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今回紹介いたしますのはこちら。

「家庭教師(ガヴァネス)なずなさん」第2巻 縁山先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、裏世界の超大物・暦壬戌の孫である甲子太郎の下に突然やって来た謎の家庭教師・蠅声なずな。
壬戌の死後没落しきったとは言うものの、まだその悪名と隠された遺産を恐れるもの、狙うものは後を絶たない様子。
そんな状況でもたくましく生き延びることの出来るよう鍛えようとやって来たらしいなずなですが、なずなはやることなすことハチャメチャで……?



突如暦家の屋敷を襲撃してきたメイドたち。
それを率いるリーダー格の女性は、かつて壬戌の忠実な部下たちの中でも指折りの実力者、「暦ナンバーズ」の一人である兎宮でした。
兎宮はこの屋敷を爆破し、甲子太郎を北欧に連れ去ろうとしていました!
兎宮は決して暦家に反逆しようとか、暦家の遺産を狙ってやろうだとかは考えていません。
全ては兎宮の深すぎる甲子太郎への愛情ゆえ!
壬戌の様な悪辣非道の道を進み、その身を危険にさらすことを良しとしない兎宮は、甲子太郎を真っ当な(?)道に進ませようとアレコレしにきたのです!
兎宮は意地でも甲子太郎を連れて行くために、なんと屋敷に爆弾を仕掛けると言うとんでもない作戦を弄してきました。
なんだかんだ言っても思い入れあるこの屋敷を壊したくはない甲子太郎、16代目当主としてこの家を守る義務がある、と兎宮の要求を呑むのです。
このままでは甲子太郎は北欧へ行かざるを得ません。
窮地を救えるのはなずなだけ、かもしれませんが、なずなは今兎宮の策略によってとらえられてしまっている……はずでした。
ところがその時、天井の通気口が開き、
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うねうねとなずなの巨大縦ロールが顔を出すではありませんか!
これはチャンスとばかりに、甲子太郎は校則から脱出!
すかさずその縦ロールにつかまって離脱することに成功したのでした!!

当面のピンチは去りましたが、このまま逃げても同じこと。
甲子太郎は、自分がこの屋敷にいればおいそれと爆破だ着ないだろうと考え、敢えて屋敷内にとどまることを決意します。
祖父から受け継いだ屋敷を守りたい。
そんな使命感から……ではなく、
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自分や祖父、兎宮たちと過ごした思い出の残る屋敷を壊したくない、残しておけばいつかまた皆戻って来てくれるかもしれない、そんな感傷的な理由から、甲子太郎は戦うことに決めたわけです。
子供っぽい幼稚な考えだけどな、と自虐する甲子太郎ですが、意外やなずなはそれに頷きます。
物の価値は残った心だと言う考えはわかるし、実際兎宮は戻ってきた、兎宮だってその思いがあるからこの家を簡単に爆破しないんだ、その思いのためにも屋敷を守ろう、と全面肯定してくれるのでした!!

隠し通路を使って奇襲を狙うものの、やっぱり兎宮もこの館の住人だったわけですから、そう簡単に虚を突くことはできませんでした。
結局正面から兎宮とメイド軍団に対峙することになってしまったなずなですが、そこは流石のなずな。
手早く二人ほどのメイドをアイアンクローで捕獲し、そのメイドを盾にすることで飛び道具を封じました!
しかもこの場に乗り込んできたのはなずな一人。
甲子太郎がこの場におらず、屋敷内のどこかにいる、という状況を作ることで、甲子太郎を捕えることも、適当に館を爆破して決着することもできなくして見せたのです!!
肉弾戦を挑んでくるメイドたちを、アイアンクローしているメイドたちを振り回して、今度は武器にすることで蹴散らすなずな。
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ですが兎宮の実力は流石の一言で、メイドを振り回すだけでは倒せなさそうです。
さらにいざとなったら爆破する、という脅し文句がある限り、なかなか強引に攻めることもできず……
と、膠着状態になったかと思われたその時、兎宮はおもむろに手近なカーテンをむしり取りました!!
なんとそこには甲子太郎が隠れているではありませんか!!
人の気配を感じていち早く動き、甲子太郎を再び拘束してしまった兎宮。
なずなが気を引いているうちに、甲子タオルが密かに忍び寄って爆破用のリモコンを奪おうとしていたのだろう、甘い計画だ、と笑う兎宮。
純真な甲子太郎は甘くてもいいが、壬戌の後継者としては危な過ぎる、と断言します。
そして兎宮、口で言ってもわからないだろうから、まずは壬戌の書斎を爆破する、それを見て自分の言うことをわかってくれ、ととうとう爆弾を使おうとしだしました!!
祖父の書斎といえば、甲子太郎からすれば最も壊されたくない場所の一つでしょう。
ですが、兎宮の強硬手段はすぐ使うことができない事がわかってしまうのです。
何故ならば
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爆弾は甲子太郎が体に巻いているのですから!!
2人がいったん兎宮の下から逃げ、この場にやってくるまでの間、2人は見つかるだけの爆弾を回収!
甲子太郎のみにまくことによって、どうやっても兎宮が爆破スイッチを押せないようにしたのです!!
僕は絶対にこの家を壊させはしない、これが今の僕の答えだ!!
そう言い放つ甲子太郎!!
こうなれば甲子太郎が何より大事な兎宮が手出しすることはできず……
一発逆転となったかに見える戦況!
ところがそこで兎宮がとった行動は……!!




というわけで、兎宮とメイド軍譚との戦いが描かれ羅今巻。
そこかしこに大物感を出してくれる甲子太郎ですが、ここでも流石の大物ぶりを見せてくれました!
一発逆転、と言いたいところですが、まだ戦いは終わりません。
逆に追い込まれた兎宮がとる行動とは何なのか?
驚きの結末まで必見です!!

そしてその後は通常の展開へ。
通常と言っても甲子太郎の下にやって来る人物と言うのは後を絶ちません。
暦家の遺産を狙うもの、暦家がらみの騒動に巻き込まれてしまうもの、そしてそれぞれの思惑で暦家に近づいてくる暦ナンバーズ……!
甲子太郎が元のように平穏な暮らしをすることは難しそうです!!

基本的には縁山先生ならではの持ち味が楽しめる、ドタバタコメディである本作。
甲子太郎の素性が素性なだけに周りで巻き起こることはちょっと危なそうな香りが漂う物騒な事件が多いのですが、そう感じさせないとぼけた味わいがなんとも楽しいのです!
女性キャラはもちろん、男性キャラの新キャラも続々登場し、ますますにぎやかになって行く……だけでなく、何やらシリアスな展開も予感させる本作から目が離せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!