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今回紹介いたしますのはこちら。

「太陽と月の鋼」第1巻 松浦だるま先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、「累」の松浦先生の最新作となる本作。
「累」後は「いまかこ」を短期連載の後単行本化されるなど、引き続き活躍されておりましたが、今回ついに本格連載作品が単行本化されました。
そんな本作ですが、「累」「いまかこ」とは違い、なんと時代物。
気になるその内容はと言いますと……?





座敷で一人の侍が食事をとっています。
侍の名は竜土鋼之助。
鋼之助の住まうこの屋敷は、寂しい……と言う言葉では足りないほどボラぼろで荒れ果てています。
口にしている食事も、わずかな米と漬物に汁物くらいの質素なものです。
ぐいと湯呑の水を飲みほすと、鋼之助は使用人の乙吉に声を掛けました。
米はどのくらい残っている?
そう問いかけられた乙吉は、すぐに米びつに向かい、升でコメを測り始めます。
ほどなくして帰ってきた返事は、芳しくないものでした。
もう五合ほどしか……
鋼之助は意を決して立ち上がります。
行李を開けると、中にあったのは一着の着物。
それは鋼之助の母親の形見なのですが……
いいんだ、もう着るものもおるまいから、と乙吉が少しでも気を使わないような言葉をかけて渡すのです。
母の位牌に線香をあげ、手を合わせる鋼之助。
彼にできる事は、世は春だと言うのに、とぼやくことくらい……
するとその時、部屋の中に外から竹トンボが舞い込んできました。
それを拾い上げると、庭の外から子供たちが覗き込んでいることに気が付きました。
子供たちに竹トンボを返そうとする鋼之助なのですが、子供たちは慌てた様子で、いいです、あげます、と否定して逃げて行きました。
子供たちは親から、鋼之助に関するある話を聞いておりまして、それで腫れもののように扱っているようです。
鋼之助はと言いますと、子供たちが脇にさしていた刀を気にしている様子。
小僧のくせに、ずいぶんいい拵えの刀を差しとった。
そう呟きながら、思わず握っていた竹トンボを握りつぶしてしまう鋼之助……
すると、着物を売りに行った乙吉が戻って来ました。
一両くらいにはなったかと問う鋼之助ですが……実際に手に入ったのは1200文程度。
予想よりも大幅に低い金額を前に、鋼之助は膝から崩れ落ちてしまいました。
実入りが少なかったと言う事よりも……母の形見がその程度の価値しか認められなかったと言うショックが大きかったようです。

鋼之助の苦悩は続きます。
鋼之助の様なお役目を与えられていない、要するに無職の侍は月三回、働き口がないか役所に行くことになっているのです。
が、一向に職は見つかりません。
月代も形作られておらず、ひげも生え放題という身なりの悪さもそうなのですが……
なによりも、
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「刃物が怖い」と言う噂が広まってしまっているのが大きな原因です。
実際腰にさしているのは武満ですから、あながち噂とも言い切れません。
鋼之助は何でもするからとにかく仕事を、と懇願するものの……
せめて次までに髭剃りの恐怖位は克服しておくんだな、と嘲笑われてしまうのでした。

もはや鋼之助、生きる気力すら湧きません。
ですが、今わの際の父に言われた言葉が引っかかり、安易に自死することすらできないのです。
最後まで節の名に恥じぬよう生きろ。
忠を尽くし天寿を全うするか、さもなくば……「刀で死ね」!
そんなことを思い起こしていたところ、先ほどの役場で鋼之助をあざ笑っていた侍たちがやってきまして、ここでもまた鋼之助を小馬鹿にしてくるのです。
いっそ、父の望み通り……
湧きだしてきたそんなお思いのまま、侮辱された怒りに任せて……という体を装い、侍たちに襲い掛かる鋼之助!!
ですが持っているのは竹光ですし、なにより相手は数名、叶うはずもありません。
そして鋼之助は……
侍たちに袋叩きにされてしまうのです。
刀で切らないのか、と思わず尋ねてしまうボロボロの鋼之助。
武士まがい如きに真剣なんて抜いてやらない、と侍たちは言い放つのですが……
武士まがい、という言葉だけは鋼之助、我慢できない様子。
力を振り絞って相手の一人の腹をけり上げると、流石に怒り心頭のその男は刀を抜くのです!!
そんなに斬られたきゃ斬ってやる!!
そう言って振り下ろされる刀!!
迫り来る刃に、鋼之助は武士として死ぬことができると安堵すらする鋼之助。
ところがなんという事なのでしょうか。
その刀は
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目の前で奇妙に曲がり、鋼之助に触れることすらなかったのです!!
やはり駄目なのか?
どうしても、どうしてもわしは、刀に触れられないのか!?
絶望する鋼之助は、周りの侍たちの刀に手を伸ばすのですが、やはり同じように刀はフニャフニャと曲がってしまうのです!
あまりにも異常な出来事ですが、侍たちはそんなことよりも自分達の刀がだめにされてしまったことに怒りを感じ……
鋼之助を堀に投げ捨てるのでした!!

薄れゆく意識の中、走馬灯のように過るのは母との思い出。
目の前で母が凶刃に倒れた、忘れること那できるはずもない思い出……
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どう考えても、あの時わしが死ぬべきだった。
あなたを救えぬなら。
救えたなら……ああ、あのときわしに、刀が握れたなら……
いくら後悔しても過去のことを変えることなど、人間逃げ切るわけがありません。
もう疲れた、と薄れ行くままに意識を手放す鋼之助……
そんな彼を、誰かが抱き起した、様な……?
鋼之助さま、こんなところで死なせませぬ。
私達、まだであってもいないのですから。

鋼之助が目を覚ますと、自分の屋敷の中でした。
いつの間に家に帰ってきていたのか、乙吉が助けてくれたのか?
そんなことを考えながら、夜の闇が拡がる屋敷の中を探す鋼之助。
するとその時、見知らぬ老人が屋敷を訪ねてきました。
そしてその老人は文を渡しながら言うのです。
私の主よりこちらをお預かりしてまいりました。
竜土鋼之助さまに、縁談をお持ちしたのです。

そして……
鋼之助は、
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その女性、「月」と結婚することになったのです!!


というわけで、金属に触ることの出来ない男、鋼之助と、そんな鋼之助の下に嫁にやって来た月の物語が描かれる本作。
鋼之助は異様に多い支度金に引かれ、ついつい窮状から逃れられるならと縁談を受けてしまったのです。
ですが、だからと言ってこのまま流されて夫婦になるわけにもいかないと鋼之助は考えます。
自分には見合わない支度金の量と、素性のしれない美しい月。
鋼之助からすれば、刀も握れない侍である自分などにはもったいなさすぎると考えてしまっても仕方ないことでしょう。
甲斐甲斐しく鋼之助の世話をしてくれる月ですが、鋼之助は心を許しきることができません、
それでも彼に受け入れてもらえるように奮闘する月の尽力で、二人の距離は近づいて行くのですが……
鋼之助の中には、自分が刀を持てないこと、そしてその事に密接に関係しているトラウマが根深く残っているのです。
そして、二人の間にはとんでもない出来事が巻き起こり……!
目の離せない展開がどんどんと続いて行くのです!!
様々な伏線といいますか、物語の鍵となるであろう要素もちりばめられている本作から、目が離せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!