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今回紹介いたしますのはこちら。

「バキ道」第6巻 板垣恵介先生 

秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行です。


さて、地下格闘技場戦士VS現役関取衆の対抗戦の準備が着々と進められてきた前巻。
地下格闘技場戦士も、力士たちも負けられないこの戦い、果たしてどのような激闘が繰り広げられるのでしょうか……!?



いよいよその時がやってきました。
大相撲VS地下格闘技、6VS6の対抗戦!
掛けられるのはお互いのメンツとプライドだけですが、そのメンツとプライドこそが格闘家にとっては大事な物。
そんな大事な物をかけた戦い、その初戦は最もミスマッチであり、最もマッチしているともいえる組み合わせとなりました。
その身長は231センチ、体重はなんと291キロ。
巨人ぞろいの角界において最大、最強の関取、大関・巨鯨!
そしてその巨鯨に対峙するのは……

155センチ47キロの老人、渋川剛気!!
身長差は70センチ以上、体重差においては6倍以上……!
かつてはロジャー・ハーロンやオリバと言った超巨漢と幾度となく戦ってきた渋川。
ですが、今回の敵はそんな彼らすらかすんで見えるほどの、超々巨漢です!
巨大すぎる相手にも合気は有効なのか?
そんな周囲の注目の中、戦いのゴングはウチならされるのです!!

試合開始を告げる太鼓の音が鳴り響いても、全く構える様子を見せない渋川。
対する巨鯨は、相撲の立ち合いのように腰を割り、渋川を見据えています。
その庭見合いはしばらく続き……
見守る観客たちのざわつきも収まり始めたそのころ、ようやく動きが見え始めます。
巨鯨が立ち合いの構えを解き、立ち上がり……
そして、当たり前のように前へと歩き始めたのです!
渋川の目の前まで歩いて近づいた巨鯨。
無造作の左腕をのばし、渋川の襟をむんずとつかむと……
瞬間、巨鯨に今まで生きてきて初めて感じる間隔が襲い掛かってきたのです!!
最初巨鯨は、貧血か何かかと思ったと言います。
しびれたと言うか、身体に得体のしれない重さを感じたと言うか。
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まるで自分よりもはるかに重い力士に圧し掛かられたかのような、とんでもない重みが!!
これは流石に貧血の様なコンディションの問題ではない!
「術」。
これが、渋川のもつ合気、巨鯨の知らない未知の戦闘技術だ、と否応なしに感づいた巨鯨!
とっさに巨鯨は、空いていた右の手で思い切り渋川へと張り手を放ちました!!
これは渋川を倒すための一撃ではありません。
攻撃と言うよりも、未知なる感覚をもたらす相手から何とか逃げようとするための、緊急避難の様なもの!
ですがそこは流石の渋川。
巨鯨がそうくることもしっかりと読み切っていたのです!!
直後、
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巨鯨は宙を舞うことになります。
強烈極まりない張り手に対し、渋川が放ったのは……合気!
試合開始早々、体重が6倍もある巨鯨が、小さな老人である渋川によって宙を舞わされ、さらに地面に転がされようとしている……!!
地面に倒れこむ。
ただ倒れ込むだけならば、この地下格闘技場のルールではそれほど大きな問題ではありません。
ですが地面に転がされ、足の裏意外に汚れがつくこと……それは力士にとって何よりも避けたいことなのです。
「土がつく」。
それは相撲で黒星をついたことを意味する言葉。
力士が力士以外、いわゆる「よかた」に土をつけられるなど、あってはいけません!!
ましてや横綱・零鵬をはじめとしたごくごく少数の力士にしか投げられたことがないと言う巨鯨にとってはなおさらのことです!!
そのプライドがなしたのでしょう。
巨鯨は空中で体をひねり、なんと
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足でしっかりと地面に着地!!
あの渋川剛気の合気をしのいで見せたのです!!
その一連の攻防は、巨鯨と渋川よりもむしろ観戦していた関係者の方が驚いています。
あの巨鯨を投げたのか、規格外にもほどがある巨体にまで合気を利かすのか、という驚き。
そして、まるで魔法の様に人を軽々と投げ飛ばす合気を「残す」ことができるのか、という驚き……!
そんな周囲の驚きぶりに反して、巨鯨は残して見せたことである程度の冷静さを取り戻したようです。
改めて蹲踞し、力士の基本に立ち返る
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立ち合いの様な突進を見せるのでした!!


というわけで、合気VS相撲という未だかつてない戦いが繰り広げられる今巻。
バキ世界において現役力士と言うのはほとんどイコールでやられ役だったわけですが、かといって作中のキャラにバカにされているわけではありません。
関取がみな、並ならぬフィジカルを持つエリートである、天才集団だと一様に理解していて、恐れてもいるのです。
そんなフィジカルエリートがあいてなだけに、「まさか」も十二分にあり得るこの対抗戦、最初の戦いからそれぞれに見どころが用意されていました。
巨大すぎる相手にも合気を利かせて見せる渋川、その合気に太刀打ちする、力だけではないところを見せる巨鯨。
合気が勝るのか、その合気を力で越えて見せるのか?
相撲と合気道、その予測不可能な戦いをぜひともご確認ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!