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今回紹介いたしますのはこちら。

「海喰い」第1巻 原作・藤澤勇希先生 作画・戸田泰成先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、「BMネクタール」の藤澤先生と、「スクライド」「ジャイアントロボ」などの
コミカライズ系作品を得意とする戸田先生がタッグを組んで生み出す本作。
藤澤先生と言えば、原作業が増えてきたために控えめではありましたが、やっぱりクリーチャーパニック系ホラー。
今回は有無を言わさぬ迫力を持つ作画がウリの一つである戸田先生と組んでのクリーチャーパニックものを描くのです!!
気になるその内容はと言いますと……?



町の小さな電気店。
そこの一人息子である直道は、家を出なけれなばラない直前まで機械を弄っていました。
お母さんが心配して声をかけてきた、そこでちょうどその機械の修理が終わりました。
昨日の晩に急に近所のお婆ちゃんが持ってきた、今や懐かしいCDラジカセ。
早く治してあげないと、毎日これで懐メロを聞くのが楽しみだと言うお婆ちゃんが可哀想だ、と時間を押して作業していたのです。
お婆ちゃんが来たら渡してあげて、とようやく出かけて行く直道。
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今日もそうなのですが……高校に入学してもいつもゴーグル型の拡大鏡をつけて行く直道に、それをつけたままだと新しいお友達に変だと思われるんじゃないか、とお母さんは心配の声を掛けます。
そう思われたとしても、お守りだから、とこぼす直道に、お母さんは続けました。
あんたが修理とかやってくれてるおかげでうちがやっていけてるのはそうだけど、あんたももっと好きなことしてもいいのよ?
そう言ってくれはしたものの、直道は、そんなヒマないよ、母さんが修理できるわけじゃないだろ?と取り合わず、出かけて行くのです。
昨日入学式だった直道ですが、今日は学校に行くわけではありません。
今日はフェリー乗り場に集合することになっているのですが、心配したお母さんは車で送って行こうとします。
いい歳して母親なんかといけないよ!みっともない!と思わず声を荒げてしまう直道なのですが……
そんな直道の頭に鉄拳が振り下ろされました。
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くぉらナオミ、おばさんになに上等コイてんだ?
そんな言葉とともに現れたのは、幼馴染である海沙姫です。
直道をナオミと呼ぶ彼女、体格も立派で直道からは「ミサ姉」と呼ばれているのですが、実は同い年。
その呼び名は子供の時おねえさんぶってそう呼べと言ったのが由来のようですが、まるで自分が留年してるみたいじゃないか、と今はその呼び名をあまり喜んではいないようです。
それでも彼女の姉御肌はいまだ健在。
自分が一緒に行くから心配するな、おばさんは退院したばかりで病み上がりなんだから無理しないで、と直道を引き受けるのでした。

西醍寺高校創立以来の伝統だと言うこのイベント。
同じクラスの中で数名ごとに班分けし、入学式の翌日から離島で4日間の臨海合宿を行うと言うものです。
このイベントを経て、信頼関係を築ければ……と言う事なのですが、やはりどこにもちょっとはみ出し者はいるのです。
そのうちの一人が和喜田。
見るからに不良と言った風貌で、その見た目通りオラつく、ちょっと学力もアレでこの学校に入れるかどうかも怪しい彼なのですが、彼の家は父が社長、母が市会議員と言うお金持ちで権力もある程度あるおうち。
どうやらその辺の近田も作用して、この学校に入れたようです!
彼は直道や海沙姫と同じ中学で、特に海沙姫とは犬猿の仲。
集合場所で鉢合わせした時もいきなりケンカになりそうになったのですが……そこにもう一人、同じ中学出身の男が現れました。
むっきむきの体育会系、東堂です。
強豪校からスカウトが来るほどの彼がそのけんかの仲裁に入ろうとすると、和喜田もめんどくさそうに退散していきました。
ちなみに東堂がこの高校にやって来た理由は……海沙姫に惚れているからのようですが……海沙姫本人は全く気付いていないようですが!
その他にも、海沙姫に一目ぼれして妙に懐いてい来る女子の弥生など、個性の強い面々はとどまるところを知らないのです!

