

この怪獣の体は人間のそれとは比較にならないほど強靭で、それこそ怪獣並、それ以上の力を持っています。
ですが当然傍から見れば、怪獣としてしか見られないわけで……
怪獣として追われる身になりつつ、怪獣を退治する。
そんな複雑な環境で、それでも自分の信じる道を行こうとするカフカはかっこいい……はずなのですが、まあいろいろとしまらない所も多く……
レノのサポートを受けながら防衛隊に入るために奮闘していくのです!
ですが怪獣の体以外にも様々な障害がたちはだかってしまうカフカの道。
どうなっていくのか、どうなってしまうのか?
怪獣関連の多くの謎も含め、今後に注目せざるを得ませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!