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今回紹介いたしますのはこちら。

「さよならエデン」第1巻 愛南ぜろ先生 

スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行です。


さて、「残機×99」の愛南先生の最新作となる本作。
「残機×99」から次々に人が死んでしまうような容赦のないストーリーを描かれている愛南先生ですが、果たして本作では……?



半壊した学校。
その学校で、当たり前のように授業が行われようとしていました。
授業が始まろうとしているのにおしゃべりをやめない女生徒のおしりをサッと触り、チャイムなってるぞと言いだす先生。
エロジジィ、教育委員会に訴えるぞ!と怒りをあらわにするその女生徒、パクチですが、先生は教育委員会は一か月前に廃止されたよ、とさらりと言って、そのまま授業を始めてしまいました。
パクチは席にすら座らないままその様子を眺め、こんな時代に勉強なんてあほらし、大人になるまで生き残れるかもわかんないのに、とおしゃべりを続けるのです。
授業抜けて駅前の本屋に行って、いい男の写真集見に行こう、と友達を誘うパクチなのですが……
友達によれば、その本屋は昨日の空爆でふっとんだ、とのこと。
せっかくのプランが潰れてしまったパクチはその友達の下を離れて自分の席……ではなく、別の友人、チコリに話しかけました。
本屋の話題が出ただけに、何やら熱心に文庫本を読んでいるチコリが気になったようです。
タイトルは「ロマンチカの夜に」。
読み始めたばかりだと言うその本、多分恋愛小説だと思う、とチコリは期待に胸を膨らませているようです。
……が、裏表紙に書いてあるあらすじを盗み見てみますと、どうやらそれはエロスな小説の様子。
パクチは何も知らずにそう言うの読んでる、とほくそ笑み……そしてその事には触れず。小説で妄想すんのもいいけど、本物の男と恋愛しよう、とチコリを誘うのです。
なんでも他校の男子でチコリと付き合いたいと言っている者がいるのだとか。
それってどんな男の子?っと一応聞いてみますと、パクチは女子4人と付き合っているらしいから不細工ではないんじゃないか、となんだかすごいことを言ってきます。
チコリは4人も彼女がいると言うことに引き気味……
パクチによれば、今の時代10人位は彼女がいるのがいい男だ、というのですが……
チコリは言うのです。
戦争の前までは1対1のお付き合いが普通だったんだよ。
私は私だけを好きでいてくれる人とお付き合いしたいなぁ。
この地球のどこかに、心から愛しあえる人がいるって信じてるんだ。
うっとりとした顔から出てきたその言葉に、パクチは今どきそんな貞操観念の高い男、皆童貞よ、とまたまたとんでもない発言で突っ込み。
そして、彼女のいない童貞なんてダサいのしか残ってない、ウチのクラスにそんなのがいるじゃない、と一人プラモデルを弄っていたコマツのことを指すのです。
クラス唯一の生き残りの男がジオラマオタクなんてついてないな、と小馬鹿にしたような瞳で見つめながらずけずけと本人に言うパクチ。
コマツもまた、俺もおまえらみたいな下品な女ばかりでうんざりする、とやり返すのです。
そしてパクチ、噂ではコマツは戦闘で下半身が不能になったって聞いたけど、とさらに小馬鹿にしていくのですが……
そこで突然、大きな目覚ましのベルのような音が鳴り響くのです。
警報。
パクチはそう呼びました。
警報が鳴ると、先生は授業を中断してそそくさと教室を出て行きます。
そして教室に残っていた生徒たちもぞろぞろと出て行きまして、会議室へと向かうのでした。

