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今回紹介いたしますのはこちら。

「マザーグール」第6巻 菅原キク先生 

徳間書店さんのリュウコミックスより刊行です。


さて、島の謎に迫って行く朔也とトリノ。
この島から脱出するためにも、この島の謎を知り、この島にいると思われる「人間でありながら人間と同じ次元にいないもの」を見つけるため、怪物たちの襲撃を掻い潜りながら探索を続けていたのですが……



朔也たちとはぐれてしまったトリノ。
とはいえトリノはそれほど慌てた様子はなく、自分を慕ってくれている朔也には悪いものの、ひなを探すためには単独での行動も悪くないと考えているようです。
そんな時、彼女の前に現れたのは……笙子を妄信する者達の一人であり、誰よりもトリノを憎んでいる女子である辻中環でした。
久しぶりに対面した二人ですが、トリノはたまきの変わり果てた姿に驚きを隠せません。
たまきの全身はボロボロ。
そこかしこが血で汚れ、髪は乱れ放題、その表情は鬼のような形相となっています。
ですがその直後、トリノはさらに驚愕することになるのです。
トリノの姿を見た瞬間、環はこう叫んだのです。
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見つけたわ、この化け物!!!

環は幼いころ、「ありがとう」に溢れた美しい世界に住んでいました。
宿題を教えてくれとクラスメイトに頼まれれば二つ返事で教え、お姉ちゃんのものが欲しいと妹にねだられれば静かに我慢して自分のものを与え……
彼女は皆から掛けられる「ありがとう」をよい行いの証明書だと信じ、その証明書を天国に届くほどの量集めようと日々務めていたのです。
ですがそんな彼女の思うようにならないことも少なくはありませんでした。
街中でチラシを落としたカップルにそれを拾って届けてあげたときは、彼らにとってどうでもいいものだったのでしょう、ああ悪い、とだけ言われて受け取られました。
「ありがとう」を言われないことに、環は驚きを隠せません。
何も言われないことに不満げな表情を浮かべる環に気が付いたカップルは、とりあえずありがとうと言ってその場を立ち去って行くのですが……
環の方は、これで八万百二枚目の証明書が手に入った、と内心ほくそ笑んでいました。
そんな彼女の性格が、何となくみんなわかっていたのでしょう。
いっぱい友達がいる、と思っているのは彼女自身だけ。
環はいつも一人で日常を過ごし……そして、彼女が心の中で本当に求めていた物、を手に入れられないまま暮らしていたのでした。
そんなある日の事、エルレシアン女学院の遠足に来ていた時でした。
食事などに全く頓着の無いトリノが、お昼に食べようとしていたのは何とシリアルでした。
家にこれしかなかったと言うトリノを見た環、遠足なのにお母様はお弁当を作ってくださらなかったの?と尋ねます。
トリノはある理由で母親とあまり顔を合わせない生活をしていたのですが……そんな事情を良く知らない環はとにかくトリノを哀れに思い、お弁当を分けると言いだします。
そしてさらにクラスの皆に声をかけ、トリノがお弁当を忘れてしまったようだから、みんな少しずつ分けてあげようと音頭を取り始めたのです。
基本的にお嬢様ばかりが集まるエルレシアンですから、なんだかんだ良い子の宮城野さんをはじめとして、皆喜んでおかずをトリノにわけて上げて行き……
トリノの前には、たくさんのおかずが並んだ一皿ができたのです。
色とりどりの善意が盛られた美しい一皿。
澄んだ空気に素晴らしい景色。
みんなの笑顔。
ああ、なんて美しいんだろう、私のいる世界は……!
環は自らの作り出した美しい世界に浸っていました。
ところがその時、トリノがつぶやいたのは……
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「ありがとう」ではなかったのです。
その時トリノが言った言葉。
そして、トリノが陽奈からかけられた言葉。
その言葉を聞いて、環は……!!

化け物は近くにいないから大丈夫だ、と環に声を掛けようとしたトリノ。
そう、トリノは「化け物」と言う言葉が自分にかけられたものだとは露ほども思っていなかったのです。
そんなトリノに向かって、猛烈な勢いで突進していく環!!
そして手にしていた先の尖った木の棒でを振りかざし、死ねこの化け物!とトリノに襲い掛かりました!!
予想だにしていなかった行動に戸惑うことしかできないトリノ。
幸いたまきは自らバランスを崩して倒れてしまったため、木の棒はトリノにかすっただけで済みました。
が、環の凄まじい殺意は衰えることを知りません。
トリノを睨み付け、舌打ちした後、店頭の際に折れたであろう自分の歯を何本か吐き出し……
死ね、死ね、と気の杭をつき出してくるのです。
死ね、この汚らわしい化け物!
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お前さえ死ねば、元の正常な美しい世界が返ってくるんだ!!

流石のトリノも環の変貌ぶりには戸惑わずにはいられません。
数日で人はこんなに変わってしまうのか、と驚愕しつつも、私一人が死んだところで元の世界に戻れるわけないでしょ、と環を蹴り飛ばして身を守るのですが……
環は一切トリノの主張など聞きません。
トリノがあの日言った言葉、トリノがあの日ひなにかけられた言葉。
それは、「ありがとう」が善い行いの証明書だと信じて集め続けてきた環の価値観を破壊するもので……
トリノを否定し、自分の人生を肯定する、その為に環はトリノを殺そうとしている……!!
メチャクチャにトリノに襲い掛かってくる環!!
トリノは何とかその襲撃を受け流し、こんな人に時間や体力を使うのがもったいない、と逃げの一手を打調とするのです……が。
逃げようと背後を向けた時、トリノの持っていたナイフが環に奪われてしまったのです!!
翔子様、これは啓示ですのね?
ええ、ご心配には及びません、環はしっかりやり遂げますわ。
そうしたらもう一度……
そう呟き、環はいっさいのためらいなく
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トリノにナイフを振り下ろすのです!!



と言うわけで、とんでもない状況になってしまった今巻。
様々な知識と行動力から慕うものも少なくありませんが、その性格上、敵も少なくないトリノ。
ですが環の感情はそんな範疇を大きく超えたものになってしまっているようです。
島に住む怪物さえどうにかできれば、脱出の井戸口がつかめるかもしれない。
そんな希望の中に、突如として真っ黒な闇が落とされてしまいました。
目前に迫る凶悪な殺意に、トリノが打つ手はあるのでしょうか。
この後、驚愕の展開が待ち構えているのです!!

そんなトリノ達の物語が進む一方で、謎多きこの島の過去が明かされるエピソードも挿入されていきます!
それはこの島の成り立ちとは少し違う部分なのですが、それでもこの島の謎を探るための大きなヒントになりそうです。
なにより今までのように読者に飲み明かされる形ではなく、登場人物も知ることになると言うところがポイントとなるはず!
ですがその過去を知ることで、脱出のヒントだけではない、さらなる本島の恐ろしさを知ることになり……!!

縞の謎、怪物たちの脅威、そして「笙子様」を信じる者達。
様々な要素は以前朔也たちの前に立ちはだかり、脱出を阻んできます。
果たして誰が生き残り、誰が脱出できるのか……
今後も本作から目が離せませんね!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!