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今回紹介いたしますのはこちら。

「事件はスカートの中で」第1巻 ずみ子先生 

講談社さんのヤンマガKCより刊行です。


ずみ子先生は19年、第80回ちばてつや賞ヤング部門で期待賞、第81回で大賞を受賞し、デビューした新人の漫画家さんです。
本作はそんな先生の連載デビュー作で、初単行本刊行作となります。

そんなずみ子先生の描く本作、なかなかに衝撃的なタイトルとなっておりますが、その「スカートの中」は主人公の持つもっと大きなあるものの中の一要素にすぎないようで……!





彼女の耳には、カメラのシャッターのような音が聞こえていました。
その音を発しているのは、彼女の後ろについて行くように歩いている数名の男たちです。
彼らは、食い入るように彼女の後ろ姿を見つめています。
いや、後ろ姿と言うよりも……彼女がスカートを巻き込んでしまっているせいで、丸見えになっている下着を、です。
やがてそれに気が付いた別の女性が彼女にそれを教えてあげると、
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やだぁ、またやっちゃったぁ、と驚き、スカートを直すのです、が……
教えてくれた女性にありがとうとお礼を言いまして、1人に戻った彼女。優夏(ゆなつ)は残念そうな表情を浮かべ、静かになった、とつぶやいて……?

優夏は、教室につくと友達に寝癖を直してもらいます。
この寝癖頑固すぎ、高3なんだからちゃんとしなよ、でもここまで来て治らないなら無理でしょ、おパンツ出ても気づかないしね?
そんなことを言われてしまう優夏なのですが、ひどいよぉ、などと口ではちょっと不満を表すものの、心の中は幸せに包まれていました。
学校はいいなぁ、シャッター音が鳴りやまない。
このシャッター音は、彼女にしか聞こえない音。
誰かが誰かに視線を送って、捕えた瞬間に聞こえる音なのです。
初めて聞こえたのはさよう学校3年生の時で、漫画のヒロインの真似をして、ドジを踏んでみたりとぼけてみたりすると……優夏に視線が向けられ、記憶に残そうとするようにシャッターが切られる、そんな音が聞こえるようになったのだとか。
その音が自分に注がれているのを感じると、優夏はその瞬間「特別な自分」であることを確信できるのです。
とはいえ、パンツ出したらもうちょっと構ってくれてもいいのに、と不満もないではないようで。
人知れず唇を尖らせる優夏なのですが、そんな彼女をじっと見つめている男子がいました。
高橋です。
高橋は友人にその視線に気づかれてしまい、何見てんのと突っ込まれるのですが、優夏だと聞くとその友人も納得。
ほんとに天然だなアイツは、という友人なのですが、高橋は断言するのです。
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計算だよ、あれは。もっと先のために頭使えばいいのにな、と。
と、そんな高橋に優夏が話しかけてきます。
「ゴム」持ってない?
そう尋ねられた高橋はぎょっとするのですが、髪を結びたくて……とその後続けた言葉を聞いて顔を真っ赤にしてしまいました。
友人は、高橋は「ゴム」と聞くとアッチだと思っちゃうから、と余計な補足をいたしまして、それを聞いた優夏は恥ずかしそうににっこりして、そっかぁ、やっちゃったぁ、というのですが……
高橋は確信します。
絶対わざとだ、こんなことして何の得があんだよ。
そう苦々しく心の中で呟きはするのですが……
高橋の視線は優夏に注がれ……シャッター音が鳴り響くのでした。
シャッター音にご満悦の優夏ですが、欲しかったヘアゴムは手に入らずじまい。
友達に聞く相手考えなさいよ、と突っ込まれつつ、誰かヘアゴムもってない?と世話を焼いてもらうことになりました。
すると……ちょうど教室に入って来たじょし、民岡ほとほが余っているヘアゴムを貸してくれたのです。
ほとほは短めの三つ編みを二つ垂らした、物静かでどこかミステリアスな美少女。
優夏は何も特別なことをしていないのに、シャッター音を集める彼女にちょっぴりジェラシーを感じているようで……

授業中でも優夏は、あの手この手で天然ボケを装い、シャッター音を誘います。
一方でほとほは、
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ただ先生にあてられて教科書を読むだけ、その場に誰もいないかのように音読しているだけなのに、猛烈なシャッター音を集めているのです。
彼女と私の特別は違うのかな?
優夏はそんなことをかんがえてしまうのでした。

と、そんな時でした。
ほとほが突然優夏に話しかけてきたのです。
髪、可愛いね。
ほとほの方から誰かに話しかけてくると言うのは非常視珍しい事。
優夏だけでなく、友達たちも少し驚くのですが……少したって冷静になると、優夏は先ほど話しかけられたときにシャッター音が鳴っていなかったことに気が付きます。
放課後、友達と遊んでいる最中も、バイバイした後も、優夏の頭はその事で一杯です。
ほとほの視線は間違いなく自分を捕えていたのに、シャッター音が鳴らなかった。
髪形が可愛いなんて、たいしたことないんだ……
そんな思いが頭をよぎると、どうしてもシャッター音が聞きたくてならなくなってしまいました!!
自分はどこにでもいる何でもない人間ではない、特別な人間だ。
特別な私にならないと……!!
そうなるともう我慢できません!
優夏はトイレに入ると、いつものようにスカートを下着の内側に巻き込みます!
よし!と出来栄えを確認し、個室から出ようとしますと、突然上から声が降ってくるのです。
へぇ。
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いつもそうやって見せてるんだ。努力家だねぇ。
いつの間にいたのでしょうか。
となりの個室にいたらしい、ほとほが個室を隔てる壁の上から上半身を出し、優夏を見つめていたのです……!!!
絶対に見られてはならないシーンを、よりによってほとほに見られてしまった……!!
固まってしまう優夏なのですが……
その時確かに……シャッター音は、なったのでした。




というわけで、思いがけない幕開けとなった本作。
皆に注目を浴びたいばかりに、天然ボケを演じる優夏。
彼女は注目を浴びた時にシャッター音が鳴るのが聞こえる、という特殊能力を持っているわけですが、その能力のせいと言うべきか、おかげと言うべきか……少しばかり歪んだ正確になってしまったようです。
もはや日課となっていた注目されるためのロールプレイですが、そんな本性をよりによって歩徒歩に見られてしまったわけです。
いわばライバルと言っていい、シャッター音を一身に浴びるほとほ。
物静かでミステリアスな彼女でしたが……優夏の真実を見た彼女の表情は、いつものはかなげな美しさを感じさせる彼女のそれとは違うようで……!!
この後、物語は予想もしない展開へと進んでいきます。
優夏の本性を知ったほとほは、このことをばらさない代わりにとんでもない提案をしてくるのです!
その提案は本来なら絶対に受け入れられないような、異常ともいえる行為なのですが……断ればバラされる、という「大義名分」を得た優夏は、心の奥底でどんどんとその異常な世界に惹かれて行ってしまい……!!
さらに謎の多いほとほのこちらも驚愕すべき真実や、優夏が気になっているであろう高橋など、様々な要素が加わっていき、物語はさらに一筋縄ではいかなそうな雰囲気に!!
ひとつきっかけがあれば、一瞬でとんでもない事態になってしまいそうな事態となって行く本作。
そのきっかけは、いつ与えられてもおかしくはありません。
恐ろしく、そして魅惑的な誘い……果たして優夏はそれに抗うのか、受け入れるのか?
決断の先には何があるのか……!?
本作からもう目が離せませんよ!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!