そんなこんなで始まった臨海合宿。
まずは離島に向かってフェリーに乗るわけですが、そこで初めて自分たちが誰と班を組むかがわかるわけです。
直道の組む班には、有名人がいました。
中学時代バスケで全国ベスト8に進出したイケメン、影山です!
なんでもナンバー1を目指すと言う彼、同じ班の面々の名前を聞くと、早速あだ名(直道は苗字を取って「久賀っち」と呼ばれました)をつけます。
そして、チーム影山として敗北は許されない、気を引き締めて行くぞ!といきなりリーダーを気取るのでした!
ですが他の面々も特に文句はない様子。
直道はもともと自分が自分がと言う方ではありませんし、他の男子も女子の人気のある影山についていけば高校生活カースト上位デビューできるんじゃないか、と考えていたのです。
その恩恵は早速与えられました。
影山が現れ、女子から部屋に遊びに来ないかと誘いがあったが一緒に行くか、と尋ねてきたのです!
他の男子は大盛り上がりですが、直道はあまり乗り気ではないようで。
結局直道以外の面々で女子の部屋に向かうことになったのでした。

一人残された直道は物思いにふけっていました。
影山の様な、勉強も運動もできるうえ、高身長のイケメンがいるんだ、と自分とはまるで違う人物のことを考え……思わず自分の手のひらを見つめてしまう直道。
いや、店があるからそんなヒマはないんだ、と自らに言い聞かせ、高校生活なんて無事に終わればいい、3年間をやり過ごそう、と考えたのですが……
その時、フェリーを大きな揺れが襲いました。
緊急放送が入り、救命胴着を着て食堂に修道しろと指示が出ます。大きなトラブルがあったのでしょうか。
俄かに船内は騒がしくなり、直道も救命胴着を着て、影山たちの分も持っていこうかとしていますと、今度はフェリー全体が大きく傾き始めました。
このままでは水没してしまいかねません。
さらに悪いことに、船体に穴が空いてしまったようで、そこから大量の水が流れ込んできました。
突然の出来事に驚きを隠せない直道、呆然とその大穴を見つめていますと……
そこから、
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見るもおぞましい、百足か何かの様な怪物が姿を現したのです!!
その怪物は、逃げ遅れた教師を……直道の目の前で貪りました。
夢だ、ありがちな悪い夢、あのまま寝ちゃってたんだオレ。
その証拠に思うように前に進めない……
這うようにその場から逃げる直道。
ですがその目の前に突然生徒の一人が顔を出し。瞬く間に物陰に引きこまれたかと思うと血飛沫が飛んできて……!!

その後何とか逃げ延びた直道はトイレに隠れました。
とりあえず怪物からは逃げられたようですが、このままここにいても船ごと沈んでしまうだけ。
これが現実だとわからされた直道、チビで弱虫の俺にできる事は考えることぐらいだ、ととにかく生き延びるための手段を考えます。
ここに来るまで数多くの生徒や教師が怪物に食い殺されてしまった場面を見てきました。
それを振り返ると……喰われた人々は皆大きな声を上げていたことを思い出しました。
ということは、あの怪物は音で獲物を見つけているに違いない!
一筋の光明を見た直道は、極力音を出さないように逃げることにしました。
どうやらその考えはばっちりはまったようで、なんとか怪物に気付かれることなく移動することに成功。
このまま甲板まで出て、救命ボートにたどり着ければなんとかなるかもしれない……!
息をひそめ、ゆっくりと進んでいく直道。
すると看板に野原途中の階段に、あおむけに倒れている海沙姫がいるではありませんか!!
慌てて確認すると……息はあるようです。
目だった怪我もありませんし、気絶しているだけなのでしょう。
ほっとした直道は、海沙姫に声をかけて興そうとするのですが……
その声が聞こえてしまったのでしょうか。
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怪物が現れ、2人をのぞき込むように鎌首をもたげていたのです……!!



というわけで、得体のしれない怪物がフェリーを地獄に落とす本作。
怪物は目が良くなく、音で察知する……と言うところまで含め、ここまでは比較的よくあるモンスターパニックものの印象を受けます。
巨大な怪物は次々に生徒や教師たちを毒牙にかけ、犠牲者は増える一方。
そんな中で直道は知恵を絞り、あの個性豊かな面々と協力し、何とか逃げる術を探す……
まさしくスタンダードなモンスターパニックそのものと言える展開が繰り広げられていくのです。
が、そこは数々このジャンルを手掛けてきた藤澤先生。
単なる普通のモンスターパニックにはなりません!!
猛威を振るう怪物、続々出る犠牲者、機転を利かせての脱出……
そんな数々のイベントが盛り込まれたこの第1巻、読み終えてみればほとんど序章の様なものだと言う頃がわかるのです!!
おそらく第2巻からが本番になるであろう本作、序章扱いしてしまいましたが第1巻もしっかり楽しめる内容になっていますのでご安心ください!
藤澤先生らしいメリハリある展開に、戸田先生の迫力と繊細さが両立した絵柄がマッチ。
戸田先生の絵であるのは間違いないのに、しっかり藤澤先生風味を感じさせるキャラやクリーチャー(特にあまりかっこよくない男性キャラ)なども見どころではないでしょうか!
気になる今後の展開も合わせ、目が離せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!