今回紹介いたしますのはこちら。
「怪獣自衛隊」第1巻 井上淳哉先生
新潮社さんのバンチコミックスより刊行です。
さて、「BTOOOM!」の井上先生の最新作となる本作。
現在も原作として「BTOOOM!」の続編を連載中の井上先生なのですが、自身の作画で本作の連載も同時に行われております。
そんな本作、タイトル通り怪獣もの。
どんな内容かと言いますと……?
海上自衛隊護衛艦、くれづき。
その食堂で、食事がてら二人の自衛官が会話しています。
先日日本を襲った津波の警報が間に合わなかったのは、そもそも地震ではなくて海底の土砂崩れが原因だったかららしい。
そんな何気なくそんな話を振った小池ですが、彼は忘れていました。
その話を振った相手である大和は、その津波で父と弟が行方不明になってしまっていたことを。
もしかすると、災害直後から大和が必死になって探せば父たちは見つかったのでしょうか。
ですが自衛官である以上、災害時には国民に尽くさねばならないわけで、家族のことはどうしても後回しになってしまうんだよな、と小池は慌てて取り繕うのですが……
その津波のことに関して、大和は違うことで後悔を感じていたのです。
あの津波の日、この船の中にいた大和は奇妙な「声」の様な不可解な気配を感じていたと言います。
何ともいえない気配が大和に襲い掛かり……海の底に何かがいるかのようなその声が恐ろしくて、大和の体の震えが止まらなかったとか。
もしかするとそれは、津波の前兆だったのではないか?
そう思うと、どうしても後悔が湧いてきてしまうようで……
そんな大和に、小池は携帯で画像を見せてきました。
それは小池とその息子がうつっている写真です。
小池は言いました。
俺が命に変えても守る存在だ、その為に生きていると言ってもいい。
人が悲劇から立ち直るには心の支えがいる。
オレ達には特にそれが必要なんだ。
不安や疲れは判断を鈍らせるぞ。
過ぎたことを悔いるのは仕方のないことです。
ですが、その後悔のせいでいざと言うときに判断を鈍らせてしまえば、これから先助けられるかもしれない命を助けられなくなってしまうかもしれないわけで……
そうだな、気を付けるよ、と大和はうなずくのでした。
そんな時、日本の南端、沖ノ鳥島近海から救援要請が入ります。
それは「巨大なバケモノ」と言うメッセージを残し、通信が途絶えてしまったとか。
俄かには信じられない要請ですが、救援を求められたからには向かわないわけにもいきません。
とにかく現地に駆け付け、状況をしっかり把握したいところです。
やがて目的地まで10マイルと言うところまでやって来た時、突如ソナーに奇妙な反応が出ました。
それは潜水艦などではありえない、聞いたことの無い音。
何とも言いようのない、狂ったオーケストラの演奏と言うほかないような、奇怪な音で……
一同が首をかしげるなか、大和だけは違う反応を見せています。
慎重にその音の元を探ろうとする自衛官たちですが、大和だけは焦りを見せ、アクティブ捜索を求めるのですが、こちらから積極的に動けばその謎の音の元にこちらの位置を気付かれてしまいかねません。
とはいえこうして詳細がわからないまま待っていても仕方がないため、やむなくアクティブ捜索を始めると……
反応は、予想外の数値を示しました。
水中で移動しているその速度は時速にして約60キロと相当な速度。
しかも大きさは、全長100メートルを超えそうです。
これは……生き物、なのでしょうか?
そんな生き物にオ沖ノ鳥島が襲われたのでしょうか?
そうこうしている間に、その移動体はまっすぐくれづきの方へと向かい始めました。
まっすぐ向かってくると言うことは、狙って迎え撃つことができるはず。
大和は艦長に攻撃の準備をするよう進言するのですが、正体がわからないものを攻撃はできないと却下されてしまいます。
下手なことをすれば外交問題になりかねないのはわかりますが、そんなことを言っている場ありでしょうか……?
そして移動体はあっという間にくれづきの目前まで来てしまいました。
何とか回避運動で衝突を避けるのですが……
直後、それは姿を現します。
そしてそれは、再び水中に潜り……暮れ突きを狙って動き始めました。
それでもなお攻撃好意をしようとしない艦長。
大和は処分覚悟で、短魚雷発射命令を出すのですが、やはり強引に出した命令を素直に聞いてくれるはずもなく……
巨大生物はくれづきの真下にもぐりこみ、そして
一気に艦体をかちあげました!!いかにくれづきといえどひとたまりもなく、艦体には穴があき、浸水が始まり……!!
その巨大生物の攻撃は止まりません。
なんとそのまま艦体を鷲掴みにして、引き裂いてしまうではありませんか!!
さらに艦体をひっくり返してしまい……
くれづきは無惨に爆発。
脱出の際、小池は爆炎をまともに浴びてしまい……その命を失ってしまいました。
大和の頭上には、護衛艦すら子ども扱いする圧倒的な恐怖が聳え立っています。
自衛隊が敵わない巨大な生物なんてアリかよ……
絶望とともに蘇るのは、小池のあの言葉でした。
人が悲劇から立ち直るには心の支えがいる。
オレ達には特にそれが必要なんだ。
腕の中で冷たくなっていく親友を抱きながら、再び大和は後悔を、絶望を募らせるのです。
俺は砲雷長でありながら反撃ひとつできなかった。
どうすれば皆死なずに済んだ?
どうすればあの場着物を止められた?
答えがわからない。
オレ達は何て、無力なんだ……
と言うわけで、突如として日本に巨大生物、怪獣が現れてしまう本作。
この後物語は4年後に飛び、別の主人公で本格的に幕を開けることになります。
襲い掛かってくる恐怖の怪獣。
護衛艦すらもオモチャ扱いする怪物が、再び日本に、もっと大勢の犠牲者が出かねない場所に現れるのです!!
新たな主人公は、大和とはまた違った立場で、違った状況で怪物に遭遇します。
普通のモンスターパニックものでは、いったん逃げるのがスタンダードな展開。
ですが本作では、海上と言う逃げ場のほとんどない場所がメイン!
しかも巨大すぎるせいで、船などで会場に逃げてもすぐに見つかってしまうのです!!
さらに恐ろしいのは、本作にはヒーローや対抗する兵器などが存在しない事。
逃げることもできない、倒すこともできない。
撃退する手段は物語が進むうちに出てくるのかもしれませんが……
今できる事は、生き延びるために足掻くことのみ。
果たして主人公は怪獣の魔の手から逃げることができるのでしょうか。
逃げ惑う人々をどれだけ救うことができるのでしょうか。
そして今回紹介したプロローグに登場した、大和が立ち上がることはあるのでしょうか……!?
今後の展開に注目です!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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