会議室にはたくさんのロッカーが並んでいまして、その中には奇妙な兵器が入っていました。
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どうやらそれを背負うようにして身に着けると、乗り物なしで飛行することができる兵器のようです。
皆がそれを背負うなどして準備を整えているなか、パクチはチコリに「薬」ちょうだいと言いだすのです。
補給の時にもらい忘れて一錠もない、というパクチに、チコリは薬を渡します。
ですがその薬の瓶は開封された後がなく……
パクチはそれを見て、未開封?もしかして隠れて飲みまくったな?これ2瓶目だろ、スケベ!とおどけるのです。
そんな二人を見ていたクラスメートが、前回薬の飲み過ぎで失神したパクチとは違うでしょ、と指摘。
パクチは、あの時はかすり傷なのに2時間くらいいきっぱなしだった、女に生まれてマジよかった、とその時のことを思い起こしながら、薬を飲みこみます。
他の生徒たちも皆その薬を飲んでいきまして……
パクチは、チコリの分、と言って彼女の手に薬を三錠渡してあげるのですが……

チコリやパクチのいる第7班は、駅前担当です。
駅前の本屋が本当に潰れてしまっていることを確認しつつ、持ち場につくと、一同は敵が来るまでおしゃべりを始めました。
ここももうおしまいだね、埼玉に海がある時点でもうこの国は終わってるよ。
政府が死んだら戦争も終わるかもしれないけど、今更終戦しても平和な生活は戻ってこないよ。
それだったら気持ちよく死んで、皆でヴァルハラに行こう!
……あまりにも残酷で、物騒な会話です。
そんな会話を当たり前のようにかわしておりますと、やがて敵が近づいてきているのが見えました。
何とて気の数はいつもの倍以上、50体。
7班の5人では到底勝ち目がないどころか、5分も持たずに全滅してしまいそうです。
死ぬ。
リアルな死の予感に、チコリは青ざめるのですが、他の生徒たちは平気な顔をしていまして。
薬効いてないんじゃない、とチコリの心配までしてくるのです。

全滅必至かと思われたその場面ですが、強力な武装が支給された先輩たち、第2班がかけつけてくれまして、7班はここで守りを固めるようにと命じられます。
あの武装のある2班なら楽勝だろう、これで今日死ぬことはなくなった、とあっさり言う7班なのですが、突然2班全員を巻き込むような爆発が巻き起こります!!
まさか2班全員やられてしまったのか?
流石に驚く一同なのですが……その爆風では変か何かが飛んできたのでしょうか、パクチの顔に傷がついてしまいました。
するとパクチ……
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猛烈に興奮し始めます。
気持ちいい、弄って、チコリ、あんたでいいからさ、早く。
チコリにしなだれかかり、身体をこすりつけてくるパクチ……!
そして、もっともっともっともっと、痛いのが欲しい!ととろけたような表情で呟くと、パクチは戦場に向かおうとするのです!
ちょうどその時、先ほどの爆発から生き残ったらしい敵こちらに向かってきていました。
あたしが全部倒す、というパクチですが、それは無理というもの。
一同は、行くなら一緒、7班全員出動するよ、と戦意をあらわにするのですが……
チコリだけは及び腰です。
本当に行くの?私たち死んだら、もうそこでおしまいなんだよ?
パクチにそう尋ねると……
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絶頂感じながら死ねるんだったら、死ぬのもありかなぁ?
パクチはよだれを垂らし、ほおを紅潮させながらそう答えるのでした……

猛烈な恐怖に襲われ、戻してしまったせいで出遅れたチコリ。
彼女は先に向かって行った7班を見つめながら呟いていました。
みんな薬でおかしいんだ、普通の人間が戦争するなんて無理なんだ。
政府からの支給品に入っていたあの薬、あの薬のせいでみんな……
ダメ、皆を止めなきゃ、本当は死にたくないはずだもん。
この癖があれば、国外へ逃げることだってできるんだから……
そう決意して、7班の皆を止めようと進み始めたその時、再び大きな爆発が起こります。
その爆発でどうやら敵は全滅。
そして……7班の皆も壊滅してしまうのでした……

残された兵器の残骸を抱いて、チコリは泣きじゃくります。
あんな薬があるからいけないんだ、皆死ぬのが怖いからあの薬に頼ってしまって。
愛のない世界に肩戦争なんて大嫌い!!
そうチコリが叫ぶと、そこにコマツがやってきました。
何でもコマツの部隊は先輩たちが強く、今回も生き残ることができたとのこと。
コマツはチコリに、他のやつはと尋ねるのですが……チコリは涙とともにこうこぼすしかありませんでした。
死んじゃった、私以外、皆……
と、その時です。
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あたしは生きてるけど?
そう言って、パクチが姿を現したのです。
あの状況でどうやって生きていたと言うのでしょう。
パクチはいつも通りの顔で、こんないい薬もらえるならすぐ死ぬなんてもったいないじゃん、と答えにならない答えを返し……
これ飲んでするとめっちゃ気持ちいいんだよね、戦いの恐怖におびえることもないし。
ねえチコリ、こんないい薬どうして飲まないの?
あんたまだ処女だから、気持ちよさがわからないんかねぇ。
パクチはそう言うとおもむろにその薬を口に入れ、チコリに口移しで飲ませてきました。
そして、ろくな男は残ってないんだしさ、あたしでよければいろいろ教えてあげるよ!と言い残して立ち去って行きます。
……コマツは、何が何だかわからない様子。
なんだアイツ、薬って何のことだ?
きょとんとするコマツを置いて、どこかに行こうとするチコリ……
どこ行くんだよ、早く帰ろうぜ、とコマツはチコリを呼び止めるのですが、その声に立ち止まったチコリはとんでもないことを聞いてくるのです。
コマツくんってさ、童貞?
……コマツは慌てふためき、は!?んなわけ、ないじゃん、普通に俺、モテるし……と、バレバレな気がする答えを返しました。
そんなコマツの本当の答えを察しているのか察していないのか。
チコリは遠くの空を見つめながら言うのです。
愛なんて、この世界にはもうどこにも存在しないのかなぁ。
……チコリは薬を吐き出し、気持ち悪い、と言葉を吐き捨てるのでした。




というわけで、退廃的な世界観の中で、チコリの苦悩が描かれていく本作。
物語はチコリとパクチ、そしてコマツを中心にして進んでいくようです。
まず本作で目を引くのが、その独自の世界観でしょう。
近未来的な時代背景のようですが、長く続く戦争のせいで国丸ごとが疲弊しきっている様子。
どうやら男性はほとんど戦争で死んでしまっているようで、生き残っているのはほとんどが女性なため、女性が前線に出ている、という状況の様子。
ですが不可解な点もあまりにも多すぎるのです。
女性のみに支給されているらしい「薬」。
「ムイラプ」と名付けられているそれ、死への恐怖をマヒさせるだけでなく、痛みを快感へと変換する機能も持っているようです。
ムイラプの力で、女子たちは自分が5分後にはほぼ確実に死んでいる、というような絶望の状況においてなお、動じずに戦うことが出来ているのです。
戦意を落とさないための薬は、戦局が絶望的ならば有用なのかもしれません。
ですがただそれだけのためとは思えない効能は何故ついているのでしょうか。
そして、男性には与えられない理由は……?
疑問はムイラプについてだけではありません。
作中で戦争は長く続いているようで、登場人物は自然に受け入れていますが、「敵」である者はとても他の国や思想の違う人間、とはとても思えない容姿をしています。
一体「敵」は何者で、何の目的があるのか?
この他にも数々の謎がちりばめられているのです……!

そんな謎だらけで、死と隣り合わせの毎日の中、チコリは「愛」を求めてさまようことになります。
彼女が求める本当の愛はどこにあるのか、そもそも本当にそんなものがあるのか?
敵との戦い、彼女自身の抱える闇、享楽的で物事をひっかきまわし続けるパクチ……
数々の要素が混然と絡み合い、物語は進行。
何が起きるのか、どんな結末に向かっていくのか、一切予想のつかない物語が描かれていくのです!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!